258 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/02(火) 17:26:34 ID:bbtR+XkX
玉山大和の化物退治 その1-1
南部氏の家臣玉山大和。彼は南部信直の父南部高信のもとで、岩手郡の平定などに功を成した勇武の士であった。
ある時、彼は同僚の福士伊勢と共に三戸城へ向かっており、ふたりが蓑が坂という所にさしかかった時、
突然玉山の馬が病になり倒れてしまった。
どうしたものかと思案しているとちょうど巫女が通りがかり、玉山はお祈りしてくれないか頼んだ。
巫女「えー、嫌ですよ、馬なんか祈ったことないし」
玉山「人と獣じゃ薬が違うってのは分かるが、祈りに異なることはねえだろ、祈らなくばここを通さんぞ!」
玉山の脅しに巫女は渋々馬に祈ったが、すると巫女は突然神がかり口走った。
「我は坂の下の池に千年住む大蛇なり。諸人が我が頭の上を乗りうちすることが無念で
それを咎める為に馬を倒れ伏させたのだ」
巫女に乗り移った池の主の言葉に、玉山は切れた。
「この坂を通る皆が下馬する中で俺ひとりが乗りうちしたなら咎めるのも分かるが、
なんで俺ひとりだけ咎められなきゃならんのだ、姿を現せ!」
怒鳴るが大蛇は姿を現さない。
巫女は正気に戻り、馬は祈りもあってかすぐに回復した。
福士「まあまあ怒るな、たかが巫女の言ったことではないか。もう日暮れだ、先を急ごう」
玉山「……貴殿は先に三戸へ行ってくれ」
よっぽど怒りが溜まっていたのか、玉山は服を脱ぎ捨て、池の中に入ろうとする。ちなみに季節は真冬である。
「ちょっ、トチ狂ったか玉山!?」
止める福士の話も聞かず、玉山は池に飛び込んだ。
259 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/02(火) 17:27:41 ID:bbtR+XkX
玉山大和の化物退治 その1-2
池は奇麗でチリもなく、水は湯の如く温かかった。
池の主らしきものは見つからなかったが、四~五丈ほどの臥せ木が横たわっている。
あるいはこれが池の主かもしれない。玉山はこれを引き上げようと福士に縄を用意させた。
福士はあきれ果てながらも、玉山の指示通り縄を用意した。
縄を木に付け終えた玉山は家臣二十~三十人でこれを引かせたがびくともしない。
往来の人に縄を牽くよう脅し誘い、さらに集まってきた見物人をも参加させて、
百人ほどでようやく岸辺まで上げたが、そこからどうにも動かない。
玉山は急いで三戸に使いを出す。
使者「玉山・福士が蓑が坂の池の主を引きあげています、ご加勢をたまわりたい!」
信直「……あの玉山が無茶苦茶すんのは今に始まった事じゃないからなぁ」
と信直はさらに五十人を遣わし、そうしてようやく引き上げたのは、なんの変哲もない朽木だった。
もう日も暮れる。玉山は根っこのほう三尺ばかりを斬り、それを三戸へ土産として持っていった。
翌朝朽木を見れば、それは何とも恐ろしい大蛇の首になっていた。それを見た信直はこう言った。
信直「こういうものは後でたたりをなすという。だが、その肉を食べればたたらぬそうだ。
玉山、食え」
大蛇は煮て食べられ、たたりも起きませんでしたとさ。
261 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/02(火) 19:17:49 ID:2/jB8DPt
>>259
>縄を牽くよう脅し
往来の人すごい迷惑w
玉山大和の化物退治 その1-1
南部氏の家臣玉山大和。彼は南部信直の父南部高信のもとで、岩手郡の平定などに功を成した勇武の士であった。
ある時、彼は同僚の福士伊勢と共に三戸城へ向かっており、ふたりが蓑が坂という所にさしかかった時、
突然玉山の馬が病になり倒れてしまった。
どうしたものかと思案しているとちょうど巫女が通りがかり、玉山はお祈りしてくれないか頼んだ。
巫女「えー、嫌ですよ、馬なんか祈ったことないし」
玉山「人と獣じゃ薬が違うってのは分かるが、祈りに異なることはねえだろ、祈らなくばここを通さんぞ!」
玉山の脅しに巫女は渋々馬に祈ったが、すると巫女は突然神がかり口走った。
「我は坂の下の池に千年住む大蛇なり。諸人が我が頭の上を乗りうちすることが無念で
それを咎める為に馬を倒れ伏させたのだ」
巫女に乗り移った池の主の言葉に、玉山は切れた。
「この坂を通る皆が下馬する中で俺ひとりが乗りうちしたなら咎めるのも分かるが、
なんで俺ひとりだけ咎められなきゃならんのだ、姿を現せ!」
怒鳴るが大蛇は姿を現さない。
巫女は正気に戻り、馬は祈りもあってかすぐに回復した。
福士「まあまあ怒るな、たかが巫女の言ったことではないか。もう日暮れだ、先を急ごう」
玉山「……貴殿は先に三戸へ行ってくれ」
よっぽど怒りが溜まっていたのか、玉山は服を脱ぎ捨て、池の中に入ろうとする。ちなみに季節は真冬である。
「ちょっ、トチ狂ったか玉山!?」
止める福士の話も聞かず、玉山は池に飛び込んだ。
259 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/02(火) 17:27:41 ID:bbtR+XkX
玉山大和の化物退治 その1-2
池は奇麗でチリもなく、水は湯の如く温かかった。
池の主らしきものは見つからなかったが、四~五丈ほどの臥せ木が横たわっている。
あるいはこれが池の主かもしれない。玉山はこれを引き上げようと福士に縄を用意させた。
福士はあきれ果てながらも、玉山の指示通り縄を用意した。
縄を木に付け終えた玉山は家臣二十~三十人でこれを引かせたがびくともしない。
往来の人に縄を牽くよう脅し誘い、さらに集まってきた見物人をも参加させて、
百人ほどでようやく岸辺まで上げたが、そこからどうにも動かない。
玉山は急いで三戸に使いを出す。
使者「玉山・福士が蓑が坂の池の主を引きあげています、ご加勢をたまわりたい!」
信直「……あの玉山が無茶苦茶すんのは今に始まった事じゃないからなぁ」
と信直はさらに五十人を遣わし、そうしてようやく引き上げたのは、なんの変哲もない朽木だった。
もう日も暮れる。玉山は根っこのほう三尺ばかりを斬り、それを三戸へ土産として持っていった。
翌朝朽木を見れば、それは何とも恐ろしい大蛇の首になっていた。それを見た信直はこう言った。
信直「こういうものは後でたたりをなすという。だが、その肉を食べればたたらぬそうだ。
玉山、食え」
大蛇は煮て食べられ、たたりも起きませんでしたとさ。
261 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/02(火) 19:17:49 ID:2/jB8DPt
>>259
>縄を牽くよう脅し
往来の人すごい迷惑w
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