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それがしは遂に功を挙げる事が出来ませんでした

2014年02月27日 19:09

467 名前:人間七七四年[] 投稿日:2014/02/26(水) 20:34:20.52 ID:sCDBYhIN
「それがしは遂に功を挙げる事が出来ませんでした」
とある老武士が、話相手の老武士に言った。
二人は主従であり、話しかけたほうが従者である。
言われた側、即ち主人の方の老武士は怪訝な顔をした。
ともに隠居するまで、それはそれは数え切れぬほどの戦場に出ては生還してきた。
「功がないわけがなかろう」という主人の疑問である。

これに従者が笑って曰く
「兵と見れば殿が槍をふるって追い払い、将と見ればこれまた殿が御自ら討ち取っておられましたので」
大将が自ら陣頭に立って槍を振るう、従者としては頭と胃が痛くなるような悪癖が
「とうとう隠居するまで直りませんでしたなあ」と軽く皮肉ったのである。

これに主人はうまく返すこともできず「ああ、そうだったそうだった」と
苦笑いするばかりだったそうな。

関ヶ原も大阪の陣も過去となった泰平の世。
島津兵庫頭義弘と中馬大蔵重方主従の会話である。





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西野隆元の最期

2012年05月05日 21:00

23 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/05/05(土) 18:37:13.46 ID:k5l/dyur
島津家に西野隆元という侍がいた。
島津家では名の知れた武辺者で前後朝鮮の役では大将首6つ、雑首23個を取る大功を立てた。
島津兵は合戦になるとつねに保身の為に彼の後ろに群がった。

…が これだけの戦功を立てたにも関わらず西野は一向に出世せず足軽頭の補佐のような役に
任じられるに留まった。

何故か? 彼は気に入らなければ上司を平然と怒鳴りつけ、島津義弘にさへ憎まれ口を叩くような男であった。
かの中馬と殴り合いの喧嘩をすることもしばしば、中馬でさえも彼を見かけると身を隠す有様となった。
だが義弘はこの男を愛してたらしく、領地を与えない代わりに大将兜や黄金造りの刀をしばしば与えた。

さて関ヶ原、 島津軍の決死の敵中突破が始まった!
西野は追い縋る敵を突き臥せ突き臥せ鬼神の働きを見せる! いや西野だけではない、島津軍全員が
修羅となり群がる敵にキリを揉み込むように突き進んだ。
だが次第に数を減らす味方の中、島津軍は遂に捨て身の鉄砲陣をしいた。(狭道の両側に間隔を置いて
一列に座り鉄砲を順に撃ちかけ撤退の時間を稼ぐ。当然鉄砲を撃ち終われば群がる敵に鯰斬りにされる)
中馬が鉄砲陣の最後尾に座らされた。

…が
西野が中馬を殴りとばした。「ここで早々死ぬとは臆病千万!義弘様を守って貴様は薩摩に帰れ!だが
ここからの道は死ぬより辛い。貴様にその度胸があるか!?」
中馬「……西野」
西野「朋よ、生きろ」
中馬が最後に見た西野の姿は最高の笑顔だった。

老いた中馬が一度だけ語った回想録である。


24 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/05/05(土) 18:56:58.84 ID:k5l/dyur
なお、この話しには続きがある。
西野には家族はなく家名は途絶えた。
だが数年後、内縁の妻と男児が一人いることが分かった。
義弘は男児に家名を復させようとしたが、西野の妻はもう辛い思いをしたくないと涙ながらに辞退した。
義弘は母子を哀れみ名字帯刀を許し僅かながら田畑を与えた。
母は息子の武士の道を絶つために西野という性を改めた。



…時は経ち、幕末。
西野隆元の子孫、西郷隆盛は幕府を倒し先祖隆元の恨みを雪いだ。


25 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 19:34:44.79 ID:PavKPiIR
義弘「おいどんの隆元ーー!」


26 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 19:43:04.71 ID:1Uc/TOWO
さすが島津、ばねぇな!
しかし、末裔の隆盛どんが、薩摩武士の道を断つために西南戦争をおこすとは、
隆元どんの奥方が、極楽で喜んでいるだろうな。

27 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 19:44:03.31 ID:T5E/55L5
あれ、西郷隆盛の家って江戸時代になってから島津家に仕えた下級武士だったんじゃ……?

28 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 20:25:37.03 ID:1Uc/TOWO
>>27
西野→西郷(百姓)→下級武士として士官(家祖の教えを破る)→幕末西郷どんじゃね?

