493 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/06/05(日) 21:37:41.84 ID:9WdqWwcm
加藤豊後守光正(光広)の外様の士に、広瀬庄兵衛という虚け者があった。然れども彼の先祖は、
代々武功を顕していたため、家督を継がせ置かれていたのだが、光広は普段から彼の虚気を慰みにしていた。
ある時、光広は広瀬を呼び寄せ言った
「内々一大事を思い立ち、近日挙兵するつもりだ。よって汝を一方の大将と定め、預け置くべき人数も
決定した。その支度をするように!」
これを聞いた広瀬はたちまち驚愕し、赤面して
「こは難儀なることを仰せ付けられ候。この段、偏に御免を蒙らん!」
と、慄えながら申し捨ててそのまま逃げていった。
この様子を光広は大いに悦び、その後、江戸の絵図を調え、広瀬にそれを見せ、その上で
「この間も申した通りに、近日、一大事を思い立った。然れば汝は、何れの口より攻め入るべきだと思うか、
思案せよ。」
と申した。広瀬は「私のような者を一方の大将に仰せ付けられるのでしたら、只今逐電仕らん!」
と涙を流して身を縮めた。
光広はいよいよ興に乗じ、重ねて
「この一大事、この度にわかに思い立ったことではない。先年大阪城普請の手伝いをした頃より思い立ち、
攻め入ること自在なるように、予て下知した上は近日大阪へ行き、御城を乗っ取って立て籠もり、世を奪うのだ!」
と申した
広瀬は言った
「かの御城は日本第一の要害にて、たとえ何万騎の軍勢を以て攻めても、口々を閉じていれば、天魔鬼神も
攻め入ること叶わずと承っています。ですのでこのような仰せを承っても、御前に於いて絶命してしまうでしょう。
この役儀を御免候へ!」
そう、転倒して喚いた。
光広は益々興じ、大名数十人が一味連判している謀書を認めてそれを見せ、また「誰それの書状」と、
自筆で謀書の品々を書き表し、状箱に入れて近臣に持たせ、それを広瀬の方に遣わし、口上にも
「かように大名数十人が一列している以上、以前より申す如く、汝一方の大将として、覚悟せよ。」
と申し送った。
広瀬はこの書状等を見て、肝を冷やし身震いし、固唾を飲んで思った
「これは、この事を一々御老中に申し上げ、主人の謀反を意見させて止めなければ!」
そう思い詰め、土井大炊頭利勝の邸宅に、かの状を持参して、以前よりの事共を残らず申し上げ、
「この事について意見を御申し下されますように。」
と申した。
大炊頭は多いに驚き、上聞に達した、広瀬庄兵衛は殿中に召され、御老中列座にてお尋ねの所、
彼は光広の申したことを一々に言上した。
然れども、この者魯鈍であり、三歳の童子の口上と変わらない有様であり、「彼が臆病なのを見て、
豊後守が興ある慰みにした者なのだろう。」と御評定あったのだが、自筆自判の謀反状、ことに
御城の絵図を出し、攻め入るべき方便、その他江戸中を焼き払い、将軍家、大名、町人まで途端に
迷わせる手段を考えていたことは、流石に捨て置くことは出来ないとして、この事よりいよいよ
光広の越度とされ、流刑となったという。
(新東鑑)
494 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/06/05(日) 22:50:08.71 ID:1dRitSW5
主従ともにアホだったと
495 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/06/06(月) 09:12:34.72 ID:vyJx6K0k
命がけのコントやるなよw
加藤豊後守光正(光広)の外様の士に、広瀬庄兵衛という虚け者があった。然れども彼の先祖は、
代々武功を顕していたため、家督を継がせ置かれていたのだが、光広は普段から彼の虚気を慰みにしていた。
ある時、光広は広瀬を呼び寄せ言った
「内々一大事を思い立ち、近日挙兵するつもりだ。よって汝を一方の大将と定め、預け置くべき人数も
決定した。その支度をするように!」
これを聞いた広瀬はたちまち驚愕し、赤面して
「こは難儀なることを仰せ付けられ候。この段、偏に御免を蒙らん!」
と、慄えながら申し捨ててそのまま逃げていった。
この様子を光広は大いに悦び、その後、江戸の絵図を調え、広瀬にそれを見せ、その上で
「この間も申した通りに、近日、一大事を思い立った。然れば汝は、何れの口より攻め入るべきだと思うか、
思案せよ。」
と申した。広瀬は「私のような者を一方の大将に仰せ付けられるのでしたら、只今逐電仕らん!」
と涙を流して身を縮めた。
光広はいよいよ興に乗じ、重ねて
「この一大事、この度にわかに思い立ったことではない。先年大阪城普請の手伝いをした頃より思い立ち、
攻め入ること自在なるように、予て下知した上は近日大阪へ行き、御城を乗っ取って立て籠もり、世を奪うのだ!」
と申した
広瀬は言った
「かの御城は日本第一の要害にて、たとえ何万騎の軍勢を以て攻めても、口々を閉じていれば、天魔鬼神も
攻め入ること叶わずと承っています。ですのでこのような仰せを承っても、御前に於いて絶命してしまうでしょう。
この役儀を御免候へ!」
そう、転倒して喚いた。
光広は益々興じ、大名数十人が一味連判している謀書を認めてそれを見せ、また「誰それの書状」と、
自筆で謀書の品々を書き表し、状箱に入れて近臣に持たせ、それを広瀬の方に遣わし、口上にも
「かように大名数十人が一列している以上、以前より申す如く、汝一方の大将として、覚悟せよ。」
と申し送った。
広瀬はこの書状等を見て、肝を冷やし身震いし、固唾を飲んで思った
「これは、この事を一々御老中に申し上げ、主人の謀反を意見させて止めなければ!」
そう思い詰め、土井大炊頭利勝の邸宅に、かの状を持参して、以前よりの事共を残らず申し上げ、
「この事について意見を御申し下されますように。」
と申した。
大炊頭は多いに驚き、上聞に達した、広瀬庄兵衛は殿中に召され、御老中列座にてお尋ねの所、
彼は光広の申したことを一々に言上した。
然れども、この者魯鈍であり、三歳の童子の口上と変わらない有様であり、「彼が臆病なのを見て、
豊後守が興ある慰みにした者なのだろう。」と御評定あったのだが、自筆自判の謀反状、ことに
御城の絵図を出し、攻め入るべき方便、その他江戸中を焼き払い、将軍家、大名、町人まで途端に
迷わせる手段を考えていたことは、流石に捨て置くことは出来ないとして、この事よりいよいよ
光広の越度とされ、流刑となったという。
(新東鑑)
494 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/06/05(日) 22:50:08.71 ID:1dRitSW5
主従ともにアホだったと
495 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/06/06(月) 09:12:34.72 ID:vyJx6K0k
命がけのコントやるなよw
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