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毛利隆元の苦悩

2012年07月30日 20:56

775 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/07/29(日) 19:51:59.08 ID:X5+SVVPC
毛利隆元の苦悩
天正二十三(1554)年三月十二日付けで、当時三十二歳であった隆元が、深く慕っていた一つ年上の
竺雲恵心に送った有名な手紙。
前にもちょこっと挙がってたけど、拙い訳で全文挙げてみる。



「恵心公宛隆元自筆書状」
謹述胸念
一、来世の善所(極楽)の事については、強く心に留め置いております。ですから、心の及ぶ限りに
  善根(善い行い)を積むように致したく思っております。

一、娑婆(現世)については、果報は一つもないと見ておりますので、何を恨む事がありましょうか。
  これも前の世の報いと弁えておりますので、殊更思い悩む事もありません。

一、私の一生は、先の易にも見えておりますから重ねて申し上げるまでもありませんが、私は
  無才無器量であるだけではなく、これは必然であるのかも知れません。

一、我が家も、父・元就の代で終わりと見えます。
  私の代で家運が尽きてしまうのも因果の道理に従っており、これも必然の道理であります。

一、他の諸家の有様については論じてませんが、この国も悉く変わりました。
  それは至って明白な事であります。
  また、そのような中で、当家だけがこの世に今日まで存続して居るのは不思議な事に思います。
  これは、偏に父・元就の信心の故と思います。
  私にはそのような信心がないため(原文:サノミハナキ習ニテ)、毛利の家運の尽きる時に当たり
  生まれたのだ、と思っております。

一、当家は代々名を留めた当主が多いと言う中でも、父・元就ほど先代を超えた者はありません。
  ですから、私に才覚器量があったとて、到底父には敵わない事でしょう。
  私が形ばかりとて当主として存在していても、家臣や人の覚えは莫大の劣れがあり、況んや
  他国一円においては沙汰の限りではありません。

一、その上、私には無才無器量に加えて良く補佐してくれる家臣もおりません(原文:家ニ無人候)。
  只今はこのように思っておりますが、ただ偏に父の一心の心遣い、心労によってこのような状況です。
  家に賢佐良弼もおりません。これは物事を見知る以前のことでしょうか。

(続く)

776 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/07/29(日) 19:52:50.73 ID:X5+SVVPC
一、「灯火消えんとする時、光りを増す」の例えのように、家運もまさにこの時まででしょうか。
  この理は能く悟っておりますから、迷う事はありません。

一、兎も角、今生においては十分に良く知っています。偏に来世安楽の念願は骨髄に染みております
  (原文:偏ニ来世安楽之念願骨随ニ染ミ候間)ので、お頼み申し上げます。

一、右、私の心の内を申すままとしました。

一、このように申したとて、国家を保つ事は努々(ゆめゆめ)油断なく、力不足と言えども、
  懸命にその心がけを果たす覚悟でおります。
  その次第については、少しも疎かにしないようにしております。

一、右の心中については、胸の奥に納める覚悟であります。
  何れにしても、帰真の道理を覚悟するまでの事であります。

一、盛者必衰 一、生者必滅 一、会者定離
  此の理は悉く覚(さと)りました。
  一、天道満ヲカク、
  此の理を以って覚(さと)りました。


右の理を更に深く理解せずに迷っておりましたので、速やかに分別して悟りました。
誠に恐れ多いとは思いますが、確かに現世・来世の二世共にお頼みしたいので、私の念を
残すところ無く申し上げました。重ねてお頼み申します。恐惶。

天文廿三 三月十二日 拝進 恵心公
足下
タカ元(花押)

777 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/07/29(日) 20:00:00.81 ID:X5+SVVPC
出典は毛利家文書の七六一、「毛利隆元自筆書状」より
初めてこれをみた時、思わず涙がこぼれてしまいました。
この書状を隆元の死後に読んだ隆景、元就の反応について(毛利家文書七六三、四)は既出であったと思います。
長文失礼致しました。
 


関連
隆元死後に書簡を読んだ隆景と元就の反応
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-6650.html


778 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/29(日) 20:00:37.39 ID:7LkG5TlJ
暗っ!ネガティブすぎるだろお兄ちゃん…

