監物殿は柳の枝を土手に差し

2017年09月14日 13:31

106 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/09/14(木) 03:03:39.63 ID:n13mDo5e
関ヶ原合戦の時分、河渡を渡られた一柳監物殿(直盛)は元は伊予の河野氏である。

その子(直重)は欠唇で異名を“いぐち監物”と申した。その子(直興)が御家(前田家)
で御預かりとなった監物殿である。

河野姓を改められたのは河渡を渡られた監物殿である。その監物殿は柳の枝を土手
に差し、「家が繁盛仕るならば、ほこれ(茂ること?)。そうでなくば枯れよ」と申された。
すると、年々ほこり申したとの由で、

これにより“一柳”に改められたとの旨を船越伊予守殿(宗舟)が物語り、それを聞こし
召されたとの由を、享保2年10月朔日の夜に仰せになった。

――『松雲公御夜話』


一柳監物は欠唇である。人が差し障りを言えば、殊の外怒った。秦の苻堅に似ている。
(一柳監物缺唇也。人指合を云へば事の外怒る、晉の符堅に似たり。)

――『老人雑話』


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一柳直末と間宮豊前、足場の悪いところで

2010年11月12日 00:00

536 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/11(木) 01:55:11 ID:INjin6tZ

ラスボスの関東仕置きの際の話。
駿河に集結した諸将を前に、最後の軍議を行っていた。

「それでは山中城攻撃は二十九日に行う。誰か先陣を願い出る者はいないか?」

衆知の如く、箱根の険に構えられた山中城は攻めるのに困難な堅城である。
皆尻込みをしてしまい、願い出る者は一人もいない。

「勿論、これは危険な任務だ。ただ働きさせるつもりはない。先鋒を務め、首尾よ
く山中城を陥とす事が出来たなら、どこなりと望みの一ヶ国を与えよう」

この破格の恩賞を聞いて、一人の男が進み出る。
豊臣譜代の将、一柳直末であった。

「おぉ、直末か。お前なら首尾よくやってくれるだろう。どの国が欲しい?今の内
に申しておけ」
「それでは伊豆を頂きたいと存じます」
「うむ、良いだろう。今日から一柳伊豆守を名乗るが良い」
「はっ 必ずや山中城を陥としてご覧に入れます」


直末は自陣に帰ると、早速物見を出し、山中城の偵察を入念に行わせた。

「……大筒が?」
「はい、三門ありました。ただでさえ急な斜面をよじ登らねば城に取り付けぬと言
うのに、進軍途中を大筒で狙われては一溜まりもありませんぞ」
「しかしなぁ、殿下の御前で大口を叩いてしまった以上、退く事は出来ぬぞ。被害
は覚悟で進むしかない。出来なければオレもお前も皆、死ぬだけだ」

攻撃開始の数日前、既に直末は悲壮な覚悟を決めていた。


一方北条方、山中城内。
この城の大将は間宮豊前守。
彼は小田原城での軍議において、松田尾張守等によって篭城策が採られた事に憤慨
を隠す事が出来なかった。

「この戦で北条家は滅びるだろうな。私も既に七十六歳になってしまった。最早惜
しむ物など何もない。潔く一戦して名を残して死のうではないか」
「打って出るおつもりで!?わざわざ小田原から運んだ大筒は如何なさるのですか?」
「敵とは言え、上方の連中に恨みはない。あのような物で打ち殺したとて、何の益
もないよ。敵の姿が見えぬ内に適当に何発か威嚇射撃しておけ。後は捨て置いて良
いさ」


537 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/11(木) 01:58:08 ID:INjin6tZ

そしていざ、二十九日。攻撃当日になると山中城の方から、頻りに大筒を撃ち放つ
轟音が聞こえてくる。

「我等がまだ近づいていないと言うのに、盲滅法に撃ちまくっているな。山中城は
思ったよりも浮き足立っているようだぞ。これはチャンスだ!者共進め!」

しかし、山の斜面を登り進める彼等の前に、意外な光景が現れる。

「そこに見えるは先手の衆と見える!我は山中城将・間宮豊前守!尋常に勝負いた
し、この首を上方への手土産にするが良い!」
「な……っ!?篭城じゃないのかっ!? 大筒はフェイクだったのか!?」

慌てた一柳隊に、一斉に襲い掛かる間宮隊。
元より斜面の上から下へと駆け下る間宮隊は勢いに任せて一柳隊を押し捲る。

「お主が大将か!腕に覚えがあるなら、このジジイの首、取って見せよ!」

直末の姿を見つけた間宮豊前、足場の悪い山道を一直線に突き進んでくる。
馬を並べ、槍を合わせる事数合。斜面の上から突き降ろしてくる豊前の槍に、直末
は遂に捌き切れなくなり、バランスを崩して落馬してしまう。

「その首、冥途の土産に貰い受ける……ををぅ!?」

落馬した直末に止めを刺さんと槍を突き込んだ間宮豊前。
だが、ここが険しい斜面である事、足場が悪い事を忘れていた。豊前も直末同様、
バランスを崩して落馬してしまったのである。

