617 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2022/10/05(水) 18:39:34.77 ID:4d5Ktkl2
他国の家の事を聞くに、近江国佐々木殿(六角氏)の家が破れた理由について、
めがた(目賀田貞政カ)と申す重臣は、佐々木殿の御蔭にて、家中の諸侍、歴々の傍輩たちを、
皆めがたの縁類と成して時めいた。その後、おのれの寄子・麾下の争いにて、寄子の理であっても、
主人の時の権勢に任せ、主君である佐々木殿の意向も聞かなかった。
そしてめがたの居城は佐々木殿と別々と成り、家中は分裂した。
この様子を見て、浅井備前(長政)という者が、佐々木殿を押し破った。この備前は若年の頃
やうさる(幼名である猿夜叉丸の事か)と申した童であった。本来京極殿の侍であったのだが、
やうさるの父の代より、京極を捨てて佐々木殿に降参して被官となり、佐々木殿社参の時は
この浅井やうさるに太刀を持たせるほど心安く使っていた。しかし佐々木家が乱れる時勢を見て、
佐々木の知行を乗っ取って、今、浅井備前となった。
このように国持大将は、譜代の大身があまりに時めく事を押さえて、ただ主君の御為に能く在るよう
しなければならない。こういった事を万事に能く調えた大将は、信玄公にて留めたり。
『甲陽軍鑑』
甲陽軍鑑に見える、武田家における観音寺騒動についての認識
他国の家の事を聞くに、近江国佐々木殿(六角氏)の家が破れた理由について、
めがた(目賀田貞政カ)と申す重臣は、佐々木殿の御蔭にて、家中の諸侍、歴々の傍輩たちを、
皆めがたの縁類と成して時めいた。その後、おのれの寄子・麾下の争いにて、寄子の理であっても、
主人の時の権勢に任せ、主君である佐々木殿の意向も聞かなかった。
そしてめがたの居城は佐々木殿と別々と成り、家中は分裂した。
この様子を見て、浅井備前(長政)という者が、佐々木殿を押し破った。この備前は若年の頃
やうさる(幼名である猿夜叉丸の事か)と申した童であった。本来京極殿の侍であったのだが、
やうさるの父の代より、京極を捨てて佐々木殿に降参して被官となり、佐々木殿社参の時は
この浅井やうさるに太刀を持たせるほど心安く使っていた。しかし佐々木家が乱れる時勢を見て、
佐々木の知行を乗っ取って、今、浅井備前となった。
このように国持大将は、譜代の大身があまりに時めく事を押さえて、ただ主君の御為に能く在るよう
しなければならない。こういった事を万事に能く調えた大将は、信玄公にて留めたり。
『甲陽軍鑑』
甲陽軍鑑に見える、武田家における観音寺騒動についての認識
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