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兄になれなかった男、長沼藤次兵衛

2010年05月30日 00:01

71 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/05/29(土) 12:14:59 ID:dsl3w3Pp
兄になれなかった男


織田家の家臣、長沼三徳斎の嫡男に藤次兵衛という男がいた。
彼を森可成は非常に気に入っており、「是非とも婿に」と自身の長女と結婚させる事をたびたび望んだが
家格の違いもあるのでその都度、三徳斎も丁寧に断っていた。
しかしながら可成もしぶとく食い下がりいよいよ断り切れずに三徳斎もこの話に乗ることになった・・・のだが。

信長「だがちょっと待って欲しい。もっとふさわしい相手を選ぶべきなのではなかろうか?」

それに待ったをかけたのが信長であった。
信長は坂井政尚の長男、久蔵を婿にとるべきであると薦めてきたのである。
少しおせっかいな話ではあるが森可成と坂井政尚の仲は最悪であり、信長が両家の仲立ちをしてやろうとしての
配慮でもあった。
可成にとっては寝耳に水であったので乗り気では無かったが、信長から話を聞かされた政尚本人が
乗り込んできてまで話を進めるので
渋々ではあるが藤次兵衛との婚姻を取り消し、久蔵を婿に迎えることになった。

しかしながら1570年に森可成、坂井政尚、そして久蔵をみんな亡くなってしまったのでこの婚姻までも立ち消えとなる。
紆余曲折あって結局のところ、跡を継いだ長可の意向で可成の長女は一宮城主の関共成(成政)が娶る事になった。


それから時は流れて1582年・・・
長可は東美濃の抵抗勢力を片っ端から叩いて回っていたがその抵抗勢力の内の一つに加治田城という城があった。
藤次兵衛はこの加治田城の守将の一人で、降伏者が相次ぐ中でも最期まで果敢に戦い討ち果たされる事になる。


鬼武蔵の義兄となるはずだった男の数奇な最期。




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