103 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/09/11(月) 14:55:59.26 ID:NI9S8d5p
大阪の陣の時、前田家家臣の平野弥次右衛門に、味方の武士が楼門より出て攻撃してきた。
弥次右衛門は味方と知らず、これと戦うため鎌槍にて駆け寄ったが見れば加賀前田家の相印であり、
顔は見えなかったが兜と指物を見て
「何者か!?味方打ちであるぞ!」
そう大声で罵しり槍を引き、さらに罵った。
合戦の後、この罵られた者、堪忍ならざるによって弥次右衛門と刺し違えようと、彼のもとに
やって来た。弥次右衛門は彼の来訪を知ると、郎党中言たちそれぞれに棒を持たせ、自身も
木刀を持って彼の前に出た
「其方は私と刺し違えると聞きたる仔細有るによって、このような用心をした。」
彼は来訪した趣を述べ、それを聞いた弥次右衛門
「その事で来られたとは知らなかった。私はその時断ったように、顔は見えておらず甲冑だけは見えた。
其方と知って言ったのではない。である以上、悪口を言っても仕方がないではないか。
あの時罵った相手がその方であるのなら、私と刺し違えるのは、大いなる誤りである。」
そう言い、押しすくめて帰らせた。
彼の者止むを得ずして、その夜、駆け落ちをした。
(士談)
大阪の陣の時、前田家家臣の平野弥次右衛門に、味方の武士が楼門より出て攻撃してきた。
弥次右衛門は味方と知らず、これと戦うため鎌槍にて駆け寄ったが見れば加賀前田家の相印であり、
顔は見えなかったが兜と指物を見て
「何者か!?味方打ちであるぞ!」
そう大声で罵しり槍を引き、さらに罵った。
合戦の後、この罵られた者、堪忍ならざるによって弥次右衛門と刺し違えようと、彼のもとに
やって来た。弥次右衛門は彼の来訪を知ると、郎党中言たちそれぞれに棒を持たせ、自身も
木刀を持って彼の前に出た
「其方は私と刺し違えると聞きたる仔細有るによって、このような用心をした。」
彼は来訪した趣を述べ、それを聞いた弥次右衛門
「その事で来られたとは知らなかった。私はその時断ったように、顔は見えておらず甲冑だけは見えた。
其方と知って言ったのではない。である以上、悪口を言っても仕方がないではないか。
あの時罵った相手がその方であるのなら、私と刺し違えるのは、大いなる誤りである。」
そう言い、押しすくめて帰らせた。
彼の者止むを得ずして、その夜、駆け落ちをした。
(士談)
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