京都総検校の蔵、神祖拝領壺の事

2016年12月22日 17:16

453 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/12/22(木) 03:19:20.72 ID:RpS+JZ5X
京都総検校の蔵、神祖拝領壺の事

 豊川勾当の話に、京の総検校の所に、かつて神祖から賜った御物が有るとのことである。

一つは色付きの大壺で〔色は忘れた〕葵の御紋がついている
この壺の由縁は、そのはじめ三宅検校〔称は忘れた、正さなければならない(※栄一とのこと)〕が賜ったものである。
そのとき検校は

「この壺の名は何と申すのでしょうか?」

と申し上げると、

「名は無い。今はこのように治平の世となったので、泰平の壺とでもいえばよい。」

とお答えになられた。

検校はかたじけなく拝領したそうである。それから今にその御名が伝わって、年首の行事には検校勾当の盲人が皆この御物は拝み、中に入っている酒を頂戴して礼飲するという。

 また鳴戸と名付けられた御琵琶も同じ検校が賜って今に伝わっている。
これも上意として

「戦争の際にはこのようなものは役に立たない。今治安となったので、平曲〔平家のことである〕のようなものも心安く聴けるだろう。」

と下されたという。今に至って総録所の伝宝となった。
盲人の坐までにも御手の届くこと、不思議なばかりである。
(甲子夜話)



スポンサーサイト