大木権左衛門の年始廻り

2012年01月01日 22:00

213 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/01/01(日) 12:42:49.95 ID:QnFMfllv
鍋島勝茂の家臣・大木権左衛門が、年始廻りで勝茂の四男・直弘の屋敷を訪問すると、直弘は具足に身を固め、
馬に乗って竹刀を持ち、近習相手に馬上太刀の稽古をしているところだった。

権左衛門が直弘に近寄り挨拶すると、直弘は特に返礼も無く「権左衛門、できるかな。」と竹刀を向けた。


大木一門は、もと蒲池氏の重臣であり、蒲池鎮並が龍造寺隆信に謀殺されると佐賀に駆けつけ、隆信を罵倒した上で
切腹しようとしたが、その心意気に感動した隆信が、さんざん慰留して家臣にしたという硬骨の家柄である。

父の家臣とは言え家中名誉の一門出身で、はるかに年長である歴戦の士に、ロクに挨拶もせず竹刀を向けた
直弘の態度は、とても褒められたものではない。


しかし権左衛門は、直弘の近習から竹刀を受け取ると、「されば、一槍つかまつる・・・やーっ!!」
未だ体勢の整わぬ直弘に駆け寄ってその脇を突き、馬から真っ逆さまに突き落とした。

何とか起き上がった直弘は、「も、もう一槍!」と言ったが、見ていた直弘の弟・直長が馬にまたがった。
「いや兄者、今度はそれがしが参りましょう。ゆくぞ権左衛門!」

ところが権左衛門は直長の突撃をスルリとかわすと、これまたその脇を突き、直長をも落馬させてしまった。

「正月早々、武者の首を二つも取り申したわ。愉快ゆかい。」権左衛門はカラカラと笑って退出した。
(葉隠より)




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