303 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/09/02(水) 12:55:41.74 ID:mp1XH7OT
慶長十七年四月二十三日
昨今雷の音が数回聞こえた。当春のいわゆる初雷である。
周防国に怪異が有った、ある民家において、一人の人物が旅程の道行きであるらしく、ここを客として
宿を借りた。
民家の台所方は膳部を用意したのだが、この人物が下人に言い伝える声は聞こえても、姿は見えなかった。
不審に思い、民家では地頭方に注進し、地頭が来てみたが、確かに言われたとおりであった。
この姿の見えぬ人物に対し地頭は「振る舞いをしてみん」として招いた所やって来た。彼は膳部、酎酒以下
常の人の如くの食事であった。然れども姿は全く見えなかった。
地頭は「これは怪物である」と考え、犬の逸物共を十疋ばかり取り寄せ、中に入れて戸を閉めた。
すると犬たちが戦慄して喚く様子が伺えた。そこで戸を開けて犬を見てみると、犬たちは殊の外
打擲された様子であった。そしてその座敷には、犬を打つ杖などが幾つも有った。
その後、この客はこう言った
「私を狐狸の類と心得るのですか?言わずともわかるでしょう。」
そして元の宿である民家に帰り、その上振る舞いの礼謝として、錫の酒器を贈った。
この酒は甚だ美酒で、さらに人が多く集まって飲んでも、この錫の酒器の中の酒は盡きなかったと云々。
『当代記』
結局どうなったのか良くわからない慶長十七年の透明人事件
304 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/09/02(水) 15:42:38.50 ID:GXwxnttv
タイムスクープハンターだろ
慶長十七年四月二十三日
昨今雷の音が数回聞こえた。当春のいわゆる初雷である。
周防国に怪異が有った、ある民家において、一人の人物が旅程の道行きであるらしく、ここを客として
宿を借りた。
民家の台所方は膳部を用意したのだが、この人物が下人に言い伝える声は聞こえても、姿は見えなかった。
不審に思い、民家では地頭方に注進し、地頭が来てみたが、確かに言われたとおりであった。
この姿の見えぬ人物に対し地頭は「振る舞いをしてみん」として招いた所やって来た。彼は膳部、酎酒以下
常の人の如くの食事であった。然れども姿は全く見えなかった。
地頭は「これは怪物である」と考え、犬の逸物共を十疋ばかり取り寄せ、中に入れて戸を閉めた。
すると犬たちが戦慄して喚く様子が伺えた。そこで戸を開けて犬を見てみると、犬たちは殊の外
打擲された様子であった。そしてその座敷には、犬を打つ杖などが幾つも有った。
その後、この客はこう言った
「私を狐狸の類と心得るのですか?言わずともわかるでしょう。」
そして元の宿である民家に帰り、その上振る舞いの礼謝として、錫の酒器を贈った。
この酒は甚だ美酒で、さらに人が多く集まって飲んでも、この錫の酒器の中の酒は盡きなかったと云々。
『当代記』
結局どうなったのか良くわからない慶長十七年の透明人事件
304 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/09/02(水) 15:42:38.50 ID:GXwxnttv
タイムスクープハンターだろ
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