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大越顕光・嫉妬と浅慮で

2010年11月12日 00:00

533 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 23:04:07 ID:ayC4ya/F
戦国時代末期、陸奥国田村家の一門に大越顕光という人物がいた。
この人物、天文初年から田村家に仕え続けて四十余年。
田村家中で第二の大身(一万石ほど)として文武に渡って田村家を支え続けてきた柱石の一人だが、
天正十四年に田村清顕が病死して家中に伊達派と相馬派の争いが起きると、
顕光は相馬義胤の従兄弟でもあった関係から相馬派の指導者として主導権争いに敗北、
他の相馬派のメンバーともども地理的に近かった岩城家の軍門に下っていた。

さて、時は下って同十七年。
伊達政宗は田村家の旧領全域を確保したいという算段から、
自ら三春城への出仕を禁じて追放とした親相馬派メンバーの全面赦免に踏み切る。
これに顕光と行動を共にしていた田村梅雪らが応じて田村家に帰参し親相馬派は瓦解、
岩城家に残り続ける顕光の立場は微妙なものとなった。

その顕光はといえば、このごろ本田孫兵衛という小姓に随分とご執心だったらしい。
奥方も随分放置プレイだったと見えて、日ごと本田との逢瀬を重ねる夫に対して
日に日に怒りと嫉妬を募らせていた。
そんなある日のこと。夫が外出した後に玄関を見渡すと、なにやら手紙が落ちている。
妻はそれをさっと手に取ると、
「……どうせあの淫売野郎への恋文でしょ(ビキィ)」
……読みもせずに断定した。せめて読め。

だけでなく、
「お兄ちゃん聞いて、あいつ殺s(ry」
「おちけつ」
大越家一門で、自らの実兄である大越甲斐守のところに手紙を手にして駆け込んだ。
んでもって、自分で開けてもない手紙を渡して「これ読んで、酷いでしょ」などと言い放つ。
だから読んでもない手紙でなんで第三者に苦情を言い立てるのか、しかも渡しちゃうのか。

おそらく大越甲斐守も困惑しただろう……と、思いきや。
「……これは酷い。義兄上には相応の報いがあるだろう」
一読してのその反応は、まんざらなものでもなかった。
彼は妹に義兄顕光の過ちを質すと快く請合って、上機嫌な妹から手紙を受け取った。
そして妹を大越城へと送り出すと、甲斐守は手紙を懐にして馬上の人となる。
向かう先は、大越城――では、ない。
馬首を巡らすは岩城家の本城、飯野平城へと、である。

実はこの妻が玄関先で拾ったという手紙、本田への恋文などでは決してなく、
田村宗顕への帰参と、岩城攻めを打診する謀叛のはかりごとを記した手紙だった。
甲斐守はもとより義兄顕光と仲が悪く、当主の座も狙っていたことから、
妹が愚かにも持ってきた手紙を一読するや、これを岩城常隆に注進する決意を固めたのだった。

果たして通報から時を置かず、顕光は急ぎ飯野平に登城することを求められ、
ことの露見を知らずにその下命に従い、その場で切腹を命じられた。
大越家当主の座は甲斐守が継ぎ、以後の彼の妹、顕光の妻の消息は不明である。

嫉妬と浅慮のコンボで全てを亡くしてしまった悪いお話。




534 名前:れこ[sage] 投稿日:2010/11/10(水) 23:46:56 ID:ReFSE21/
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