長尾輝景の川田城攻め

2011年01月18日 00:00

267 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 04:01:53 ID:21iqkfIz

>>http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-5045.html
沼田方面でこんな事をやっている頃。
利根川対岸の川田地区では北条氏照の率いる二万の軍を迎えていた。

この川田城を落とされたら、名胡桃城までの道が開けてしまう。
岩櫃城の真田信幸が上田に居る現在、吾妻からの援軍は望めない。
沼田城からは根津幸直が派遣されてはいたが、彼を加えても総勢は三百。

氏照は白井長尾輝景を先陣として、子持山峠を越えて川田に押し寄せる。
戦略も戦術もない、兵数差を前面に出しての力押しだ。

ところが、川田城は包囲しても反応はなく、攻撃を仕掛けても反撃もない。
城内に突入してみると、そこには人っ子一人いない空城。
「防衛を諦めて名胡桃城に退却したか……まぁ、当然だな」
肩透かしを喰った長尾輝景は、一旦氏照の本陣に帰還するべく、兵をまとめる。
山の中の小城であった川田城には、大軍の北条勢を収容する施設などなく、わずか
な守備兵のみを残して引き上げざるを得なかったのだ。

奇襲があったのはその帰り道。
てっきり真田勢は名胡桃城に退却したものと思い込んでいた長尾勢は、川田城の支
城であった大竹城に対して、完全にノーマークであった。
そう、根津幸直を筆頭にした真田勢三百は川田城を捨て、支城の方に潜んでいたの
である。

土地勘のない山の中、茂みにはまって身動きの取れなくなる者、崖から落ちる者、
沢に落ちる者……死傷者は続出し、これほど険しい山中では、負傷者は捨てて行か
ざるを得ない。
これによってますます長尾勢の被害は増えて行った。


「川田がこれほどの難所だとは思わなかった。こういう山中では、大勢で一度に攻
め寄せても数の有利が活かせない。今日の敗戦は力攻めを命じた俺のミスだ。明日
はこちらも小勢で攻め寄せるべきだ」
敗戦を聞いた北条氏照は翌日、小部隊による川田進軍を命じる。
小部隊とは言ってもその数は二千。しかも三方向からの同時侵攻であり、合計六千
の兵力である。
三百の真田勢に抵抗の術はない。誰もがそう思っていた。

ここで一つ不思議な事があるのだが、北条家には真田家から寝返った上州国人衆が
大勢居る筈なのだ。しかしこの時の侵攻に際して、彼等の持つ川田の地勢等の情報
が活かされた形跡がまったくない。
>>http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-5034.html
のように真田家に帰参した者がいた事を考えると、彼等はあまり重用されていなか
ったのかも知れない。


268 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 04:03:18 ID:21iqkfIz


北条勢三手の内の一つを率いた長尾輝景、昨日の雪辱を誓って川田城へと殺到する。
が、今日も川田城は空。
念のために大竹城や、周辺の山の中も捜索してみるが、伏兵がいる様子もなかった。

「昨日の勝利に満足して、今度こそ名胡桃城に引き上げたのでは?」
「それとも、他の攻め口に迎撃に出たのかも知れんな」
「それでは、我々が他部隊と合流すれば、挟み撃ちに出来ますな」
「だが……お前、道知ってる?」
「……知りません」
「まぁ、放っておいても二千対三百なんだ。問題なく勝てるだろ?」
昨日、その三百に負けた将の言葉とも思えないが、常識的な認識ではある。
長尾輝景はこの日も兵をまとめ、子持山の峠を引き返して行こうとした。


帰り道にやっぱり奇襲があった。
「今日もかよっ!?」
「今日もだよっ!!つか毎日毎日、引っかかってんじゃねーよ!!」
峠に差し掛かった辺り、無駄足で引き返す北条軍を、根津幸直率いる真田勢が襲撃
する。
往路を襲撃しなかったのは、峠を下ってくる北条軍に攻めかかるのは不利、まして
これから城攻めをしようという敵は戦意が高い。だから陣地に帰ろうと、峠を登っ
てくる時に襲撃した方が良いと考えたのだろう。
長尾勢が川田城であれこれとしている間、十分に準備を整えて待ち構えていた真田
勢は、森から矢を射かけ、斬りかかったと思えば、森の中にサッと引き上げ、別方
向から斬りかかり……地形を知り尽くしたゲリラ戦でこちらの兵数を悟られぬよう、
奮戦をする。