「殿!? しっかりしてください!!」

双方、最早戦どころではない。
したたかに地面に打ち付けられ、ぐったりと意識のない主人の身体を抱え起こし、
それぞれの陣に分かれ退いたと言う。


結局、一柳直末、間宮豊前共に落馬にて死去。
城将を喪った山中城の兵は小田原に向けて逃げ去った。
一柳直末の活躍で、難攻不落の山中城は一日にして落城したのである。


城からの一斉射撃で討死にした、という通説と比べると、なんか締まらねぇなぁ、
という一柳直末さんの落命異聞。
みんなも足場の悪い斜面でハッスルする時は気をつけなきゃ駄目だZO!☆
(元ネタ:箱根山中城責由来)


なお、史実としてはどうだったのかと言うと、一柳さん戦死の報を聞いた幽斎さん
が、
「いと毛なる 具足をかけて鉄砲の 玉にもぬける一つ柳か」(東国陣道記)
と詠んでおられるので、やはり鉄砲で撃たれたのが死因で間違いないようです。




538 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/11(木) 02:58:27 ID:fEgY9cdh
林蔵のご先祖さまかっこいい!
と思ったのに・・・


539 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/11/11(木) 03:19:39 ID:OL1ydP+F
ちょっと締りの悪い話だなこりゃ、

山中城攻めと一柳直末の討死

2010年04月23日 00:04

289 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 18:10:20 ID:zMRw/f9d
来週三島に出張になったんだけど、その辺りの
悪い話しってある?

290 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 21:00:51 ID:TgTjSPyD
丹那トンネルしか思い浮かばない



292 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/21(水) 22:09:38 ID:n1ikz504
>>289
悪い話か微妙だが

天正18年(1590)3月28日、小田原北条氏を攻め潰すべく、豊臣秀吉の大軍が伊豆三島に到着した。
翌29日、秀吉は甥・秀次を大将として、中村一氏・堀尾吉晴・山内一豊・一柳直末ら諸将に
近隣の要害・山中城への攻撃を命じた。
諸将が動き出したその時、山中城の東の山道を、二十名ほどの騎馬隊が駆けて行くのが見えた。

「あれを見よ、山中城からの逃亡兵と見える。城の士気は低いぞ、一気に攻め落とせ!!」

はしゃぐ関白秀吉の号令のもと、諸将は我先にと山城を駆け上ったが、実は騎馬隊は小田原からの偵察隊。
秀吉の着陣を確認した後、帰るところであり、山中城では覚悟を決めた城将・松田右衛門大夫康長(憲秀従弟)、
副将・間宮豊前守康俊らが、敵が来るのを今や遅しと待ち構えていた。

中村隊の渡辺勘兵衛こそ雄々しく一番乗りを果たしたが、これは勘兵衛だから出来た武功であり、
次に一氏の小姓・中村才次郎が、「かかる時には身軽が一番」と、具足もつけずに城壁の上にまたがったが、
城兵から長刀で横薙ぎにされ、上半身は城内に、下半身は堀底へと落ちていった。

城攻めは泥沼化していったが、秀吉の命がある以上、無理攻めしてでも短期決戦で落とさねばならない。
業を煮やした一柳直末は、みずから先頭に立って攻め、ついに城内に攻め入ったが、次の瞬間。
間宮康俊率いる鉄砲隊の掃射を受け、蜂の巣となって絶命した。

山中落城後、秀吉は「直末ほどの者を亡くし、関東を得る喜びも無くなった。」と嘆いたが、後の祭り。
直末の知人の丹後一如院住職は、その訃報を聞いて領主の細川幽斎に和歌を送った。

「 あはれなり ひとり柳の 目もはるか もえ出しにける 野辺の煙りは 」

幽斎も、これに返歌した。

「 糸もなき 具足をかけて 鉄砲の 玉にも消ぬる 一つ柳か 」




294 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/22(木) 01:18:46 ID:6h4oYVX7
山中城は無理に力攻めしたせいで攻め手にも多数の死傷者が出たらしいねえ

295 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/22(木) 02:31:06 ID:JB74hGga
強引に攻めて速攻で落として皆殺し。播磨攻めの時と同様の見せしめだな。

296 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/22(木) 12:32:51 ID:dJ6cmGhV
まぁ、力攻めはそういうモンだしな

298 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/22(木) 18:32:37 ID:WaGIrNvH
>>292
ありがとう。
三島に着いた際は、強たちを偲びながらうな重を
掻っ込もうと思う。

現地で良い話し仕入れられるといいな。

299 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 08:06:48 ID:AwxoI8hA
>「あれを見よ、山中城からの逃亡兵と見える。城の士気は低いぞ、一気に攻め落とせ!!」
城攻め上手の秀吉にしちゃ迂闊な早合点だったな
圧倒的な戦力優位に立ってたせいでさすがに油断が生じてたのかね?

300 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/04/23(金) 08:39:10 ID:FR5ED3Fj
味方の志気を高める為の方便じゃないかな

301 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/04/23(金) 09:20:33 ID:q2Y3LaOy
雑兵ならともかく、騎乗身分がまとまって出ていったから油断と合間って早トチりしたのかもな