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『運は天に在り 具足は質屋に在り』

2014年12月10日 18:46

983 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/12/10(水) 08:25:24.67 ID:VjK+BKx4
山崎甲斐守(家治)は、日頃から家臣が武器を拵える事を大いに喜び、資金不足の者には
それを貸してでも武具を拵えさせたため、家中は皆武道を嗜み武具兵器等を具えていた。

そんな中、大越治左衛門という者、
「武士が武道を嗜み、武具を揃え置くことは士の道であり、武具を拵えたからといって
人に見せるには及ばない。またそれを見たとしても、賞するに及ぶものではない。」
そう考え家中一同が嗜み具える所に、治左衛門一人わざと武道も嗜まず、武具も蓄えのないような顔をして居た。

ある時山崎甲斐守がこの治左衛門を召して言った
「その方の武具を私は未だ一見したことがない。今日、それを出して見せるように。」
すると治左衛門は「畏まり候」とその座を退き、やがて小さな旗を拵え、その旗に

『運は天に在り 具足は質屋に在り』

と書いて甲斐守の前に持って出て
「私の武具はこの旗に候」と言った。

これに甲斐守は呆れて暫く黙っていたが、やがて
「その方は貧者と見えたり。この金を遣わすので早々に武具を拵えるように。」と百金を与えた。

治左衛門は心中「さてさて、律儀なる主人である。」と思い、「畏まり候」と言って帰宅すると、
その百金を親類縁者の内困窮している者へそれぞれ分配し、残った金で酒肴、菓子など沢山求め
家内の者達に食わせ、一両日の間にその百金を皆使い果たした。

その後、山崎甲斐守が家中の士の騎馬を閲兵した時、大越治左衛門は太く逞しい黒馬に打ち乗り、
鞍の輪に網の袋を、前に5つ、後ろに5つ下げていた。甲斐守はこれを見て不審に思い
「治左衛門、その網は何の為のものか?」と問うと、治左衛門
「これは事あらん時、君の御馬前にて討ち取った首を入れるための袋です。」と答えた。
甲斐守は「そんなにいくつも要る物なのか?」と尋ねると、

「10人までは必ず討ち取りますので、10袋用意いたしました。」

と答えた。

(明良洪範)

島原の乱の後、天草を復興させた名君である山崎家治とその家臣についての逸話である。



984 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/12/10(水) 16:25:54.29 ID:LyU+oQmF
こういう役に立つんだか立たないんだか分かんない部下は苦手だなあ
名君たる人は器が違うわ

985 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2014/12/10(水) 23:02:00.40 ID:xg/BxYrK
名君は変質者の扱いに長けてる

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