351 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2021/07/27(火) 15:44:16.93 ID:IgnKSJfC
天正十五年の本庄繁長による庄内の尾鐺攻めの時の事について、本庄は夏目舎人助に物語された。
「尾鐺において攻め合いの際、最上方である上山田がこちらに内通し、堅く申し合わせたが、
必ずしもこれを頼りにしなかった。戦国の最中では、こういった軍略は敵味方ともにあるものだ。
『我を欺くべし』と深く企む心根は、不明の智では知り難い。世間の約束などは、手のひらを翻すような
ものであり、思い定めた志でさえ変わることもあるのだから、上山田が内通を悔いて取りやめる可能性も
ありえる。しかしそういった事を疑っていては、出勢することも合戦することも出来なくなってしまう。
こういう所をよく思案し、予定通り上山田が裏切れば、勝利は手中にしたようなものであるが、
万一これが、上山田が越後勢を討つための詭計であったならば、これこれの武略を以て変を打ち、
それに勝つための備えを定め、五段三段と工夫して、不敗の地をふまえ、必勝の旗を掲げる。
これこどが誠に、危うからざる戦法である。」
この事を夏目舎人助は訓戒されたのだと、後に私(著者・夏目軍八定房)に伝えたのである。
(管窺武鑑)
天正十五年の本庄繁長による庄内の尾鐺攻めの時の事について、本庄は夏目舎人助に物語された。
「尾鐺において攻め合いの際、最上方である上山田がこちらに内通し、堅く申し合わせたが、
必ずしもこれを頼りにしなかった。戦国の最中では、こういった軍略は敵味方ともにあるものだ。
『我を欺くべし』と深く企む心根は、不明の智では知り難い。世間の約束などは、手のひらを翻すような
ものであり、思い定めた志でさえ変わることもあるのだから、上山田が内通を悔いて取りやめる可能性も
ありえる。しかしそういった事を疑っていては、出勢することも合戦することも出来なくなってしまう。
こういう所をよく思案し、予定通り上山田が裏切れば、勝利は手中にしたようなものであるが、
万一これが、上山田が越後勢を討つための詭計であったならば、これこれの武略を以て変を打ち、
それに勝つための備えを定め、五段三段と工夫して、不敗の地をふまえ、必勝の旗を掲げる。
これこどが誠に、危うからざる戦法である。」
この事を夏目舎人助は訓戒されたのだと、後に私(著者・夏目軍八定房)に伝えたのである。
(管窺武鑑)
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