503 名前:1/2[sage] 投稿日:2011/03/24(木) 22:52:31.85 ID:bmRiC4wc
さあみんな、めんどくさい三河者劇場が始まるよー!
天正10年(1582)8月、いわゆる天正壬午の乱の真っ最中である。
信濃乙事(おっこと)には徳川軍甲斐・信州入りの先鋒と言うべき七手衆、
酒井忠次、
大久保忠世、
岡部正綱、
石川康道、
大須賀康高、
本多広隆・康重親子、そして穴山衆が軍を集結させていた。
いずれ劣らぬ歴戦の勇者、徳川軍の誇る戦争のベテランたちであった。
と、その夜、徳川方の信州国人、依田信蕃より知らせが入る
「北条氏直の軍4万3千が、この乙事から1里(4キロ)しか離れていない柏原に集結しています!」
驚いた七手衆から
大久保忠世は偵察を出すと、たしかに北条軍の存在を確認、しかも乙事に向かって
進軍している。明朝にはここに押し寄せるであろう。対して七手衆はわずか3千!しかも乙事は
防備に向いた地形ではない
「直ぐに徳川勢力圏である甲斐に撤退するしか無い!」
誰もがそう思った。が、この三河者共が先ず始めたのは喧嘩であった
大久保忠世が吠える!
「左衛門尉(
酒井忠次)のジジイ!あんたが諏訪頼忠をちゃんと味方に出来ないからこの有様になったんじゃ!」
諏訪頼忠の抱き込みに失敗した
酒井忠次を罵った!これに忠次も
「なんだと新十郎(忠世)!?お前も北条軍の接近に気づかなかったくせに!」
「ジジイが信濃任されて張り切り過ぎて、信濃は俺が支配するとかいい気な事言ってるから信濃国人を
離反させ、そのせいで情報が入らなかったんだろうが!」
売り言葉に買い言葉。七手衆のトップ格である酒井大久保、頭に血がのぼり口論をヒートアップさせる。しかし
他の人々「あ、あの、それは後でいいのでそろそろ撤退しませんか?」
ごもっとも。罵り合っている間にも北条軍は近づいてくるのである。喧嘩している場合では全くもってないのである。
そこで
酒井忠次「お主達先に撤退せよ!わしは全員が撤退するまで、ここに残る!」
そうは言っても責任を感じていた忠次は、皆を逃がすため自分がここに最後まで踏みとどまる!と言ったのだ。
老武者(55歳)の感動的な決意ではないか。が、残念ながら三河者はそんな事に感動するほど、甘くない
504 名前:2/2[sage] 投稿日:2011/03/24(木) 22:54:39.44 ID:bmRiC4wc
大久保「なんだとジジイ!まさかそれで今回の責任チャラにする気か!?そんな事絶対にさせんぞ!
先ずジジイから撤退しろ!」
酒井「なんだとこのクソガキ(50歳)!わしが殿軍するって言ってるんだから素直に先に撤退しろと言っておるのだ!」
大久保「馬鹿言うな、ジジイこそ先に撤退しろ!あんたが撤退するまで俺は絶対に撤退しないからな!」
酒井「ンだとこいつめ!わしだってお前が撤退するまで撤退などするものか!」
バトル再燃。もう子供の喧嘩レベルの意地の張りあいで収拾のつかない状況である。そうしているうち
偵察「あの~、北条軍の先鋒が沢を越えて、もう目と鼻の先に来ちゃいました」
岡部・石川・大須賀・本多親子・穴山衆「お前らいいかげんにしろ!!」
さすがにこれ以上はまずいと二人は無理やり引き離され、
酒井忠次はいろんな意味で責任を取らされ
彼の部隊が最初に撤退することになった。
しかし忠次、これに腹の虫が収まらない
「なんと不名誉な。なんでわしが最初に撤退せねばならんのだ…。そうだ!おい、撤退するときわしの陣に火をかけろ!」
部下「え?そう言うのは全員の撤退が終わってからやるものでは…?」
酒井「いいからやれ!」
と、自分の撤退と同時に陣屋に火をかけた。夜である。その火は接近中の北条方からもバッチリ見える
北条方A「ややっ!徳川の陣屋の方から火の手が上がったぞ!」
北条方B「さては我々に気づいて撤退したか!急ぎ追うぞ!」
北条軍、火の手を目印に殺到し始めた!
酒井「やあみんな、北条軍が急接近してるみたいだよ?君たちも早く撤退してね。じゃ!」
と、
酒井忠次さっそうと駆け去る。これには
大久保忠世はじめ一同「あのキ○ガイジジイ!後で絶対殺す!」と
怒り心頭だが、とにかく他の者達も大急ぎで撤退を始めた。
この時の撤退は、殿が
岡部正綱、二の手に穴山衆、三の手に
大久保忠世、四の手に
本多広隆・康重親子、
五の手に
石川康道、六の手に
大須賀康高、最後七の手が酒井忠次という陣容であった。
…で、何が恐ろしいってこの戦場生まれ戦場育ちのベテランウォーマシンどもはこの撤退で、大喧嘩した
酒井大久保も含めて、北条軍が攻勢に出れば各自連携してこれを防ぎ、北条軍が一旦下がれば各自に
威嚇を行い、あたかも一個の有機生命体のように、予めの打ち合わせがなくとも連動して行動し、
なんと、遂に甲斐までほぼ無傷での撤退に成功したのである!(史実)
あんな喧嘩してたのに!グダグダで滅茶苦茶な撤退開始だったのに!
三河者、緊急の大ピンチで通常営業の巻。
505 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/03/24(木) 23:03:59.76 ID:w5Q318qD
梅雪が死んだあとの穴山衆って徳川直参扱いだったの?
しかし、真田さんとこはよくこんな奴ら相手に勝てるなー。
506 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/03/24(木) 23:07:15.83 ID:10g3/AbD
平山優の「天正壬午の乱」から引用したのか。
あの本『三河物語』を史実として扱ってるからなぁ。
史料的価値が高いとされる『家忠日記』では、諏訪撤退のくだりは
普通に軍を引いたようにしか書いてないけどね。
『三河物語』では三河衆が切った張ったの大活躍して北条を振り回して撤退したように書いてあるけどさ。
507 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/03/24(木) 23:14:20.86 ID:f5x4eJ3r
なんか読んだことがあるようなないような・・・