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古今箱伝授のこと

2020年03月23日 17:45

771 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/03/23(月) 12:25:52.59 ID:aD4lGeCD
古今箱伝授のこと

烏丸殿光広、中院殿通勝、三条西殿(実条)、この三人の人々は常々、細川幽斎に古今(古今和歌集の秘伝)の口伝を
深く望まれていたが、未だその相伝の無い内に不慮の大変(関ヶ原の戦い)が起こり、幽斎も田辺城に籠城と成った。

ここで幽斎は思った
「今度は討ち死にすること必定である。然らばかの三人の人々に、古今の相伝を空しくしてしまえば残り多い。」
そう考えて、籠城支度の最中の忙しさの折節に、古今の口伝を書きしたため、箱の中に封じ入れ、三人の人々に
使いを立ててこのように伝えた

『古今の我が家の口伝を年来望んでいましたが、惣劇に妨げられ延べ引き申し、俄に大軍を引き受けて、老後の
軍の至りとなりました。今回は討ち死にすること近くにあります。もし討ち死にしたと聞かれたら、この箱を開けて
この中の物を見て下さい。』
そう、一つの箱を送った。あのように忙しい境界に、神妙なる生得である。それ心狂眼盲耳聾の三悖を以て
人を牽くは難しと云々、誠に幽斎玄旨は文武の二つを兼備した良将の器と見えた。

さて、三人の人々は、箱を受け取って伝授を得ようとは思ったが、幽斎の身の上を痛ましく思い、またそのような中、
都の風聞には、幽斎が討ち死にしたと云うものも有り、未だ落城せざりしが一両日は持たまじとも有り、頻々に
言いければ、中院殿、三条西殿両人は、田辺城の結果を待ちかねて、かの箱の封を解いて、開いてこれを見た。
今の世に『古今伝授』と呼ばれるものが、これである。

烏丸殿光広はかの箱を開けず、幽斎玄旨の落着を聞いた上でと考えていた。そのような中、忝なくも幽斎の事を
御門も惜しみ思召して、両陣に勅使を下され、幽斎は囲みを出た。
烏丸光広は幽斎の無事を大いに喜び、かの口伝を入れた箱の蓋に

『明て見ぬ かひもありけり玉手箱 二たひかへすうら島の波』

と書いて幽斎方に戻されると、幽斎は斜め成らず感じ入り、その志に耐えかねて、光広卿の邸宅に行くと、
直ぐに相伝が有ったとか。このような故に、光広は筆外の口伝を得て、古今の秘伝に精しいのだと承る。

丹州三家物語



772 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/03/23(月) 17:07:00.15 ID:jZuMQSyS
そもそも貴族の事なのにその貴族が悉く忘れてしまったことを細川藤孝1人が知ってるなんてことあるのかね
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