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頸の周りをよく拭くように

2018年01月19日 17:30

586 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/01/18(木) 20:07:18.19 ID:kApnLLZB
真田安房守昌幸の次男、左衛門佐が大阪城に入城した。
幕府は安房守の弟である真田隠岐守信尹を以って、冬の陣和睦の後こう伝えた

『達って我らの方に参るように。然らば大禄が下されるであろう。』

左衛門佐は申した
「最前、高野山にて蟄居の間、私は様々に御家への仕官を望みましたが、御許容有りませんでした。
今回秀頼公に頼まれ、ここに参り籠城したのも、本意ではありません。
また大阪の籠城が、最後には利があると見込んでいるわけでもありません。

しかし、一旦武士が約束仕ったことを違変するのも本意ではありません。
ですので幾度仰せになられても、同心することは出来ません。
もし不義をかまえ、無道を致して降参してしまえば、そんな私に微官微録であっても
下されるのは、そちらにとって益のないことです。
大録を下されると言うのも、私がこの義を守っている故でしょう。」

後に、信尹が左衛門佐を呼び寄せこの事について談じたが、重ねては兎角の返答もなく
「義のある所には、天下にまた天下を添えて賜るとしても、それで心が動かされることではないのです。」
そして
「暑くて汗が出るのです」と、大肌を脱いで小姓に汗を拭かせたが、この時
「頸の周りをよく拭くように。やがて頸となって、家康公に対面するのだからな。」
そう笑いながら言ったという。

(士談)


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