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士卒の身命、大将のお命

2015年04月05日 14:15

639 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/04(土) 19:18:27.42 ID:+uCFsa96
朝鮮の役における第一次蔚山城籠城戦のさい、明軍に囲まれた蔚山城内は食料、飲料水の補給が断たれ、
既に5日と成った。
上下、飢渇に疲れ果て、軍勢は憔悴しきっていた。

ここに不義の佞人があって、蔚山城の主将である加藤清正、浅野幸長、太田一吉の三大将に密かに申し上げたい
事があるというので、太田一吉が加藤、浅野の両将に使いを立てて会合しこれを聞いた。

彼の者ここで
「傍の人を退けていただきたい。」と申し上げる。

そこで太田一吉は、田中小左衛門尉、九津見兵蔵、大河内茂左衛門尉に向かって下がるように命じた。
田中、九津見は畏まって座を立ち役所の方へといったが、大河内は
『どうもこの者、怪しい思慮を巡らしているようにみえる」』と思い、言葉を怒らせて太田に
「このように夥しい漢人・江南人に囲まれ、たった今でも討ち死にし冥土までお供申すべきそれがしに、
一体何をお隠しなさるのですか!」
そう荒らかに申し上げると、彼の者も是非無く、そのまま三大将に向かって申し上げた

「この城内は既に米も水もなく、皆近いうちに餓死してしまうでしょう。しかしここにおられる
三大将のお命は、士卒に比すべき物ではありません。
上のお為、御身の為、すみやかに城内より脱出され、後詰の兵を催して下さい。
幸いに御馬三匹ありますればこれを召して川を渡り、向かいの地に到着するのは非常に簡単な事です!」

この言葉に三大将は目を見合わせていたが、彼らが何の返事もしない内に、大河内が怒鳴った

「それ!軍将が飢渇を軍士と共にするのは、古よりの道である。しかもこの籠城と申すは、
遠く日本の地を離れ大明の攻めを受け、命を惜しいと思し召すなどあっていいことではない!
そのような事は、日本にあってもなお恥とすべきこと。いわんや他国においては!
たとえ命が助かったとしても、何の面目があって人にまみえることが出来るだろうか。

例えば、士卒の身命に大将は変わることは出来るが、大将のお命に士卒を変えることは出来ない!
このような不義なる申状は、大将のお耳に入れるべきものではない。孺子よ推参である。立ち退け!」

そう荒々しく言い放つと。三大将は一同に「大河内の口上、至極もっともである」と同意したため、
不義の佞人は手を失い、顔を真っ赤にして退出した。

大河内はそのまま座を立つと、「馬があるからあのような佞人が出てきたのだ」と、大声で舎人を呼んで
「大将たちの御馬を引き出せ!」と命じ、腰の刀を引き抜くと一匹づつその首をはねた。

(朝鮮記)



640 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/04(土) 19:42:30.20 ID:YZefENOO
籠城5日で水も食料もないってスゲーな

641 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2015/04/05(日) 13:37:08.14 ID:O+VQJwmX
城が出来てすぐ、兵糧入れる間もなく始まったからね

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