相良求馬が家老に抜擢されたとき

2015年01月15日 18:51

558 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/01/15(木) 17:02:59.96 ID:uy4fLylJ
相良求馬が家老に抜擢されたとき、求馬は鍋島平左衛門の家を訪ね、
「この度、殿よりお目をおかけいただき、大身の身分となったが、
あいにく私には役に立つ家来がなく、奉公するにも不自由でならない。
それで、あなたの御家中の高瀬治部左衛門を、家来に迎えたく思い、訪ねたのだ」
平左衛門は、
「わたしの家来がお目に止まったとは光栄だ。さっそくお譲りいたそう」
と承知し、求馬が帰った後、治部左衛門を呼び、このことを話した。
すると、治部左衛門は、
「返答はわたしが直接、求馬殿に申し上げましょう」
と言い、求馬のところへ行き、
「わたしをひとかどの者とお認めいただき、とてもありがたく思います。
しかしながら、奉公人は主人を持ち変えぬもの。
相良さまの家来ともなれば、一生を贅沢して暮らしてゆけますが、
その贅沢は心苦しいものとなるでしょう。
主人の平左衛門は小身でかつ裕福でなく、
わたしどもは雑炊などを食べ、暮らしていますが、この貧乏は楽しいものです。
どうかここのところをお察しくださいますように」
と申し述べ、
それを聞いた求馬はいっそう感心し、自分の目は正しかったと喜んだ 【葉隠】




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