490 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/01/06(金) 02:32:46.80 ID:nc1d7jPq
石川日向守家政殿(家成)は、神君(徳川家康)の三方ヶ原御戦の折は、
掛川城にいたのだが、敗軍を聞いて、兵を率いてやって来た。
神君はこれを御喜びになった。そして家政は曰く、
「戦に先達て、私は夢を見ました。その夢で一人の老翁が一句の和歌を
詠じました。その詞に、“嶺の松雪に圧さるる”という意がありました。
翁は続けて、その意味を解しました。
『雪は信玄である。松は家康である。一旦、松を圧するとしても他日には
必ず雪は消えることだろう』と、言いました。
夢が覚めてその事を語ると、衆人は皆、不思議に思いました。しかし今、
我が軍が敗れて衆人はこれを信じました。その上、老翁の告げによって、
他日に主君は、必ず利を得なさることでしょう」
と言い、頼もしく思いなさった。
――『責而者草(君臣言行録)』
石川日向守家政殿(家成)は、神君(徳川家康)の三方ヶ原御戦の折は、
掛川城にいたのだが、敗軍を聞いて、兵を率いてやって来た。
神君はこれを御喜びになった。そして家政は曰く、
「戦に先達て、私は夢を見ました。その夢で一人の老翁が一句の和歌を
詠じました。その詞に、“嶺の松雪に圧さるる”という意がありました。
翁は続けて、その意味を解しました。
『雪は信玄である。松は家康である。一旦、松を圧するとしても他日には
必ず雪は消えることだろう』と、言いました。
夢が覚めてその事を語ると、衆人は皆、不思議に思いました。しかし今、
我が軍が敗れて衆人はこれを信じました。その上、老翁の告げによって、
他日に主君は、必ず利を得なさることでしょう」
と言い、頼もしく思いなさった。
――『責而者草(君臣言行録)』
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