日比屋モニカと奈良屋宗札

2010年08月05日 00:01

289 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/08/04(水) 06:48:06 ID:2mnPCtjx
あ、書き込めるようになってる。
アクセス規制に巻き込まれてた間につらつらと書き溜めてたモノなどを。


堺の商人であり、キリシタンでもあった日比屋ディオゴ。
彼の娘、モニカについてはまとめサイトにも逸話が載っている。

このモニカが幼く、一家がまだキリシタンに改宗する以前に、親同士の約束として親
類の一人と婚約をしていた。
その相手とは奈良屋宗井という堺でも裕福な商人の息子、宗札という男であった。
実は奈良屋宗井、ディオゴの妻の実父であり、モニカと宗札は姪と叔父という関係になる。

やがてモニカは成長すると、近隣の評判となるホドの美貌と聡明さを兼ね備えるよう
になり、父と共にキリシタンへと改宗する。
その評判を聞いた大名家や大商人達から婚姻の申し込みが引っ切り無しに舞い込むホドであったが、
熱心なキリシタンであった彼女は、
「俗世を離れ、神に仕える生活をしたい」
と言って全ての求婚を断ってしまった。

収まらないのは宗札である。
元々モニカは自分の婚約者なのだ。お殿様によって力づくで奪われたのならともかく、
異国の名も知らぬ神に生涯を捧げるから結婚出来ません、では到底納得出来ない。

「こうなりゃ力づくででも結婚してくれるわ!」

宗札は仲間と語らい、モニカ拉致の計画を立て始める。
その不穏な動きはディオゴの周囲でも察知していた。
日比屋と奈良屋の間に緊張が漂う中、モニカは教会に行く時以外は家から出る事はなく、唯一の外出機会である
教会へも、裏口伝いにキリシタン仲間の自宅敷地を通って行く、という厳重な警戒が続いた。

流石に宗札も手が出せないまま、数ヶ月の時が過ぎる。
危惧された襲撃もない日常を過ごす内、日比屋の人々からは緊張感が消え去っていたのだろう。
ある日、裏口の鍵を管理している下男が出かけてしまった為、モニカは表玄関から普通の道を通って
教会へと向かったのである。

が、宗札は諦めていなかった。モニカの見せた隙を見逃さず、彼女を拉致。自宅へと監禁してしまったのだ。


290 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/08/04(水) 06:48:56 ID:2mnPCtjx
パニックに陥ったのは日比屋の一族だけではない。
たちまちの内にキリシタンと仏教徒の争いになり、日比屋側の奈良屋襲撃が失敗に終わると、
ディオゴは宗札ではなく父の宗井に狙いを付けて、仕返しにと宗井を拉致した。
奈良屋はモニカを、日比屋は宗井を互いに人質として、両家にはキリシタンと反キリシタンが武器を持って集まる。
堺は一触即発の緊張感に包まれていた。
両家のにらみ合いはそのまま10日ホドも続いたという。

「こりゃダメだ、宗札のヤツ、結婚が認められないならモニカと一緒に無理心中する
って言ってる。交渉の余地はねぇぞ」
「だからって誘拐犯にムザムザ娘をくれてやるなんてコト、出来るハズないだろ!」
「……いや、待てよ。一つ、良い案がある」
「良い案? 何だそりゃ」
「宗札がキリシタンになりゃいいんだよ! 元々アイツはモニカの婚約者なんだし、
こんな事件を起こすホドあの娘に惚れてるんだ。モニカだって相手がキリシタンなら、
結婚をイヤとは言わないんじゃないか?」
「おお、それは良い!」

日比屋に集まったキリシタン仲間達からは同意と賞賛の声が上がったが、当のモニカ
の両親は不満げな顔を隠さない。

「何を悠長なコトを言ってるんですか!? キリシタンだろうが何だろうが、ウチの娘は拉致監禁されてるんですよ!?
ウチの娘に劣情を抱いた男に、口では言えないあ~んなコトやこ~んなコトを現在進行形でヤラれちゃってるかも
知れないんですよっ!!一刻も早くあの娘を助けてください!!!!」
「い、いや、奥さん、その男ってアンタの弟……気持ちはわかるケド、何気に酷くね?」
「それに大丈夫! キリシタンは悪いコトなんかしないんだ、ゼッタイにね! モニカ
の身を守る為には、宗札をキリシタンにしちゃうのが一番手っ取り早いんだよ!」
「うむ、そうか、洗礼を受けちまえば、罪は犯せないもんな。お前頭いいな!」

「ダ、ダメだ……コイツら使えねェ! アンタ達が……アンタ達がおかしな宗教を広
めるからこんなコトになったのよ! 大体、モニカが宗札と結婚したくないなんて言
い出したのもアンタ達のせいじゃない! 日本から出てけぇ~~~~っ!!!」
日比屋で唯一、仏教徒であったディオゴの妻は、激怒の手紙を宣教師達に送りつけた
と言う。


が、しかし。
結論から言うとそれで解決しちまったのであるwww
モニカの口から
「改宗してくれたら結婚してア・ゲ・ル(はぁと)」
と囁かれた宗札は一も二もなく改宗に同意。すぐにでも宣教師の元に連れて行ってくれ。と言い出す始末。
改宗を条件に結婚への了承を取り付けた宗札は、即座にモニカを開放。それを受けて日比屋側も宗井を開放した。

改宗した宗札はルカスという洗礼名を付けられ、モニカと結婚。この結婚は日比屋への婿入りという形だったらしく、
彼はその後日比屋宗札を名乗っている。宗札について、フロイスは「立派な性格」「品行方正」「正しい心」
「模範的なキリシタン」と褒めちぎっている。まぁ、キリシタンでさえあれば、どんなヤツだろうと
手放しで褒めちぎるフロイスだから、ここらの評価はスルーで良いと思う。
でも、この逸話と並んでこの評価が書いてあるんだよ。流石にどうかと思わないか、
フロイス?




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