114 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/12/28(日) 23:26:12.21 ID:GEy/z96w
権現様が関八州へ移られた頃、新田萬次郎殿は武州忍で百姓をしておられた。
御同家の事でもあるし一万石ほどを与えようと考えて、これを召されたが、
萬次郎殿の返答は「その方は庶子筋、我は総領家なれば敷物をしき請い願うので
あれば罷り出るであろう」との事であった。
これを聞かれ「あほうめが同家の好みで申し遣わしたものを、かかる返答をするなど
不届きなり」と言われついに召し出されなかった。
その後、萬次郎殿が困窮に及び南光坊に頼み、家光公に訴えようとしたが南光坊は
取り次ごうとしなかった。
そこで春日局に頼って訴訟に及び、春日殿がいろいろと申し上げられたのでようやく
「金百両ほどをそこもとから差し遣わし、それで済ませよ」との上意であったので、
その通りに取り計らった。
その後、萬次郎殿居宅の辺りを阿部豊後守が知行するようになったが、流石に御同性
が難儀している様子を気の毒に思い、御老中の御相談にて豊後守殿より二百石を
遣わされた。それから今に至り正月二日のお目見えとなり上州田島住居岩松満次郎と
称するようになったという。
(翁草)
権現様が関八州へ移られた頃、新田萬次郎殿は武州忍で百姓をしておられた。
御同家の事でもあるし一万石ほどを与えようと考えて、これを召されたが、
萬次郎殿の返答は「その方は庶子筋、我は総領家なれば敷物をしき請い願うので
あれば罷り出るであろう」との事であった。
これを聞かれ「あほうめが同家の好みで申し遣わしたものを、かかる返答をするなど
不届きなり」と言われついに召し出されなかった。
その後、萬次郎殿が困窮に及び南光坊に頼み、家光公に訴えようとしたが南光坊は
取り次ごうとしなかった。
そこで春日局に頼って訴訟に及び、春日殿がいろいろと申し上げられたのでようやく
「金百両ほどをそこもとから差し遣わし、それで済ませよ」との上意であったので、
その通りに取り計らった。
その後、萬次郎殿居宅の辺りを阿部豊後守が知行するようになったが、流石に御同性
が難儀している様子を気の毒に思い、御老中の御相談にて豊後守殿より二百石を
遣わされた。それから今に至り正月二日のお目見えとなり上州田島住居岩松満次郎と
称するようになったという。
(翁草)
スポンサーサイト