彦根侯邸に棲める雉

2016年09月12日 20:28

182 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/09/12(月) 15:00:54.38 ID:NuRJfjTK
〔初清正の邸〕彦根侯邸に棲める雉
同臣脇師、高安某長舎
同侯上邸玄関

前にも彦根侯麹町の邸は、始めは加藤清正の邸であったことを記したよ。
このように清正の後は、かの邸は取り上げられ彦根の祖の井伊直政がここに住んだ。
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-10067.html

この邸の中に雄雉一羽がすんでいた。
この鳥は直政の時からいて、
直政が帰国のときは雉もまた随い、出府するとまた随ってかの邸に来た。
今もなおいて、時々見かける者がいるという。

侯の脇師高安彦右衛門は彦太郎の弟子であり、かつ彼の臣なので麹町の邸に住んでいる。
なのでこの雉の鳴き声を時々聞くことがあるが未だその顔を見ていないという。
彦右衛門の母は見たといい、その大きさは普通の雉を二羽合わせたようであったという。
邸中の人は皆、御雉子様(オキジサマ)というと。
〔以上彦太郎の話〕

また彦右衛門の住所は十五間ばかりの長屋であるが、それは清正の時に建てたままである。
よって古色があり、柱はどれも柘植の大角材であったが、手斧目のままである。
この長屋は邸内でも谷を隔てて溜池に臨む畔上にあり、
離れ家なので、先年千畳鋪が焼亡した火災でもその厄を逃れたという。
この長屋は邸の門を入って三丁ばかりを行き、谷を下りそれから溜池の端にあると。

彦根侯の上屋敷の玄関は大坂城で淀殿の能舞台であったが、落城の後この方に引き移したという。
そのためか、今も屋根裏の棟木に、道成寺の釣鐘の釣りかぎが存在するという。
面白いことではないだろうか。

(甲子夜話三篇)




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