779 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/29(日) 20:08:39.58 ID:yai3/TVz
>良く補佐してくれる家臣もおりません
家臣涙目

780 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/29(日) 20:18:05.61 ID:CQQ1pKt3
ネガティブなのに金を集められる人って言うのは余程相手に信頼感を感じさせる人柄だったんだろうな

781 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/29(日) 20:18:31.06 ID:CW530lSZ
こんだけ悲観的に見てても結局代々存続して「うむ、そうせい」に行き着いちゃうのね

782 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/29(日) 20:22:31.77 ID:xiCdRbje
しかしそうせい公は名君だぞ。財政改革で文字通り藩内全体から憎まれた村田清風への信任を
最期まで曲げずに貫いた人だ。

783 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/29(日) 20:38:43.36 ID:t6G27uqv
これ毛利が陶と対立する直前のものだから隆元はこの時自分の代で毛利家滅亡を覚悟していたんだよね。
しかしそれが逆に毛利家を大大名へと飛躍させるきっかけを作ったんだから大したものだ。

788 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/30(月) 00:24:30.22 ID:cFBHc3UN
>>782
攘夷と真逆の航海遠略策を長井雅楽に言われるままに
藩論にしてるし何でもそうせい言ってた単なる馬鹿だろ。


790 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/30(月) 10:17:15.10 ID:kNykqfY1
>>788
何でもそうせい言ってた単なる馬鹿なら藩内から憎まれたという村田清風は早々に排除されるのでは?

797 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/30(月) 19:49:02.88 ID:qrNaWWrX
>>788
もののみごとにそうせい候に騙されてるなあw
幕府はこれで長州をなめきってやられた。

798 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/30(月) 20:55:24.84 ID:ayx0Ezqt
>>790
「あいつムカつくんでやっちゃってイイっすか」
「そうせい」

こうなるわな

799 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/30(月) 22:53:13.64 ID:ffqDqkYL
担ぐ神輿は軽くてパーがいい

800 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/30(月) 23:20:43.99 ID:+FETX6Hb
おっと権現様の悪口はそこまでだ。

801 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01:02:14.86 ID:SHqZ/elM
つまり義昭公サイコーと

802 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/07/31(火) 04:27:48.16 ID:gQleTZO7
>>783殿の仰る通りこの時期は正に毛利家存亡の時で、
昨年の天文二十二年には三村元親と結んで尼子氏側の備中猿掛城を攻略し
雲州進出を目論んでいた頃に当たり、隆元の嫡男・幸鶴丸(輝元)が生まれたのも
この年だった。

毛利家内部では関係がギクシャクしてきた陶晴賢と断交するか否かで家中が
真っ二つに割れていて、隆元は元春、隆景、口羽道良ら重臣たちと「力のある今こそ、
大内義長を擁して賢(陶晴賢)を破るべきだ」
と元就に進言するけれど、
元就自身は「しかし仕損じては陶、尼子から挟撃され、毛利は末代まで失せる。
ならば晴賢に味方して家を保つべき」
と晴賢との断交に消極的な態度を取っていた。

評定は結局堂々巡りのままに過ぎたが、天文二十三年の三月に入って
晴賢の安芸国内の調略が明るみに出、遂に元就も断交の意志を固めた。
しかし陶方の兵力は圧倒的、今は吉見氏を攻めているために動けないが、
近いうちに進撃して来るのは必定だろう――

と、そんな状況の中で>>775-776の書状をしたためたと考えてもらえれば
より隆元の胸中、特に
>国家を保つ事は努々油断なく、力不足と言えども、懸命にその心がけを
 果たす覚悟でおります
なんて所についてはわかって頂けると思い申す。

803 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 08:08:01.19 ID:26quZrkC
むしろ、親父を押し切ろうと、主戦派の筆頭みたいになってたお兄ちゃんの内面がこうだってのがすごいよね。
相変わらず、外見と内面が一致しない人だ。

804 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 14:51:32.67 ID:dL+82e8W
元就-隆元間の手紙でも陶こえーから援軍に行くわという元就に
陶は信用できない父ちゃんが闇討ちされたら毛利家は潰れると泣き脅しだからな
結局らちあかないと陶からの使者を国司元相に討たせて強制断交w
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