吉田大蔵と狐憑き

2012年10月06日 20:27

734 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/10/05(金) 21:36:25.68 ID:kxFkJIdo
前田利常に仕える吉田大蔵といえば、弓の名人として有名であった。

ある時、この吉田大蔵が利常に扈従して京都に赴いたその帰路、近江の宿泊予定の宿に向かっていた。
と、その頃その宿では、大変な騒動が起こっていた。なんと宿の倅に狐が憑いたのである。
宿の主人をはじめ皆困惑していた所、この倅が突然騒ぎ立てた

『吉田大蔵が来る!なんと恐ろしいことだろう!!』

そう叫んで逃げまわったのである。と、そこに一人の武士がこの宿を訪ね現れた。
主人はおずおずと尋ねる「貴方様は、吉田殿ではございませんか?」

「ああ?左様である。」

「おお!では…」主人は息子のことを詳しく大蔵に語った。そして「どうか息子に憑いた狐を祓い退けてほしい」と
懇願した。

大蔵は暫く考えて「ならば、あるいは汝の倅を射殺してしまうことになったとしても、差し支えないか?」
これには主人も顔色を変えたが

「…我が息子は既に狐に憑かれている以上、有るといっても無いに等しい状況です。
そうであれば、貴方様に射殺されたとしても、彼も又成仏つかまつる事になります。ならば、あえて貴方様を
恨むようなことはいたしません。」

「そういう事であれば」
大蔵、この主人からその旨を記した誓詞を取り、宿の者達に命じてその倅を庭の木に縛らせ、
弓を取ってこれに向かい、目いっぱいに弓を引いて倅に狙いをつけると、したたかに叱りつけた!

「狐よ!速やかに去れ!!去らずば直ちに射殺すぞ!!」

するとこの倅は声を上げて泣き始めた。そして暫くすると、正気に戻った。
狐は去ったのである。

この事があって吉田大蔵の名は、さらに遠近に響き渡ったという。
(武士道美譚)




735 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/10/05(金) 21:50:57.18 ID:Bx8jRiDT
後のインフォームドコンセントである

736 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/10/05(金) 22:21:21.92 ID:P8zahjUb
厨二病は死にそうになると治る。
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