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「そそっかしいかな、居眠り新次郎と兜首」

2010年07月17日 00:01

180 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/07/16(金) 00:11:24 ID:/KOVaFdS
「そそっかしいかな、居眠り新次郎と兜首」

時は慶長五年、天下分け目の関ヶ原の事である。

開戦間近、藤堂隊は地の利を得るために美濃赤坂村を制圧すべく進軍していた。
先鋒の藤堂玄蕃良政隊が赤坂に入るも、先に石田方の一部隊が赤坂に入っていた。
藤堂玄蕃隊と石田方はそのまま激突し、双方死者が五、六十騎に及ぶ戦いの末玄蕃隊が勝利し石田方を退けた。

この過程で一悶着あったのだが(http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3070.html)、今回のメインは
藤堂玄蕃ではない。
藤堂玄蕃従下に池田新次郎という、家中でも名の高い勇士がいた。この池田、確かに大剛で名を惜しむ勇者であるが、粗忽者としても名が知れていた。
さて、赤坂の戦いで池田も奮戦し、敵の兜首を三ヶ、雑兵首を二つ獲る。
戦がひと段落した後、活躍の池田は使番を呼び寄せ、大将藤堂高虎に自分の戦果を直に伝えるべく伝言する。
兜首含め五つとなると、これで出世間違いなしの功である。これを期にわが名をあげるべく池田は必死である。

「池田新次郎でござる!!首五つ、首五つを取り申した!確かに和泉様(高虎)にお伝えくだされ!!名を伝えるのを
お忘れなきよう!池田新次郎d(ry」
「はいはい……(池田必死だな、、、」
そして池田、伝言を伝え終わると、これで安心と思ったのか、それとも激しい合戦で心身が疲れきってしまったのか
深々と居眠りをしてしまった。

起こされてハッと目を覚ました池田、起こした相手は大将の高虎だった。
「高虎様!首五つでござる!!なにとぞ我が身をとりたてたまえ!」
「うんうん、すごいねすごいね。……で、その首はどこ?」(´・ω・`)
「??……あっ!!!」

なんと池田、居眠りしていた隙にせっかく獲った首五つ、全て誰かに獲られてしまっていたのである。

「あの……侍なめてんの?浪人してみる?」と言わんばかりに高虎に責められた池田はバツが悪かったのか、
それとも言い方にキれたのか、
「そのような言い方をするとは!侮辱でござる!そんなことだから国持ちにもなれないのだ!(関ヶ原の時、
高虎は伊予半国)狭量な大名はそこで立って待っておりなされ!」
と、ある意味とんでもない捨て台詞を吐いて飛び出していき、敵中に単身突撃した。

そして数刻後、息を切らせながら戻ってきた池田の手には確かに首五つ、高虎に突き出して曰く、
「これで国持ちにでもなりなされ。それでは失礼する!」
と怒りながら出て行った。

しかしさすがは高虎、池田らしい振る舞いかなと言って大笑して、後に池田に褒美を与えたそうだ。

抜けてはいるが実力あるさむらい池田新次郎。伊賀の国持ち大名になる大器を見せた藤堂高虎、双方のいい話……。


で終わればいいのだが、時は流れて慶長十二年、大阪夏の陣。
池田新次郎は藤堂隊が獲った首の管理をまかされたのだが、ついウトウト。起きたら首がまた無くなっていたそうだ。
この時も池田は自分で新たに取り返してきたようで……懲りない男である。





182 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/07/16(金) 00:50:57 ID:IpcMPVpB
生首に囲まれてウトウト、起きてなくなってたら「よっしゃ、もう一回」 x2
いやー、戦国時代だねえ・・・。
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