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兵部少輔、覚悟せよ!

2016年05月05日 13:50

586 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/04(水) 19:53:39.95 ID:wIDEY8AF
徳川秀忠は関ヶ原合戦の時、真田安房守(昌幸)に防がれ、合戦の終わって後に
美濃に到着したことに、徳川家康は不快に思い、「持病の寸白を発した」と言って、
対面を許さなかった。

秀忠は「さては着陣が遅くなった為、故意に会おうとされないのだ」そう推量し困惑し、
幕の外に出たあと少しく落涙した。
この時、秀忠に従っていた榊原康政、大久保忠隣、本多正信、酒井備後守忠利を
はじめとした御家人たちを一人も召さず、下陣すると言い出した。

井伊兵部少輔直政は秀忠に仰せ言を述べて後に、榊原らに対し荒々と言い放った
「中納言様(秀忠)が遅く上らせ給い、大軍が合戦に間に合わなかったのは、各々の
不覚である!」

しかしこの発言に対し彼らは、家康の機嫌を憚り返答するもの一人もなく、それぞれ
退出した所、酒井忠利は御前であっても所存を臆すること無く言う人であり、
兵部少輔の言葉を聞いてこう思った

『秀忠公の御舎弟、下野守殿(松平忠吉)は井伊の婿であるため、今度の合戦に後見して
鮮やかな戦功があったと聞く。このため、直政はむやみに秀忠公の遅参を言い立て、
忠吉様の御手柄を吹聴しているのではないか?』

そして一人その座に居残り、直政に言った
「兵部殿の先の言葉は心得がたい!何故ならば、中納言様が遅参したのは正当な理由ある
事であり、内府公(家康)が機嫌を悪くされるような話ではない!
それなのに、若き殿の憤りを憚らず、粗忽のことを申されるのはいかなる心中に候や!?」

井伊直政はこれに冷笑した
「言っても返らぬ事だが、天下の人の口にそう懸かってしまう、その口惜しさに申すのだ。」

忠利は屈せず
「例え、本当に誤りがあって内府公の御機嫌よろしからずという場合であっても、格別の時期であるから、
御父子の対面があるように、貴殿こそ申し直すべきなのに、その計らいが無いだけでなく、今更無益の
批判を言うとは何なのか!?
この上も我らと争い、中納言様の御事を悪しく申すのなら、兵部少輔、覚悟せよ!」

そう言いざまに直政に向かって進み寄る所を、側にあった諸士が慌ててこれを止めた。

井伊直政が申す所は、秀忠の身にとって、心良からぬ事であった。並の気質であれば、直政は
秀忠の不審を被ったであろう。しかし秀忠は露ばかりも彼を悪む様子がなく、却って、彼が死去した
時には、深く惜しんでいたという。

(新東鑑)



587 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/05/04(水) 19:57:53.36 ID:Huu4TCor
家康「真田を無視しとけよ
寸白(サナダムシ)を理由に会わんことにする」
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酒井備後守忠利の温和

2012年11月03日 19:37

225 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 20:09:39.77 ID:ZSlyWsU9
徳川家康の家臣、酒井備後守忠利といえば、大変に温和な人であった。

彼は家康の関東移封後、武州川越三千石を与えられたのだが、ここに備後村という郷村があり、
その庄官は備後を名乗っていた。

これを知った忠利の家臣たちはこの備後に
「備後とはこの地の領主である殿の官名である。よってその名を改めよ。」

と伝えた。この時代、領民や家臣が主君と名乗りがかぶるのは不敬であり、この要請は常識的なことであった。
が、この備後は解明の要請を全く受け付けず、そのままの名乗りを押し通した。

そのうちに酒井忠利が領内を巡回した時、この庄官を呼び出し直接に言った

「お前の名はこの地の領主の名乗りと同じなのだ。よって改めよ。」

庄官は猛然と答えた
「これは近頃迷惑なことを承るものかな!私は人に勝って年貢を一番に納めています!
勿論公役に関しても他人よりも第一に勤めておりますれば、領主様からの掟に少しも背いて
おりません。それなのに、どんな過怠があって名を改めよと仰るのか!?
その上私の家は代々備後を名乗っておりますれば、改めること罷り成りません!
同じ名で都合がわるいというのなら、殿が名を改められよ!!」

