そしてついにその時が来た

2013年09月07日 20:03

283 名前:人間七七四年[] 投稿日:2013/09/06(金) 22:27:51.45 ID:3+5POUxL
上州は吾妻の地に羽尾治部入道道雲(幸全)という人物がいた。
海野長門守幸光、海野能登守輝幸兄弟の兄である。
羽尾道雲は同じく海野氏族である鎌原宮内少輔と西吾妻の覇権を争っていた。
武田信玄による仲裁も入ったが、結局鎌原宮内少輔は自領を追われて信濃へ逃れた。

永禄五年六月、羽尾道雲が万座温泉に湯治に出かけた隙をついて、鎌原宮内少輔はこれを奪還する。
逆に今度は羽尾道雲が信濃へ逃れた。
羽尾道雲はまた領土を取り戻すべく、自身の親類で鎌原氏の重臣である樋口某に「勝てば鎌原領はおまえのものだ」と内通を呼びかけた。

樋口某はこれに応じ、「攻めるのであれば雪が深くならないうちが良い。大前方面から攻めれば宮内少輔は自ら出てくるはずだ。
それで出陣の際は宮内少輔は黒い馬に、私は葦毛の馬に乗って出る。黒い馬を目印にこれに乗っている宮内少輔を鉄砲で撃て」と助言した。

そして羽尾道雲は大前方面から兵を進めた。
それを討つべく宮内少輔も樋口某を連れて兵を進めようとした。

すると鳥居川を渡ったところで、宮内少輔の馬が足を前膝を折って伏せてしまった。
「この馬は足立ちが悪い。樋口某、馬を代えてくれないか?」
さすがにこの場で断るわけにもいかないので樋口は力なくそれを受け入れた。

しかしだんだん戦場が近づいてきて鉄砲の音が聞こえると樋口は自分が撃たれると怖くなり、
そこかしこで止まったりしたため、宮内少輔からは1町ほど離れてしまった。
それ(樋口某の旗印が後方にある様子か)を見た羽尾入道は「樋口は内応するつもりだから後方にいるのだろう」
と特に異変には気付かなかった。

そしてついにその時が来た。
羽尾道雲に「黒い馬に乗った将が来たら、それを撃て」と命じられて潜んでいた鉄砲名人の猟師が、
黒い馬に乗った樋口某を見つけ、これを撃ったのだ。
猟師が撃った弾は樋口某の銅丸を打ち抜き、さらにその遠くにいた郎党の頭を打ち抜いた。

その報告を聞いた羽尾入道は「大将は討たれ、残った樋口は味方だからもう大丈夫だ!」と弓鉄砲を袋に収めさせ、
弁当を出させて宴会を始めた。
そこへ無傷な状態の鎌原軍が襲い掛かり、さらに裏切り者も出たため、戦いに敗れ羽尾入道は1騎で落ち延びたのだそうな。




284 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2013/09/07(土) 02:57:41.47 ID:e7W2zYB8
策士策に溺れる・・・いや狩人罠にかかるのほうが近いか。

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