下風道二斎が事

2016年07月16日 17:49

933 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/07/16(土) 00:17:26.30 ID:IEecqnnA
下風道二斎が事

 道二斎は宝蔵院の末弟子である。槍術の修練を大猷院様(徳川家光)も御聴きになられ、
御前に召されることになった。
 そのころ素槍の達人の浪人一同に試合を仰せ付けられた。
御前でのことなので、高股立ちや掛け声等は止めるよう御側向きから沙汰があった。
その時は、双方は「かしこまりました。」と承って立ち合ったが、
勝負に臨んでは素槍の浪人は制止に従ったが、
道二斎は高股立ちで、掛け声も十分に叫んでいた。
近習から時々制止がありましたが聞き入れず、
結局、試合は難なく道二斎の勝ちとなった。

 後で先の制止を受け入れなかった訳を御尋ねられると、道二斎は慎んで

「御尋ねられたことはごもっともであります。
随分と慎むよう考えましたが、勝負に臨んではやはり稽古の心で十分に芸を尽くしていると、
御前をも恐れないようになって、制止の声も聞き入れなくなってしまいました。
不届きをいかように仰せ付けられましても是非には及びません。」

とのお答えをされたので、大猷院様ももっともだと思われ、殊の外お褒めになられた。
「下風は名人である」との上意があって御褒美を下されたという。
(耳袋)



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