領主に対して思い切ったことを言ったものである。ほとんど暴言であり、これで殺されても
全くおかしくはない。

が、酒井忠利は笑い出した

「ははは、そうか。年貢・公役を人より先に勤めるというのは一段と良いことである。
しからば己はここの備後よ。私は酒井備後守である!苦しからず、そのままにて居よ。」
そう、申し付けたそうである。
(武野燭談)

酒井忠利の温和、というお話。というかこの庄官ちょっと常識はずれに凄いw





226 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 20:29:52.85 ID:KAsmxqon
武蔵の国でその村の名前は備後と名乗ってた武士が領主だったからその村の名前で
村役人はその末裔という可能性あるな
なら改名はしにくそうだ

227 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 22:06:39.59 ID:sI1PbU8g
いい殿様だな

228 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 22:25:11.94 ID:CqDydaVI
温和な人って他に誰がいる?

今思いついたのは維新様だけど
ttp://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-2900.html

229 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 22:37:14.99 ID:sPEjkkGK
作左を始めとする家臣に好き放題やられる家康あたりは温和の部類に入る・・・のか?

230 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 22:40:50.89 ID:WQI/aA30
温厚な人なら中国では司馬光や呂布か

231 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 23:00:53.74 ID:CqDydaVI
>>230
そりゃ温侯やがな

232 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 23:32:10.99 ID:QTQCXNWi
濃い部下ばっかりのところとか・・・真田のおにーちゃんはどうだろ?

233 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/02(金) 23:35:03.21 ID:rbbH17K0
そのお兄ちゃんに、柔和で怒ることが決してない、と言わせた信繁は

234 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/03(土) 02:24:18.40 ID:fReihmWi
お兄ちゃん、お金ちょうだい(ニッコリ

235 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/03(土) 08:45:37.07 ID:3/lmW+3v
温和なだけなら腐るほどいただろうけどそんな人柄で家臣をまとめきれた人はなかなかいなかっただろうな…

236 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/03(土) 10:08:05.29 ID:JUhweKVc
阿部忠秋とか優しすぎてほとんど仏だよな

237 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/03(土) 10:23:49.41 ID:MuaxDSke
誰かと同じでめんどくさいのに慣れているのでは?

酒井忠利の意見

2010年09月08日 00:00

899 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/09/06(月) 22:24:13 ID:XYp+MMHG
大坂の陣の時、酒井忠利は主の徳川家康に付いていく事を強く望んでいた。
しかし家康に「お前が残っているからこそ安心して行ける」と諭されて
関東の守りについた。

やがて戦が終わり、論功行賞が行われようとした。その時、忠利が意見した。
「戦場のお供は誰であってもしたいものです。私もお供したかったのですが
命により江戸に残りました。

こたびは我々が留守を堅固に守ったからこそ、案ずる事なく大坂へお出かけになれた
のです。留守の者たちの心がけが不十分であれば勝利はありえなかったでしょう。

ですから留守の者たちから論功をされるべきです。そうしなければ今後留守を
任された者たちは心がけを固くする意志を失ってしまいます。」
この忠利の意見は受け容れられ、留守の者たちから論功が始まったという。






900 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/09/06(月) 22:36:11 ID:E4dxct2B
井伊直政は、全身傷だらけというけど、武将の鎧は丈夫で、刀や槍で全身を傷つけるのは無理じゃないの?


902 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/09/06(月) 22:42:30 ID:aBiZOT4l
これは素直にいい話だな
この時の忠利はきっとそうしないと気が済まなかったというだけだと思うけど、
人間基本と発展があったら慣れるうちに発展にばかり目がいくようになるからな

衣食足りて礼節を知るのとおり、服もメシもなきゃお行儀もなにもない
そして本拠地の守りは服やメシ

903 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/09/06(月) 22:51:20 ID:TKPNB/mP
七将「留守の者の心がけが不十分だと出兵しても負けるもんな」

910 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/09/07(火) 16:20:37 ID:AvDFNO/d

>今後留守を 任された者たちは心がけを固くする意志を失ってしまいます
今後が皆無だったのが悔しいところw