豊臣姓のこと。および九条稙通について

2015年05月02日 14:05

725 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/01(金) 22:54:58.29 ID:uLNeMyLn
豊臣秀吉がある時、近臣に語った。

「わたしは尾州の民間より出たのであるから、草刈りをするすべは知っていても筆を取ることは知らない。
それが今、不慮に雲の上の交わりをなす身と成ってしまった。
しかし我が母が若き時に、内裏の御厨子の下女であったが、それが玉体(天皇)に近付き奉った事があった。
その夜、母は夢に、御祓箱が伊勢から播磨へ、隙間もなく空を飛行するのを見、また

『ちはやぶふる 神のみてくら 手に取りて (ちはやふる神に奉納する物を手にとった)』

という歌を夢の中で感じ取って、私を懐妊されたのだ。
この夢は災いを予知したものではないと見えて、私は信長公より許され播州に出陣し、即時に平らげ
それから中国に掛かって毛利と先陣する時に、明智の乱を告げ来る故、時日を移さず討って上がり、
主君の怨敵たる明智を滅ぼし紫野において信長公の葬儀を執り行い、朝廷に請うて御贈官をなし奉り、
一宇を建立して御位牌を崇めた。

こういった事の冥加であろうか、いま、私は図らずも貴き身となったが、土民であるから氏姓がない。
草刈りの成り上がりたる身であるので、いにしえの鎌足大臣の御名をよすがに、藤原氏を免されん。

この殊に、近衛(前久)殿より「いと易きことである。」とはからいがあった所、九条禅閤稙通公が
お聞き及びに成って、「摂家は何れも隔たり無いと言っても、長者は当家の事であるから、近衛殿の
思うままには成るべからず。」と主張したのだ。私はこれに

『物知りである九条禅閤公が仰るのだから、何か仔細があるのだろう』

そう思い、徳善院(前田玄以)に命じて近衛殿、九条殿を大徳寺に招いて、その相論を聞いた所、
『嫡流庶流の事、旧記、伝来の重器である近衛家の鎌、九条家の大識冠の真影(藤原鎌足の肖像)、
恵亮の法華経、狐丸の太刀、および三代の名記』等々、みずからの家が摂家の長者で有ることを示す
様々な証拠を提示して互いに争った。

この有り様に私は、このように耳遠き争いのある、難しい藤原の蔓葉になるよりも、思い切って今までにない
氏になったほうが良いと考え、右大臣(今出川晴季)と密かに議して上奏し、豊臣朝臣という新姓を
勅許されたのだ。」

その後、秀吉に関白宣下があったのを九条稙通は聞くと
「この職は他家が任じられる謂れはない。八百万の神、並びに春日の社の御罰かしこし」
と言われたが、はたして秀次事件の時に、近衛殿は薩摩坊津に、菊亭殿(今出川晴季)は信濃国に配流された。
その上、御女の一の台殿をも大路を渡し参らせた事など、古今に例無きことであった。
その頃建仁寺の十如院永誰和尚が詠んだ『道するに 車にあらで大臣を のするがごとしになふ棒の津』
というものも、この事を表しており、秀吉の世がその一世のみで、秀頼は滅びその幼子は河原者の手に
誅せられたのも浅ましいことである。

かの九条稙通殿は正しき御振舞のある人物であると、世に云い伝えられている。
織田信長公が上洛された時、洛中洛外まで、どのような身分の人々も我先にと馳せ参って
見参しへりくだっている所に、この公だけは立ったまま差し向かって「上総殿、御入洛大儀」
とだけ言って帰られた。これに信長も不快になり、「九条殿は私に礼を言わせるために来たのか!」と、
甚だ立腹したが、公は少しも恐れず「仮に一命を失っても家の恥を残すまじ」と語ったという。
これはその当時、間違いなく近くでそれを見ていた人の記録の中に見える。

(明良洪範)



726 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/01(金) 23:19:34.90 ID:Egezbr7G
上総って私称じゃなく正式に貰ったものだっけ?

728 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/02(土) 12:04:01.04 ID:E+o/sl1c
上総守名乗っちゃった

731 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/05/03(日) 09:59:16.53 ID:pKqmrBc2
>>728
守では無い!神だ!

