366 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/12/01(木) 01:57:58.39 ID:k7JJ4AC1
駿河台化物屋鋪の事
或る人が語った。
駿河台は元は土居際から鈴木町というあたりまで竹が多く生い茂り、
人家は無く宅地がただ一つあった。
その宅は妖怪がいると住む者は屋敷を差し上げて退去した。
台廟(徳川秀忠)はこれを聞かれて、
「松下嘉兵衛はかつて戦場を経て落ち着いた能者である。そこでその宅に住ませよ。」
と仰せられた。
そこで嘉兵衛は住んでみると、ある夜に宅の後ろの竹林がサッサッと鳴り出し、
背丈の高い入道で、眼が三つあるものが竹林中から出てきた。
松下は怪しいと思い目を開いてよく見ると、かの入道は空を歩いているようである。
その下に小さな狸が歩いてきている。
松下は思った。
『これは狸の妖であろう』
すぐにその狸を生け捕りにすると、入道はたちまち消えうせた。
松下は狸に向かって、
「お前はこのような変化をしたのには必ず理由があるのだろう。私はお前に対し考えがある。
お前は昔からここに住んでいるので、素より地主である。
私は新たに来たが、官から賜った所なのでまた地主である。
ならばこれからはお前を扶持しよう。よって米をいくばくか分かち与えよう。
これを元手として三年経ったら、ここを立ち去れ。」
と言い聞かせれば、狸はうなずいて逃げ失せた。これから妖怪は絶った。
このことを台廟は聞かれ、
「やはり松下の振る舞いは、我が注文にかなったか。流石武士よ。」
と御賞美あったが、年を経て狸は遂に居なくなったと。
今も松下の屋敷は駿河台にある。鈴木町から南である。
予が若年の頃は松下隠岐守と称して、御先手頭であった。その子孫であろう。
しかしこの家は享保中紀州から陪従した人であるという。
今松下の家は三軒ある。嘉兵衛と称するは三千石で築地に居宅している。
駿河台は千石と聞く。
先祖の松下が賜った化物屋敷は別所で、その家も隠岐守とは別である。
築地の方が本家であるか、また同族かは未詳である。
(甲子夜話続編)
この松下嘉兵衛って松下之綱のことかな?
だとすると、遠江にいるはずなのでおかしくなる
367 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/12/01(木) 08:14:19.30 ID:Hjp9nzNE
戦場を経て
駿河台で
化物つかまえて
千石とり
なんか某小説を思い出した
駿河台化物屋鋪の事
或る人が語った。
駿河台は元は土居際から鈴木町というあたりまで竹が多く生い茂り、
人家は無く宅地がただ一つあった。
その宅は妖怪がいると住む者は屋敷を差し上げて退去した。
台廟(徳川秀忠)はこれを聞かれて、
「松下嘉兵衛はかつて戦場を経て落ち着いた能者である。そこでその宅に住ませよ。」
と仰せられた。
そこで嘉兵衛は住んでみると、ある夜に宅の後ろの竹林がサッサッと鳴り出し、
背丈の高い入道で、眼が三つあるものが竹林中から出てきた。
松下は怪しいと思い目を開いてよく見ると、かの入道は空を歩いているようである。
その下に小さな狸が歩いてきている。
松下は思った。
『これは狸の妖であろう』
すぐにその狸を生け捕りにすると、入道はたちまち消えうせた。
松下は狸に向かって、
「お前はこのような変化をしたのには必ず理由があるのだろう。私はお前に対し考えがある。
お前は昔からここに住んでいるので、素より地主である。
私は新たに来たが、官から賜った所なのでまた地主である。
ならばこれからはお前を扶持しよう。よって米をいくばくか分かち与えよう。
これを元手として三年経ったら、ここを立ち去れ。」
と言い聞かせれば、狸はうなずいて逃げ失せた。これから妖怪は絶った。
このことを台廟は聞かれ、
「やはり松下の振る舞いは、我が注文にかなったか。流石武士よ。」
と御賞美あったが、年を経て狸は遂に居なくなったと。
今も松下の屋敷は駿河台にある。鈴木町から南である。
予が若年の頃は松下隠岐守と称して、御先手頭であった。その子孫であろう。
しかしこの家は享保中紀州から陪従した人であるという。
今松下の家は三軒ある。嘉兵衛と称するは三千石で築地に居宅している。
駿河台は千石と聞く。
先祖の松下が賜った化物屋敷は別所で、その家も隠岐守とは別である。
築地の方が本家であるか、また同族かは未詳である。
(甲子夜話続編)
この松下嘉兵衛って松下之綱のことかな?
だとすると、遠江にいるはずなのでおかしくなる
367 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/12/01(木) 08:14:19.30 ID:Hjp9nzNE
戦場を経て
駿河台で
化物つかまえて
千石とり
なんか某小説を思い出した
スポンサーサイト