美濃、瀬古村人質事件と宇野右近衛門の妻女

2009年09月05日 00:13

8 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/09/04(金) 00:59:15 ID:PMn/3CmW
慶長五年九月。そう、関ヶ原の最中である。

美濃の国人馬渕兵左衛門は西軍に通じ、安八郡曾根にあった、東軍方の西尾光教の城を
焼こうとしたが、この計画が事前に漏れる。
彼は西尾方の追っ手に追われ、瀬古村へと逃げ入った。

この時、この村の名主、宇野右近衛門の家に、西尾光教の姉、綾野と言う女性が
尋ねて来ている事を知る。
馬渕は名主の家に走り入ると、この綾野を捕まえ刃物を押し立てる。
ようやく追いついた追っ手に馬渕は叫ぶ

「近づくな!近づくとこの女の命はないぞ!」

人質になっているのは主君の姉である。何か過ちがあってはと、追っ手達は名主の家を
取り囲むだけで、どうにも手出しが出来なかった。
この時である

名主、宇野の妻が、取り囲んでいるものたちを押しのけ、一人家の中に入っていった!
彼女は厳しい顔で馬渕に問う

「あなたはどこの誰で、その人質にしている方がどこの姫君か知っておられるのですか!?」

馬渕。この妻女の迫力に押され
「わ、わしは久呂村の馬渕兵左衛門と申すものである!
西尾殿の家臣、馬渕権右衛門はわしの一族であれば、彼に相談すべき事があって
曾根に行ったのに、なにやら誤解を受け理不尽に追われる羽目になり、是非なく
このような仕儀となったのだ!」

すると宇野の妻女、今度はにっこりと
「ならばあなたは、西尾殿に恨みがあるわけではないのですね?
ましてそちらの姫様に遺恨などあるわけがない。
では、そのご一族である権右衛門殿をお呼びしましょう。」

と、急いで馬渕権右衛門を呼び出した。
権右衛門が到着すると、兵左衛門は先の説明をし、自分の無実を訴える。
そこで権右衛門が付いて行って、西尾光教に兵左衛門の事を弁解しよう、と言う事になった。

「ところで」

ここで妻女は言う
「西尾殿にご弁解をなさるのに、殿の姉上を人質にしているのはいかがかと思いますよ?
むしろこの姫君の口から、弁解の言葉を言ってもらってはいかがでしょうか?」

「そ、それもそうだな。」

『かかった!』

兵左衛門もその気になり、彼女をを解放、綾野殿は妻女と供に無事、曾根の城へと
戻った。

この事に人々は、「宇野の妻女がいなかったらどうなっていた事だろう。」と、彼女を
称えぬ者はいなかったと言う。

さて、馬渕兵左衛門だが、権右衛門に伴われ曽根の城にやってきたところを捕らえられ、
拷問により罪を認め、打ち首となったそうである。

美濃に伝わる、戦国の女ネゴシエーターのお話





9 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/09/04(金) 02:51:57 ID:aCranBoS
関ヶ原のとき西尾光教といえば、大谷吉継からの西軍への勧誘を断ったため
怒った吉継に曽根が焼かれた、って話があるよな。この後焼かれたんかな。

11 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/09/04(金) 10:04:53 ID:8pKaCeOL

>>8 すげーな こんなのがうようよしていたから大坂の陣では阿茶局が交渉に座っても
誰も変に思わなかったわけだ


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