734 名前:人間七七四年[] 投稿日:2015/05/03(日) 22:18:07.93 ID:tfj3Fdu4
>我が母が若き時に、内裏の御厨子の下女であったが

これはよっぽど出自コンプがあったのかな?
聞いてる方も辛いと思うわw


スポンサーサイト

九条稙通の不思議な話

2015年04月25日 15:59

865 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/25(土) 07:04:05.13 ID:5r9IOFLr
九条稙通の不思議な話

関白九条稙通公は飯綱の法に凝っていた事がある

稙通公の寝る所には必ず頭上の木々にフクロウが留まり、道を歩けばつむじ風が起こった

「京都の昔話」



里村紹巴と九条稙通

2015年04月24日 18:38

686 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/24(金) 16:13:20.38 ID:4P9hbfME
里村紹巴九条稙通

前(さき)の関白九条稙通は朽ちた庵に隠棲していた
さる日連歌仲間の里村紹巴が彼を尋ね、挨拶もそこそこに世間話となった

紹巴「近頃はどの様な書物を読まれていますか?」
稙通「源氏物語ですね。名作ですよ」
紹巴「そうですか。ところで歌に関する書物を探しているのですが、なにか参考になりそうな本はありますか?」
稙通は再び源氏物語と答えた
紹巴「…ときにこの庵で淋しくはありませんか?お心をお慰めするものでもあるのでしょうか?」
これにも稙通は源氏物語と答えた

稙通「60年ほど読んでますがまったく飽きません。むしろ延喜の世界に住んでいる心地になりますのでこの書ほど興味深いものはありません」

底抜けに源氏物語が大好きな九条稙通の話

私が飯縄の法を成就したと思われるのは

2013年01月07日 19:58

57 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/07(月) 17:37:32.51 ID:3GxYd8/y
九条稙通が若年の頃は天下の乱れも激しく公家の知行も絶え絶えとなった。
都での生活もままならないということで稙通はあるいは和泉堺、あるいは
九州に徘徊した。また、武勇も心掛けていた。

稙通は機嫌の良い時には色々と昔語りをしたものだった。

ある時、稙通は「何事も思い立ったならば中途半端にせず極みに至ることを
肝要とするが、私が飯縄の法を成就したと思われるのは、どこで寝る時でも
家屋の上に、夜半時分に鳶が来て鳴くのだ」と言った。また、歩く先には
辻風が巻き起こったのだとも。

――『日本史伝文選(戴恩記)』

なにそれこわい。




59 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/07(月) 18:29:19.42 ID:Q9pptOGo
>>57
鳶職「へぇ、この屋根の立て付けがね あっしも半端な仕事じゃ家に帰ぇらない性分でして、夜分すいやせん」

60 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/07(月) 18:30:00.35 ID:NKp8GPB6
>>57
飯縄の法を極めた関白か…
くっ…鎮まれ!俺の厨二心よ!

62 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/07(月) 19:00:17.30 ID:L0ct/Gz8
事例1
まず油揚げを準備します。
毎夜、飯縄権現へのお供えします。
寝ます。
鳶「ピーヒョロロロロ(油揚げウメェー)」
九条稙通「飯縄の法極めたどー!!」

事例2
まず油揚げを準備します。
出かけるときは手に持って行きます。
絶対に手放してはいけません、周囲を警戒しながら歩きましょう。
ビュッ
九条稙通「飯縄の法極めたどー!!」
鳶「(チッ、失敗か・・・)」

63 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/07(月) 20:52:46.49 ID:OgEUKHyR
油揚げさえあればいいのかw

64 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/07(月) 23:14:54.93 ID:dVmOGLXB
>>57
何の役に立つんだろう・・・(ボソッ

65 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 07:46:33.70 ID:4FONf9sT
歩く先を旋毛が走るんだぞ
カッコいいじゃないか
それで十分だよw

66 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 09:40:44.36 ID:ayThlQHv
半将軍様がアップを始めました

67 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 11:08:13.56 ID:vaXDizch
長享2年「池の上に人の頸」
明応2年「頭は馬、尾は蛇、蹄は牛のような化鳥」「炎をまとった鳶付きの辻風」
半将軍様、次はいったい何を!?

68 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 11:34:56.52 ID:uSvpzqj7
九条稙通は妻不詳で養子をとってるんだね
これはつまり…

70 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 12:34:42.86 ID:4Gc5Tpgu
>>68
毘沙門の人も達人だったの?

