933 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/07/16(土) 00:17:26.30 ID:IEecqnnA
下風道二斎が事
道二斎は宝蔵院の末弟子である。槍術の修練を大猷院様(徳川家光)も御聴きになられ、
御前に召されることになった。
そのころ素槍の達人の浪人一同に試合を仰せ付けられた。
御前でのことなので、高股立ちや掛け声等は止めるよう御側向きから沙汰があった。
その時は、双方は「かしこまりました。」と承って立ち合ったが、
勝負に臨んでは素槍の浪人は制止に従ったが、
道二斎は高股立ちで、掛け声も十分に叫んでいた。
近習から時々制止がありましたが聞き入れず、
結局、試合は難なく道二斎の勝ちとなった。
後で先の制止を受け入れなかった訳を御尋ねられると、道二斎は慎んで
「御尋ねられたことはごもっともであります。
随分と慎むよう考えましたが、勝負に臨んではやはり稽古の心で十分に芸を尽くしていると、
御前をも恐れないようになって、制止の声も聞き入れなくなってしまいました。
不届きをいかように仰せ付けられましても是非には及びません。」
とのお答えをされたので、大猷院様ももっともだと思われ、殊の外お褒めになられた。
「下風は名人である」との上意があって御褒美を下されたという。
(耳袋)
下風道二斎が事
道二斎は宝蔵院の末弟子である。槍術の修練を大猷院様(徳川家光)も御聴きになられ、
御前に召されることになった。
そのころ素槍の達人の浪人一同に試合を仰せ付けられた。
御前でのことなので、高股立ちや掛け声等は止めるよう御側向きから沙汰があった。
その時は、双方は「かしこまりました。」と承って立ち合ったが、
勝負に臨んでは素槍の浪人は制止に従ったが、
道二斎は高股立ちで、掛け声も十分に叫んでいた。
近習から時々制止がありましたが聞き入れず、
結局、試合は難なく道二斎の勝ちとなった。
後で先の制止を受け入れなかった訳を御尋ねられると、道二斎は慎んで
「御尋ねられたことはごもっともであります。
随分と慎むよう考えましたが、勝負に臨んではやはり稽古の心で十分に芸を尽くしていると、
御前をも恐れないようになって、制止の声も聞き入れなくなってしまいました。
不届きをいかように仰せ付けられましても是非には及びません。」
とのお答えをされたので、大猷院様ももっともだと思われ、殊の外お褒めになられた。
「下風は名人である」との上意があって御褒美を下されたという。
(耳袋)
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