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永禄五年二月十三日、山根城(騎西城)合戦

2020年02月03日 16:31

783 名前:1/2[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 01:03:13.60 ID:JYHGVG8w
>>776の続き
上杉謙信は再び太田三楽を呼び出すとこのように言った
「私がここまで遥々出てきた以上、敵と手を合わせずに帰ることは出来ない。しかし利根川の北条・武田の
陣に掛かれば、信玄は工夫の深い人物でもあり、また手を詰めたような合戦に成り難しい。
そこでこの近辺に、氏康の要害は無いか?」

そう尋ねられたのを三楽承り
「山根城と申す所が、奥へ下道を四里の場所にあります。これは氏康秘蔵の要害であり、ここには忍の
成田の弟である小田助三郎、長野対馬守を置かれています。

ただし悪いことに、そこに行くには武田北条の両陣の前を遥々と奥へ通らねばなりません。
またそこを突破し要害を攻めることが出来たとしても、この城主は氏康奥筋の先手を任された
老功の者であり、千五百の人数が堅くこれを守っています。
前には城堅くして雌雄が決せられない内に、武田北条両旗にて押し懸られては甚だ危うい御軍となって
しまいます。
さらに、仮にこの城が手に入ったとしても、遠国の事でありますから保持は諦め乗り捨てにするより他に
道はなく、このような無益の場所の攻略に、腹心に等しい配下の大功の武士達を損ずるというのは、
御手違いであると存じ奉ります。これについて直江殿、宇佐美殿は如何お計らいに成るでしょうか?」

そう申した所、謙信はまた気色を損じられ、諸老の異見も窺われず
「謙信が守る所はそれではない!」
と、直ぐに須田という者を野根川の北条武田の両陣に使いに立て、このように伝えた

『輝虎は松山後詰めのため、ここまで罷り出てきたのであるが、早速に落城していた上は是非に及ばず、
あなた方も定めて、たぎらぬ振る舞いであると思し召しになっているだろう。恥じ入るばかりであり、
このままで罷り帰るというのは、両御旗に対し弓箭の無礼であると存じる。
そこで、氏康公秘蔵の要害と承る山根を明日押し破るつもりである。
その事無用と思し召すならば、両旗にて如何様にもこれを妨げられるように。』

そして利根川の品木の渡しに船橋を掛けさせ、押し渡って後に綱を切って船橋を流し、越後勢に太田三楽勢が
加わりその勢一万余騎にて武田北条陣の前、九町ばかりの傍を押し通り、山根城へと攻め寄せた。
この時太田三楽は内々に、『今度の戦いは他に譲ることは出来ない。』と考え、謙信に対したって先陣を乞い、
自身の軍勢二千に対し「我らの内一人でも生きている間は、越後衆に太刀を抜かせてはならない!」と
手の者達を励まし下知した。

この時の謙信の備にて定められた城攻め先鋒の面々は、西の手に大田三楽二千、南は柿崎和泉守、北條丹後
二千六百、東は直江山城守、河田豊前あわせて二千、御旗本は甘粕近江、長尾小四郎、中條五郎右衛門、
竹股勘解由、赤輪新介等であった。

謙信は諸将に会し「今度は無理に各々の一命をこの輝虎が所望申す。城攻めの方法は、私が下知を加えるに
及ばない。ただ荒攻めに仕るように。私はこれよりそれを見物する。もし武田北条による後詰めの有った時は、
本陣の合図に従ってこのように備を立てるように。」
そう言うと絵図を出した。

一方の山根城中はそのような事を全く知らず、矢倉にいた侍が小田助三郎の役所に来て「利根川の方より
馬煙夥しく見え、それが次第に近づいています。氏康公が奥筋に御手使されるのでしょうか?」と報告した。
これを聞いて小田助三郎も覚束なく、長野対馬守を伴って矢倉に上がりこれを見た。しかし両将としては、

「利根川に陣している軍門の前を押し通り、敵が通るはずもない。近国には上杉輝虎と太田三楽以外に
敵は無い。そして輝虎と三楽は松山城の後詰めのため昨日より前橋に到着したと聞いたが、松山城が
落ちた以上今日には定めて帰陣するはずである。
もし又、謙信が誤って奥筋に手勢を使わしたとしても、両将があのように居られるのだから、どうして
一戦もなく通るだろうか。

ではあるが又、味方であるとも見えない。大物見をかけよう。」

そして小田小四郎及び与力同心五十騎を引き連れ、自ら物見に出て七、八町西にあたる円山峠に乗り上げた所で、
太田三楽の先手である渋谷の一手が三百ばかりにて、険しい山の峰をつらぬいて攻め寄せてきた所に行き逢った。
双方は衝突し鑓を合わせ、一足も退かず各々の敵に当たり、そして物見の兵士は一人も残らずこの丸山にて
討ち死にし果てた。小田は太田の家来、深川修理という者に討たれ首を与えた。

