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私は一体これから、何を目安に

2017年12月19日 18:35

518 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/12/19(火) 13:51:42.25 ID:1v8x4pi4
高安道善(大鼓方高安流の祖)はその頃天下の太鼓の名人であり、大音を打ち出すこと、
並ぶものなかった。

一方、威徳という太鼓打ちは、三井寺の威徳かしらを打って天下に名を得た、氷を割るが如き
冴えた音を打つ者であった。

彼ら両人共に天下に名を得ていたが、威徳はやがて身罷った。

「然らば天下の太鼓打ちは道善一人に極まった。」

高安道善の門人たちは皆喜び、道善の宅へ祝いに訪れた所、彼は夜着のまま病人のように
臥せて、甚だ嘆息していた。門人たちが「これで天下一の太鼓打ちではありませんか」と語ると、
道善は言った

「お前たちは私の気持ちも知らず、ただ面前の事だけを言っているにすぎない。
世に太鼓の名人が亡くなってしまい、私は一体これから、何を目安に修行をすればよいのか。」

(士談)


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