この日も遂に長尾勢は追い立てられ、氏照の待つ本陣へと逃げ帰る事になった。


が、しかし、そこで待っていたのは激怒の表情を浮かべた北条氏照。
「お前もか」
「……はい?」
この時点では長尾輝景は自分が真田勢三百と交戦したと思っている。
だから自分は叱られるだろうが、他の二隊は無傷で帰還したのだろう、と。
「長尾、多目、小幡……貴様等三人揃いも揃って、二千の兵を率いて百人の真田勢
に打ち負け、おめおめと尻尾を巻いて逃げ帰って来おって!!」
「ひゃ……百!?」
この日、根津幸直は驚愕の策を立てていた。
三方から迫りくる六千の北条勢に対し、真田勢三百も三つに分けたのだ。
(二千vs百)×3という状態である。

「……と、言う事は……」
他のルートで進軍していた多目周防守、小幡上総介もやはり、百人の真田勢に破れ、
本陣まで逃げ帰っていたのである。
この日、根津隊が討ち取ったのは八十四人。他の二部隊もそれぞれ二十人、三十五
人を討ち取って沼田城に首を送った。
矢沢頼綱はこの戦果に大喜びし、沼田城を包囲する北条軍の目の前に晒したのだと
言う。

北条氏直が率いる本隊も沼田城を中々攻め落とせず、氏照隊の敗戦を聞いた氏直は、
遂に沼田からの撤退を決断したという。


百人で二千人を撃退とか。しかもそれを三部隊で同時にやってのけるとか。
いやいやいやいや、バケモノにも程があるだろ!?




269 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 04:08:00 ID:c+m7gPcR
流石は関東

謙信も京に登るより関東に固執したのが分かる気がする

271 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 06:56:50 ID:wbnK5ZZ7
>>269
天庵「その関東への固執が命取りよ」

272 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 07:21:31 ID:Izz/q1D7
真田が絡むと、元からカオスだった関東がさらにやばいことになるな

273 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 08:10:11 ID:74SI7RaR
日本一の大平野を見たら謙信ならずとも誰だって欲しくなるだろう
酒に関しては越後の酒のほうが美味だったのかもしれないが・・・

274 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 08:22:30 ID:/gFf1Ycl
>>268
とはいえ手前のテリトリーでの局地戦でしか強くないイメージ

275 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 08:36:40 ID:5VchPHjp
以前、国道17号で新潟に行ったことあるけど、三国峠のトンネルの群馬側
は普通だったのに新潟側は雪降ってて正にトンネルを抜けると雪国って感じだった。
道も全然整備されていない当時、越後からわざわざあの峠を越えて遠征するのは
そうとう難儀だったろうに毎年のようにやって来る執念だけはすごい。
得るものは全くないのにw

途中沼田も通ったけど、耕作出来る土地なんてほとんど無いような山地だった。
こんな僻地を巡って真田と北条はどんだけ必死に争奪してるんだと呆れるほど何もない
真田にとっては必死だったけど、北条はそんな必死になるような場所でも無かった
のかもしれん。



276 名前:人間七七四年[] 投稿日:2011/01/17(月) 10:50:18 ID:Ah8ighjE
真田なんて正々堂々と戦う事知らないんだから
大群で兵糧攻めしてやれば良いのに、、、

277 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 10:51:06 ID:VuLje1OU
大軍の兵站が先に続かなくなるのがオチだろ

278 名前:267-268[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 10:56:18 ID:21iqkfIz
実際、北条が真田を攻めた事は何度もあるけど、毎回一ヶ月前後で撤退してる。
それが兵站のリミットなんだろうね。

279 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 10:58:39 ID:Tz2le1PU
大軍を維持するための兵糧を横取りされる図しか思い浮かばない

280 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 11:53:18 ID:BaQsRr1I
>>275
冬の間無駄飯食らいになる父ちゃんらが関東に出稼ぎに行ってて母ちゃんたちホクホク
雪が少なくて多少暖かい関東でヌクヌク
そこらじゅうに保管されている米を食いまくってムシャムシャ

というメリットが

281 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 12:08:52 ID:wZfjERuJ
おまけにかわいい姫や村娘も美味しくいただきました、と

小幡って小幡信貞?西上野戦法衆で鳴らした男が…
落ちたものだな

282 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/01/17(月) 15:47:14 ID:EsgbJQfX
>>275
沼田には谷や盆地があるだろ
中世までの日本人は大河川や河口の湿地を治水する術も大政権も無いから
治水しやすい小河川の作った谷に住んでたんだよ
>>268に出てくる小幡氏の本領も小河川沿いにある
現代人が考えるほど価値は低くない
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