437 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 05:59:52.34 ID:WGnTcA71
まとめには別説がもうあるけど。
奥羽永慶軍記より「田村清顕卒去、原田宗時盗人を討つ事」
天正14年(1586年)、田村清顕はとうとう跡継ぎを得られないまま亡くなる。
「せめて後世の為に祈らん」と大般若経600巻を手づから書き写し、大元帥明王へ
奉納したのちの逝去であったという。
ところが不思議なことに三七日(みなのか=21日法要)も終わらないうちから明王の社に
妖怪変化が住み着いた、との噂が立ちはじめる。
「清顕公が無念に思うあまり化けて出たのだ」と領民はすっかりおびえ、日暮れ時には
全く人通りもなくなってしまった。
また社近くの村に住むある女などは、世にも稀なる嫉妬深さで隣村の女が夫と不義密通をしていると邪推し、
夜な夜な社の神木へ釘を打って丑の刻参りをし始めた。
その奇行はやがて人目に触れ、「かの妖怪はもしやあの女かもしれん、正体は角の生えた蛇じゃぞ」と
領民はさらに恐怖心を募らせていく。
さらにさらに恐ろしいことには、翌天正15年の正月早々にはその女が
化け物に引き裂かれたかのような惨殺体で発見されたのである。
「公の御霊は悪鬼と成り果てたか」
領民はすっかり恐怖のどん底に陥ってしまった。
清顕の寡婦・於北御前はこの噂を恥じれども打つ手がなく、家老一門にいたるまで閉口して
うつむく有様であった。
そのころ伊達家の勇将・原田宗時は政宗の秘命を帯びてひそかに三春へとやってきていた。
※訳者注、先代隆顕未亡人・小宰相と連絡して田村家中を伊達派へ促す目的かと推測。
連れてきた家来が不肖者で早くもへたばったので大元帥明王からほど近いところに宿を取ると、
人々が清顕公の祟りを噂しているのが聞こえてきた。
438 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 06:05:29.08 ID:WGnTcA71
宗時は一考し、「このような噂が政宗公の耳へ入ればさぞ物憂きことだろう。
しかし、女の身体を引き裂くというのは亡霊にあるまじきこと、その昔渡辺綱に
腕を斬られた茨木童子のような鬼の類ではないだろうか」
「わしはさすがに渡辺綱ほどの武勇はないが、斬れるものなら斬ってやれないことはない。
よし、今宵の丑の刻、社へ行って退治してくれよう」
と密かに決意して身体を横たえた。
その夜、へっぽこ家来を起こさぬようこっそり支度を終えた宗時は、意気軒昂社へ乗り込んだ。
辺りを見回しながら屋根に上ると、なるほどたしかに真っ白い何かが5、6人ほど高いびきをかいている。
「ん?」
ここで宗時は気付いた。夜中で見え辛いには見え辛いが、どうみても身の丈5、6尺を超えず人外とは思えない。
「こやつら流れ者の強盗ではないか!妖怪の真似をしくさって人々を脅かすとは許せん!…斬る!!」
怒り心頭、ズドンと屋根を踏み鳴らし
「おのれら化け物を誅すべく原田左馬助が参ったぞ!早々起き上がれ!」と怒声を浴びせかけた。
強盗団の頭と部下たちは、よく寝入っていたところを急襲されたので太刀を抜く暇もなく
立て続けに斬り捨てられてしまう。
宗時の方はなおも油断せず、手足の動く者がいれば入念に刺し殺した。
全てが済むと太刀を納め「このようなこと、誰に自慢できるわけでもなし」とこぼして帰って行った。
夜が明けて6つの死体を見た人々は、誰の仕業かと恐れおののいた。
しかしながら、異変がなくなったのが原田宗時の一宿したのちのことと気付くと
「さてはかの御仁がなせり」と安堵したという。
領主がいないとこんなに風紀が乱れますよ、という悪い話。
439 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 09:47:08.67 ID:wxl4YkBJ
へっぽこ家来が何かしでかすのかそれとも活躍するのかとwktkしてたら何もしなかったw
