「えいぎょう えいさつ、かかせめせ。 仲のよかごと かかせめせ。」

2015年10月12日 18:35

823 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/10/11(日) 23:07:28.70 ID:4uDhfPts
柳河の町やその近在では、旧暦の10月に亥の子餅といって亥の子の日にお餅をつきます。
このお餅を食べると、歳を一つとることになるのだそうです。
これはどこの国でもおんなじことですが、ただひとつ柳河には他と異なった行事が残っております。
これがお話しようという「えいぎょうえいさつ(愛嬌挨拶)」なのです。
亥の子の日には、柳河のどこの家でも、お店でも、入り口のお部屋や上がり口にお台やお膳をすえて、
その上に一升桝にお赤飯を山盛りにし、その山のてっぺんに白菊や黄菊を挿します。
そのそばの大きなお皿やお鉢には、大根と人参とのお膾が盛ってあります。そうして、
柳の枝をそぎっぱなしにした一尺五六寸ほどの大きな箸が、別々に2とおりそえてあります。
すると、表の方から、子ども達が二人とか三人とかてんでに手をつなぎあって、

「えいぎょう えいさつ、かかせめせ。 仲のよかごと かかせめせ。」

と、歌い歌い入って来るのです。そうしてどの家にでも上がって、そのお台の前に
すわると、とても大きな柳箸で、お赤飯をその山から欠いてすくうと、それを左の手にのせ、
その上にまた膾をはさんでのせ、それを食べてしまうと、手をふき、お行儀よくその家を出て行くのです。
一軒出るとまたお隣に入り、次から次に「えいぎょうえいさつ。仲のよかごと」と歌いお祝いして歩きます。
どこのお家へ入ってもかまいません。子どもたちのためにごちそうしてあるのですから、
柳河では、おひな祭りでも端午のお節句でも、まるで展覧会のように自由に見て歩けます。
知らないお家でもかまわず入れます。「えいぎょうえいさつ」も、子どもの頃どんなにうれしかったかわかりません。
ほんとうにみんな仲良くなるような気がしました。「えいぎょうえいさつ」とは愛嬌挨拶ということで
「仲のよかごと」とは、仲のよいようにという訳で、とにかく、仲のよいようにと挨拶して歩くのだと思います。
これは昔、立花左近将監さまが、関ヶ原の戦いの時、石田方へお味方なさったので、徳川家康公から
柳河のご領地13万石を取り上げられ、一時、肥後の加藤清正公のところへ食客をしておられたことがありました。
慶長8年のことですが、左近将監様は家臣たちと関東の方へお出かけになり、その途中亥の子のお節句に
おあいになりましたが、お茶碗もなければお箸もありません。
で、しかたがなく、有り合わせの枡に菊の花を添えたお赤飯を盛って、それを手の甲に受けて膾を乗せ、
柳の枝を箸にして皆で心ばかりのお祝いをなすったということが言い伝えになっております。
宗茂公は、それからまた柳河のお殿様として帰ってこられました。それで、あの時の記念に、
皆が仲のよいようにと、柳河のどの家でも、亥の子の日にはそうした「えいぎょうえいさつ」
をすることになったのでした。
(柳川の行事について北原白秋が書いた文)



824 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/10/12(月) 00:36:23.33 ID:0k8U1Wba
白秋ブランドや!

質素な逸話だけど一方でうなぎの蒸籠蒸しとか何が発祥だったんだろ柳川

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