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その発する心を奪いたくありません

2019年10月07日 16:17

256 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/10/07(月) 10:32:47.96 ID:pgNXkZXb
第二次国府台合戦の時の事

江戸城の遠山丹波守直景、葛西城の富永四郎左衛門政家は、北条氏康配下の剛勇の者と知られており、
大敵が眼前に現れたというのに人の助けを借りては屍の上の恥辱であると、取るものもとりあえず、
ありあわせの人数を率いて、遠山は行徳筋、富永は小松川筋から駆け出したが、氏康の下知も受けずに
先陣を切っては後の聞こえもどうかと思い、福島、松田の陣へ使者を走らせ存念を述べた所、

「いかにも武人の本意黙し難し。その意に任せ、存分に働け。」

と返答された。

しかしながら北条氏政の陣では、氏照、松田父子が不満で「今しばらく考えてから返事をするべきで
あった。」と言った。北条綱成はこれを聞くと笑っていった。

「身、不詳ながら軍勢を指揮する命を受けた以上は私の一存を通します。これまで松田殿や
この綱成が先駆けするのは珍しいことではなく、今後もまた先駆けして手柄も立てることでしょう。
しかし、戦いに臨む最大の目的は勝つことであり、自分の功名手柄はその次の目的です。
まして里見、大田の二将は関東に於いては一、二を争う大敵です。遠山、富永の両名も当家誉れの
大将ですから、互いに眼前の敵を見ては、これを止めることは出来ません。
先陣を望むからには、遠山、富永も生涯をかけての粉骨を決意しているのでしょう。

いやしくもこの綱成、その発する心を奪いたくありません。」

そう諭すと、氏照も松田もその気持ちが解ったのか、重ねての言葉は返さなかった。

(関八州古戦録)



257 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2019/10/07(月) 20:09:07.74 ID:xQy0MzwH
綱成かっこよすぎる
氏照と松田さんも良いね
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