71 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 13:32:00.27 ID:Ia4v72Fr
>>68
現代日本だと、同性カップルは法律上で養子という形が一番収まりがいいと聞いたことがあるがwww

72 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 16:19:27.50 ID:Pgi4d1yL
>>71
妾への遺産贈与もな>養女
>>70
養子4人とるってどういう現象なんだ 上条も山浦もそんな大した容貌だったのかよ

74 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 18:25:36.68 ID:cXxe4Yzx
>>72
容貌は良くなくとも具合は良…おや?誰だこんな時間に法螺貝吹いてr

75 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/01/08(火) 18:32:52.17 ID:c1DZkqlY
>>74殿はどちらに行かれたのだ?
宇喜多直家様からいただいた酒をお裾分けに参ったのに

九条稙通は勇猛な人であった

2012年11月10日 19:18

356 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 14:33:05.51 ID:CVfvJ0Ol
九条稙通は勇猛な人であった。

鬼神の如く世に恐れられた織田信長にはいずれの公家も媚びへつらったものだが、
この玖山公は立ちながら向かい会い「上総殿が入洛めでたし」と言って帰ったので、
信長は機嫌を悪くして「九条殿は我に礼を言わせに来られたか」と腹を立てた。

例え一令を失うとしても、公家の行跡を乱して御家の恥を残すまいという心故であろう。

「時勢に従わずに不用なことをなさる」と謗る者もいた。
または「『智者は惑わず、勇者は怖れず』ということだ」と誉める輩もいたのだとか。

――『日本史伝文選(戴恩記)』




357 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/10(土) 19:36:26.09 ID:ghAmbUb8
九条さん剛の者だな
蜂須賀小六、荒木村重との逸話もそうだけど、
織田信長は座敷の場でもタイマン一歩手前な状況になることあるな
すごく威圧感のあるタイプだったんだろう

九条稙通の教養

2012年09月22日 20:30

564 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/09/21(金) 22:01:54.76 ID:LqlbWoBI
九条稙通といえば山科言継、近衛前久らと並ぶ戦国時代を代表する公家だが
いかんせんどんな人物だったか、まではよく知られていない
ウィキペディアですらわずか2行(ほとんど1行といってもいい)ほどしか記述がない
そんな稙通だが戴恩記にこんな話がある

あるとき稙通に色々物を習っていた松永貞徳が、4、5日出かけて戻ってきたときに
稙通が「どんなことがありましたか?」と聞いてきたので貞徳が
「いやあ聚楽第の毛利の屋敷で連歌の会がありまして
このとき里村紹巴殿(明智光秀の連歌の会の件でも有名な人)
が庭に咲いている梅花を見て
『梅の花 神代もきかぬ 色香かな』
(この梅の花の色や香りは 不思議なことだらけだったっていう神話の時代にも聞いたことないぜ!)
と呼んだのでみんな喝采の拍手でした」
と言ったらここで稙通
「おやおや、紹巴殿は連歌の腕は確かのようですが
いかんせん古歌には精通していないようですなあ」とご立腹だった
どうしてかと貞徳がわけをきくと
「いいですが、神話の時代にも聞いたことがないとは
在原業平がかつて
『ちはやぶる 神代もきかず たつたがわ からくれないに 水くくるとは』
(竜田川がまるで真っ赤に絞り染めしたように一面紅葉だらけで美しいぜ!
こんなのは不思議なことだらけだったっていう神話の時代も聞いたことがない!!)
と詠んだように具体的に竜田川の見たこともない美しい光景をとって
神話の時代にも聞いたことがないと言っております
同じように夢庵も
『冬咲くは神代も聞かぬ桜かな』
(冬に咲く桜なんて、不思議なことだらけだったていう神話(以下略))
と詠んでいます、これは冬に桜が咲く珍しさと、場所も伊勢ということもあって
神話の時代にも聞いたことがないと言うに相応しい
それにつけて紹巴殿は大して珍しくもない梅の花につけて「神話の時代にも聞いたことがない」
とおっしゃっています、一体何の根拠があってそんなことを言うのでしょう」

これには貞徳も「俺のような若輩者にもなんて分かりやすくて最もな説明……!!」
と感心したそうだ

九条稙通の教養のほどがうかがい知れる話






566 名前:人間七七四年[] 投稿日:2012/09/22(土) 00:09:56.87 ID:EB2SNDHC
時期が時期だけに戦国武将みたいな名前だな

567 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/09/22(土) 02:21:26.19 ID:OMEEsOQL
幕末には「○麿」と名乗る武士が増えたらしいから時代ってあるかも(司馬ソース)。
でも基本、公家と武士って名前そんな違わないでしょ?

568 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/09/22(土) 11:02:12.04 ID:hBrVEyEn
名前が何を指しているかにもよるけれど、
諱の場合は好んで使われる使われる漢字(含む通字)に差があるな
言継とか雅庸とか実条とか武士ではなかなかお目にかからない

569 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/09/22(土) 11:12:38.65 ID:Rak/zI8J
五摂家の当主でも将軍から偏諱を受ける感じなので武士っぽさも増すんだよな

570 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/09/22(土) 11:23:18.44 ID:qRdHmeZi
>>569
それは二条さんのとこだろ

571 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/09/22(土) 11:49:15.02 ID:xhLZRFUp
>>566
義稙の偏諱だし