29 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 20:29:36.47 ID:6tTWmiMu
そういえば西郷隆盛の薩摩西郷氏は、徳川秀忠の母親も出した三河西郷氏の庶流、ということになってるらしいな。

32 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/05/05(土) 21:29:55.90 ID:q4KaNZRn
事の真偽はともかく、西郷さんもこういう逸話がでる程の英雄ってことなんでしょ~

33 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/05/05(土) 21:59:40.27 ID:k5l/dyur
>>32
おそらく西郷さん自身、もしくは西郷さんの周囲が倒幕後に創作したのではないかな。

中馬大蔵必殺の技

2011年08月18日 23:01

121 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/17(水) 20:48:06.59 ID:C/obvjCI
関が原の戦いの時のこと。いわゆる『島津の退き口』の際、島津義弘は福島正則の陣中を横切った。
百戦錬磨の正則は、死兵と争う愚を避け、家臣に深追いを禁じたが、正則の養子・正之など一部の将は
これを猛追した。

中でも穴沢某なる武者の勢いは凄まじく、大長刀をあたかも小枝の如く右に薙ぎ、左に払って道を作り、
義弘目がけてまっしぐらに迫ってきた。
「あれは尋常の武辺者ではない。大蔵、お前で無ければ相手になるまい。征けっ!」
「承った。」
義弘の指名に一言で応じた中馬大蔵少輔壱重方は、前線に飛び出ると自慢の強弓を番え、「来い!!」
と、穴沢に呼びかけた。

「おい、本当に向かって来たぞ。中馬殿、早く矢を射ぬか!」
「まだまだ。」
同僚の心配する声をよそに、中馬は微動だにしなかった。
「中馬殿!」「まだ!!」
もはや穴沢の顔がハッキリと分かる距離になっても、中馬は矢を射ようとしない。

ついに目前に迫った穴沢は、大長刀を一閃させ、中馬の弓を真っ二つに斬り折った。

と同時に、穴沢はバタリと倒れ伏した。その胸板には、中馬の放った矢が深々と突き立っていた。
(想古録より)


実はこの零距離弓術こそが、『良き敵』のみに使用する中馬大蔵必殺の技であり、彼は戦に臨んで
矢を二筋しか持って行かなかったという。




122 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/17(水) 21:08:07.47 ID:5Cq6PbZZ
大坂の冬の陣で活躍した薙刀使いの穴沢主殿助と関係あるの?

127 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 08:58:21.15 ID:CGWfRhLy
>>121
そこは普通に種子島使うべきだろ
戦国時代は成功した厨2病は語り継がれるが、きっと何万何千もの厨2病患者の屍の上に築かれた栄誉なんだろうな…
義弘も若かりし時に刀じゃ無く大剣もってヒャッハーしようとしたら大怪我負ってたな…

128 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 09:56:16.34 ID:pENoDK33
戦が始まる前の心得としてはごもっともだが
戦中なら自分が最も自信のある武具を用いるのがベターでないかい

130 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 11:57:50.79 ID:bRnA5TpI
>>121
中馬 大蔵少輔 壱 重方 だよな?


この壱ってなんだ?

131 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 12:22:53.26 ID:uiONzrgf
>>130
つい、中馬大蔵少輔・壱、中馬大蔵少輔・弐、中馬大蔵少輔・参…と続くのを想像してしまったw

132 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 20:09:35.90 ID:N1SgclVI
義弘「中馬が量産の暁には徳川など(ry


133 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 05:52:01.27 ID:drJIDQhw
中馬「殿の食事なぞ(ry


134 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 13:47:16.82 ID:vSpXtfY8
>>132-133
仲良すぎだろ二人共

135 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 20:51:42.44 ID:LciVYVec
中馬大蔵も食うに困って藩庫に入る年貢米を奪って居直ってみたり、
義弘が見初めた娘を見に行かせたら「ワシの嫁だった」(←勿論まだ知り合いでもない)と報告して嫁にしちゃったり、
西日本一のめんどくさい侍だよなw

これに対抗できるのは三河もんか曲淵庄左衛門ぐらいだろうな


136 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 21:13:59.83 ID:m4CNpvlm
作佐と鳥居元忠を合わせた感じ

137 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 21:21:28.79 ID:vSpXtfY8
>>135
それ、面倒臭いって類かな? 扱いに困る というのもまた何か違うし

138 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 21:33:17.01 ID:v0YceKF1
>>135
めんどくさいというかただの人格破綻者のような

めんどくさいというのは一応根本に主君愛なり自頑固さみたいな自分なりの哲学あってのものだけど
こいつの場合は自分の欲望最優先なだけで本人なりの哲学とかなしに主君に迷惑かけてるだけでないかい

139 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 21:43:32.47 ID:vSpXtfY8
義弘が関ヶ原から退散した時に
殿は馬乗ってるんだから、肉食うなって言って、渡さなかったのもこいつだっけ?

140 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/19(金) 22:39:53.03 ID:vXom+iIq
こんなのが居るんじゃ悪久も部下を処分したくなるわな

144 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/08/20(土) 03:18:33.37 ID:nVPNeU8d
>127
ぶっちゃけ種子島は不発の危険性があるので・・・
弓なら弦が切れない限りは大丈夫だし。
零距離射撃にこだわらなければ別にいいんだけどね。

ギリギリまで引き付けるのは威力と「絶対外れない距離で射る」ってのが狙いなのかな。