619 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/03/06(土) 16:42:02.44 ID:3DU6FgfK
大久保彦左衛門(忠教)が、堀田加賀守(正盛)殿の元にに見廻りとして行き、様々古今の物語をした。
或いは武道について、或いは三河においての人の武功の事などを語った。
加賀守殿、その時彦左衛門に
「聞き候へ。今、昔のように合戦など有るなら、むしろ昔より現代の方が、心ばせの有る人もいくらも
有るだろう。あまりに昔と言っても、現代と大して変わるところはあるまい。すこし話を盛って
おられるのではないだろうか。」
このように言われ、彦左衛門はすこし気に当てられたのか
「たしかに、左様にこそあるべきです。却って昔より今の人の心のほうが猛々しいとも見えます。
さりながら、現代であっても心がけ次第でしょう。貴殿の親父である勘左衛門(正吉)殿は六十余りまで、
別に御心がけを設けられず、イナゴの首一つ取られたという事も聞きません。されば、昔といっても
心がけの無い者は、十人並みと思し召されよ。」と言った。
加賀守殿気色変わり、その座にあった人々は「彦左はおかしき事を申すものかな。」などと、
なんのかのと言いつつ、挨拶をして座は空いていったという。
誰が云うともなく、この事は語り伝えられた。
彦左殿は後先もなく物を言う人であるそうなので、さもあるのだろう。
(備前老人物語)
大久保彦左衛門(忠教)が、堀田加賀守(正盛)殿の元にに見廻りとして行き、様々古今の物語をした。
或いは武道について、或いは三河においての人の武功の事などを語った。
加賀守殿、その時彦左衛門に
「聞き候へ。今、昔のように合戦など有るなら、むしろ昔より現代の方が、心ばせの有る人もいくらも
有るだろう。あまりに昔と言っても、現代と大して変わるところはあるまい。すこし話を盛って
おられるのではないだろうか。」
このように言われ、彦左衛門はすこし気に当てられたのか
「たしかに、左様にこそあるべきです。却って昔より今の人の心のほうが猛々しいとも見えます。
さりながら、現代であっても心がけ次第でしょう。貴殿の親父である勘左衛門(正吉)殿は六十余りまで、
別に御心がけを設けられず、イナゴの首一つ取られたという事も聞きません。されば、昔といっても
心がけの無い者は、十人並みと思し召されよ。」と言った。
加賀守殿気色変わり、その座にあった人々は「彦左はおかしき事を申すものかな。」などと、
なんのかのと言いつつ、挨拶をして座は空いていったという。
誰が云うともなく、この事は語り伝えられた。
彦左殿は後先もなく物を言う人であるそうなので、さもあるのだろう。
(備前老人物語)
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