まとめには別説がもうあるけど。
奥羽永慶軍記より「田村清顕卒去、原田宗時盗人を討つ事」
天正14年(1586年)、田村清顕はとうとう跡継ぎを得られないまま亡くなる。
「せめて後世の為に祈らん」と大般若経600巻を手づから書き写し、大元帥明王へ
奉納したのちの逝去であったという。
ところが不思議なことに三七日(みなのか=21日法要)も終わらないうちから明王の社に
妖怪変化が住み着いた、との噂が立ちはじめる。
「清顕公が無念に思うあまり化けて出たのだ」と領民はすっかりおびえ、日暮れ時には
全く人通りもなくなってしまった。
また社近くの村に住むある女などは、世にも稀なる嫉妬深さで隣村の女が夫と不義密通をしていると邪推し、
夜な夜な社の神木へ釘を打って丑の刻参りをし始めた。
その奇行はやがて人目に触れ、「かの妖怪はもしやあの女かもしれん、正体は角の生えた蛇じゃぞ」と
領民はさらに恐怖心を募らせていく。
さらにさらに恐ろしいことには、翌天正15年の正月早々にはその女が
化け物に引き裂かれたかのような惨殺体で発見されたのである。
「公の御霊は悪鬼と成り果てたか」
領民はすっかり恐怖のどん底に陥ってしまった。
清顕の寡婦・於北御前はこの噂を恥じれども打つ手がなく、家老一門にいたるまで閉口して
うつむく有様であった。
そのころ伊達家の勇将・原田宗時は政宗の秘命を帯びてひそかに三春へとやってきていた。
※訳者注、先代隆顕未亡人・小宰相と連絡して田村家中を伊達派へ促す目的かと推測。
連れてきた家来が不肖者で早くもへたばったので大元帥明王からほど近いところに宿を取ると、
人々が清顕公の祟りを噂しているのが聞こえてきた。
438 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 06:05:29.08 ID:WGnTcA71
宗時は一考し、「このような噂が政宗公の耳へ入ればさぞ物憂きことだろう。
しかし、女の身体を引き裂くというのは亡霊にあるまじきこと、その昔渡辺綱に
腕を斬られた茨木童子のような鬼の類ではないだろうか」
「わしはさすがに渡辺綱ほどの武勇はないが、斬れるものなら斬ってやれないことはない。
よし、今宵の丑の刻、社へ行って退治してくれよう」
と密かに決意して身体を横たえた。
その夜、へっぽこ家来を起こさぬようこっそり支度を終えた宗時は、意気軒昂社へ乗り込んだ。
辺りを見回しながら屋根に上ると、なるほどたしかに真っ白い何かが5、6人ほど高いびきをかいている。
「ん?」
ここで宗時は気付いた。夜中で見え辛いには見え辛いが、どうみても身の丈5、6尺を超えず人外とは思えない。
「こやつら流れ者の強盗ではないか!妖怪の真似をしくさって人々を脅かすとは許せん!…斬る!!」
怒り心頭、ズドンと屋根を踏み鳴らし
「おのれら化け物を誅すべく原田左馬助が参ったぞ!早々起き上がれ!」と怒声を浴びせかけた。
強盗団の頭と部下たちは、よく寝入っていたところを急襲されたので太刀を抜く暇もなく
立て続けに斬り捨てられてしまう。
宗時の方はなおも油断せず、手足の動く者がいれば入念に刺し殺した。
全てが済むと太刀を納め「このようなこと、誰に自慢できるわけでもなし」とこぼして帰って行った。
夜が明けて6つの死体を見た人々は、誰の仕業かと恐れおののいた。
しかしながら、異変がなくなったのが原田宗時の一宿したのちのことと気付くと
「さてはかの御仁がなせり」と安堵したという。
領主がいないとこんなに風紀が乱れますよ、という悪い話。
439 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2012/11/21(水) 09:47:08.67 ID:wxl4YkBJ
へっぽこ家来が何かしでかすのかそれとも活躍するのかとwktkしてたら何もしなかったw
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