14 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/02/05(日) 19:49:34.48 ID:S031iv0F
中野修理康実は九戸政実の実弟だが、九戸の乱の際は南部信直に味方し、その家を存続させた。
だがやはり兄弟を討たれたことに思うことはあったのだろう、信直を恨む様子が折々に見え、そんな吉兵衛に
信直も警戒していた。
さて、この中野修理は大男で怪力の持ち主だった。彼は唐竹の中に鉄棒を仕込んだ五寸回りの狩り杖を
つねに持ち歩いており
三戸城の石垣を組む時、三十人でも引けないような大きな石が落ちてくるのを
その狩り杖で押さえたという逸話があった。
ある冬の事、信直が三戸にて冬雪の上にて追鳥をして気晴らしをしていた。
信直はかんじきを履いて雪の上を自由に歩いていたが、大男だった中野は雪を踏つぶし、
歩くのも難儀しているようだった。
その様子に信直は
「御身はいつも鬼のようだが、こう雪が深くては我には駆けつけられないだろう?」
この言葉に中野は言い返した。
「さてさておかしな事をおっしゃる。御前を手取りにするのは、わが心のままですぞ」
「ほほう、さればわれに追い付いてみよ!」
駆け出す信直、中野は自慢の狩り杖を持ち直し、それを信直のかんじきに当てた。
雪の中にこける信直。中野は
「堪忍せぬぞ!」
とトドメを――刺さなかった。理由は分からない(書いてない)
こうしてこの場は何事もなく終わったが、信直はさらに中野を警戒するようになり、
いつか討ってやろうと折を窺っていたが
結局機会が来ることはなかったという。
中野修理康実は九戸政実の実弟だが、九戸の乱の際は南部信直に味方し、その家を存続させた。
だがやはり兄弟を討たれたことに思うことはあったのだろう、信直を恨む様子が折々に見え、そんな吉兵衛に
信直も警戒していた。
さて、この中野修理は大男で怪力の持ち主だった。彼は唐竹の中に鉄棒を仕込んだ五寸回りの狩り杖を
つねに持ち歩いており
三戸城の石垣を組む時、三十人でも引けないような大きな石が落ちてくるのを
その狩り杖で押さえたという逸話があった。
ある冬の事、信直が三戸にて冬雪の上にて追鳥をして気晴らしをしていた。
信直はかんじきを履いて雪の上を自由に歩いていたが、大男だった中野は雪を踏つぶし、
歩くのも難儀しているようだった。
その様子に信直は
「御身はいつも鬼のようだが、こう雪が深くては我には駆けつけられないだろう?」
この言葉に中野は言い返した。
「さてさておかしな事をおっしゃる。御前を手取りにするのは、わが心のままですぞ」
「ほほう、さればわれに追い付いてみよ!」
駆け出す信直、中野は自慢の狩り杖を持ち直し、それを信直のかんじきに当てた。
雪の中にこける信直。中野は
「堪忍せぬぞ!」
とトドメを――刺さなかった。理由は分からない(書いてない)
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いつか討ってやろうと折を窺っていたが
結局機会が来ることはなかったという。
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