347 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/09/02(金) 16:09:09.81 ID:AsvhKVAq
「小河内蔵之丞噺覚書写全」から小河常章(小河之直の嫡子)の飼っていた鶉(うずら)の話
小河常章がまだ部屋住みで左京と言っていた頃、鶉をたいへん可愛がっていた。
籠を開けて鶉を出すと部屋を飛び回り、左京が手を差し出せばその手に留まるほど飼い慣らしていた。
ある日、左京が留守の時におそばの小姓たちが鶉を座敷に出して遊んでいたところ、猫が物陰から出てきて食ってしまった。
左京は短気であったため、帰ってきたらどうなるだろうと恐れ、まず内蔵丞にことの次第を告げた。
内蔵丞「笑止なことをしたものだ、左京が聞いたらひどく罰するであろう。
まずは町に行き鶉を一羽買ってきてその籠に入れよ」と言うと
小姓たちは「いくら内蔵丞様といえど、町の荒々しい鶉を手飼いの鶉のように見せかけられようか」
と思ったものの、町で鶉を一羽買ってきて籠に入れた。
さて左京が帰宅するや内蔵丞は早速左京を呼んで
「お前の鶉の評判は聞いていたが、いろいろ忙しくてこれまで見てなかった。今見せてはくれぬか」
と言うと、左京はすぐに籠を持ってきて、籠の口を開け、鶉を出した。
いつものように手を出して留まらせようとしたが、鶉はあたりを見回すと、そのまま縁側から外へ飛んでいってしまった。
左京が残念がって「いつもは手に留まりますのに逃げるとは、惜しいことです」と言うと
内蔵丞は「道理を知っている人間でさえ、重恩を忘れて逃亡するのはよくあることである。
ましてや今まで鳥が逃げ出さなかった方が不思議だ。
まああの鶉も生きているうちに故郷に戻ったと考えれば、慈悲を施したといえよう」と慰めた。
こうして内蔵丞の機転により小姓たちは大難を逃れたため、これを聞いた小姓たちの家族は涙を流して感謝したそうだ
「小河内蔵之丞噺覚書写全」から小河常章(小河之直の嫡子)の飼っていた鶉(うずら)の話
小河常章がまだ部屋住みで左京と言っていた頃、鶉をたいへん可愛がっていた。
籠を開けて鶉を出すと部屋を飛び回り、左京が手を差し出せばその手に留まるほど飼い慣らしていた。
ある日、左京が留守の時におそばの小姓たちが鶉を座敷に出して遊んでいたところ、猫が物陰から出てきて食ってしまった。
左京は短気であったため、帰ってきたらどうなるだろうと恐れ、まず内蔵丞にことの次第を告げた。
内蔵丞「笑止なことをしたものだ、左京が聞いたらひどく罰するであろう。
まずは町に行き鶉を一羽買ってきてその籠に入れよ」と言うと
小姓たちは「いくら内蔵丞様といえど、町の荒々しい鶉を手飼いの鶉のように見せかけられようか」
と思ったものの、町で鶉を一羽買ってきて籠に入れた。
さて左京が帰宅するや内蔵丞は早速左京を呼んで
「お前の鶉の評判は聞いていたが、いろいろ忙しくてこれまで見てなかった。今見せてはくれぬか」
と言うと、左京はすぐに籠を持ってきて、籠の口を開け、鶉を出した。
いつものように手を出して留まらせようとしたが、鶉はあたりを見回すと、そのまま縁側から外へ飛んでいってしまった。
左京が残念がって「いつもは手に留まりますのに逃げるとは、惜しいことです」と言うと
内蔵丞は「道理を知っている人間でさえ、重恩を忘れて逃亡するのはよくあることである。
ましてや今まで鳥が逃げ出さなかった方が不思議だ。
まああの鶉も生きているうちに故郷に戻ったと考えれば、慈悲を施したといえよう」と慰めた。
こうして内蔵丞の機転により小姓たちは大難を逃れたため、これを聞いた小姓たちの家族は涙を流して感謝したそうだ
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