784 名前:2/2[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 01:03:50.11 ID:JYHGVG8w
長野対馬守は小田の便りを今か今かと待っていた所に、丸山の辺りに鉄砲の音が聞こえ、誰かは解らぬが
その勢二千ばかりが攻め懸けて小田の配下の者達を追い来たる、急いで対処せねばと判断した所に、
また南の山手より、銀の吹き流し矢筈の指物数多指した一備、馬煙を挙げて近づいてきた。長野は大いに
驚き手分けをして各持ち口に馳せ合わせようとしたが。混乱し騒動したため下知も届かず、長野対馬守
歯噛みをして「口惜しや!利根川の腰抜けたる味方を頼りとし不覚の死を遂げるものかな!」と言い捨て、
西の門を破って敵勢に乱入し、太田勢に馳せ向かうと、与力同心一四、五人共々暫く戦い、東を顧みると
北條・柿崎両手の馬印が早くも本丸に迫っていた。河田組、直江組もそれに続いて攻め入り、その中でも
太田勢は西の川の手より険しい山を一息に攻め上り外郭を破り、二の曲輪の門際まで切り行ったが、
長野対馬守が隙無く防戦したことで本丸への侵入を許さなかった。しかしながら城兵たちは敵より
あまりに強く攻められたために足を立てることも出来ず、明いていた北の方向に推しなだれた。

これを見て長野対馬守は同心の由良五六を近づけ、「御辺は早々に本丸へ入り、小田と我が妻子たちを
下知してよきに計らってほしい。郎従たちも残っているはずなので、きっと未だ事を果たすこと出来ると
推量している。どうか、頼み入り候。」

そう伝えると五六も委細相心得、「御心安く御戦死遊ばし候へ、それがしは御子息たちの御供を仕り、
直ぐに追いつき参るでしょう。」と申して立ち別れ、主従四人にて本丸役所へ入り、長野と小田の
妻子に自害をさせると、五六自身もその場で自害した。
長野対馬守は「この城を辛労してどうにか守っているが、一体いつまで保てるものか。この上は
心ゆくまで打ち合おう。」と、三楽の旗本に斬って掛かり、比類なき働きをして。父子主従、
十七人が一所にて討ち死にした。

こうして、直江山城、河田豊前、柿崎和泉、北條丹後、太田三楽ら三方より同時に乗り入れ、謙信公の
下知に任せ、老若男女、僧俗を分けず当たるを幸いに突き伏せ斬り倒した。
こうして謙信公の諸勢は過半が城に乗り入れた。この時御旗本より、竹股勘解由、本庄清七の組、合わせて
六百ばかりを別けて北の方に廻し鉄砲を以て逃げ出す者を撃った。このため助かる者は、百人のうち
一、二も有ること稀であった。

城中に籠もった者達は北条家に於いて度々武辺仕る、戦いに馴れたる勇士たちであったのだが、鉄砲を二打と
快く放つ者も無いほど、三方の寄手が急に攻めて刹那の間に乗り入れたのである。

謙信公は丸山よりこの様子を終始見られ、「侍は勿論の事、雑人下部まで一様に身命を塵とも思わぬ
働き、見事である。」と、度々称賛された。

辰の刻(午前8時ころ)に取り合い始まり、午の刻(午後12時ころ)に乗っ取った。今回、山根城において
死んだ者は、上下、男女、僧俗、童、おおよそ二千六百であった。
寄手で死んだ者は三百七十五人、手負い五百人であった。

事終わって直ぐに諸手を丸山に引き入れ、腰兵糧を使わせて人馬を休ませ、城は乗り捨てにして
また元の道を帰り、利根川下の瀬の渡り前橋へ入った。
永禄五年二月十三日、山根城合戦とは、これのことである。

松隣夜話



785 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 01:10:21.16 ID:77IM5cvd
このキャラ付けが何がどうなって義のひとに味付けされたんだろ

786 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 02:36:28.59 ID:/IgTbzXx
撫で斬りから3文字脱落したんだろう

787 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 08:30:00.80 ID:S5bz4vh3
>>784
ここまでやったのに
>城は乗り捨てにしてまた元の道を帰り
災害かな?

788 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 14:19:52.48 ID:4Cy1SCXO
松隣夜話だからといえばそれまでだけど
直江景綱の官途名混同してるな

>>787
松山城後詰に失敗した意趣晴らし100%の城攻めだから
武威を示すために残虐になるし
災害以外の何者でも無いわな

789 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 19:17:18.00 ID:HwF5Po/z
城攻めなのに寄せ手の被害のほうが圧倒的に少ないのは、流石というかなんというか。

790 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 22:05:21.49 ID:TG2SWWxN
信長「謙信って残虐だよな」

791 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/03(月) 22:17:06.28 ID:/IgTbzXx
史実かはともかく、上杉謙信なるものがこういう人だと考えられてたわけだよな

792 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/02/04(火) 12:03:52.95 ID:T1G3qkQP
人質の童子を寝所に連れてって夜伽をさせるのかと思ったら処刑かよ
きっと兄弟ともにブサイクだったんだな
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