332 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 15:25:21.40 ID:max6tfAO
自分は訳も解釈も自信がないけど投下するぜ!
1555年、厳島に渡り、宮尾城を攻めていた陶軍数万は、
10月1日未明の奇襲によって混乱し、あっという間に総崩れとなった。
大将の陶入道は踏みとどまって戦い、討ち死にすべしと心に決めたが、側近たちに引き立てられて退却する。
上陸した大元浦まで退いて陣を立て直そうとするも失敗、
捲土重来を胸に浜づたいに逃れ船を探すも、船影一つ見当たらない。
もはや、これまで。
陶入道の手を引き、腰を押して進んできた側近たちも、
情けなくも雑兵の手で討たれるよりは、と覚悟を決めた。
小姓に持たせていた胡餅を分け合って食べ、
松の葉で綴じた木の葉を杯として、酒の代わりに谷川の水を注いで呑み交わし、
脇差を扇に見立てて謡い舞う。別れの宴だった。
入道は石の上に座し、腹を十字に掻っ切った。
腸を掴み出そうとしたところに太刀が振り下ろされ、首が落ちた。
介錯をしたのは伊香賀民部少輔隆正、陶入道の乳人(養育係)を務めた男だった。
伊香賀は刀を取り落とし、入道の遺骸を掻き抱いて、
「あなた様が赤子のころから一日も、片時も離れずに、慈しんで参りましたものを。
日に日に成長されるのがどんなに嬉しかったことか。昔のこともまるで昨日のように覚えております。
私こそが先立つべきなのに、その首をこの手で落とさねばならないとは」
と、泣き崩れた。享年35、早すぎる死であった。
残った者たちは陶入道の首を小袖に包み、岩陰に厳重に隠し終えると、
さて自分たちも、と思い思いに刺し違えて息を引き取った。
伊香賀も入道のそばで死にたかったが、
自分の遺骸が近くで見つかると主君の首も探し出されてしまうだろうと考え、
数百メートルも離れた浜辺で、立ったまま腹を掻き破り、自分で首を押し切って果てたという。
333 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 15:43:51.44 ID:K73uKaNZ
こういう話、いかにも武士らしくて好きだよ
ただ誰が見ていてどうやって記録したんだろうと思ってしまう
334 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:07:24.96 ID:b9rL1d7r
生き残った人とか近隣の村人とかじゃね
335 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:09:44.90 ID:ayWuz64l
なんと冷静なツッコミ
336 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:21:14.47 ID:oErLQ1t4
近隣の村人がそんな至近距離に居るわけないだろ
337 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:38:20.35 ID:9Qm7ZXcp
まあ端的に言うと身分ある武士が一人で居るということはありえず、必ず下人などが付いるものなので、
この手の話は伝わるのは生き残った下人などからだろうね。
338 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 17:13:22.64 ID:uD6DEZs5
久しぶりに逸話らしい逸話を読んだ気がする
ありがとう、>>332
339 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 17:15:47.97 ID:eGAHmx0f
伊香賀さんの無念っぷりが泣ける
345 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 19:50:16.66 ID:max6tfAO
>>332だけども遅レスすまん。
>>333
これは胡餅を持たされてた陶入道の小姓が生き残って敵方(毛利)に話したってことになってる。
ただ、ここからは悪い話で、こいつは伊香賀民部に
「おまえはまだ幼いから敵も殺しはしないだろう。いいか、絶対に入道の死をバラすなよ。
山口に帰ってから信用できる重臣だけにそっと話すんだぞ。わかったな」
と念を押されたにもかかわらず、自分から落ち武者狩りの毛利勢のところに行って、
「大将首の在り処を教えるから命を助けてください」と、さっそくゲロったんだ。
民部が浮かばれないよう……
まあ出典が「陰徳記」(軍記物)なので、信憑性はアレだけどね。
>>338
べ、べつにアンタを喜ばせるために拾ってきたんじゃな(ry
こちらこそありがとう。
346 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 21:21:55.76 ID:qxlDkG4y
船を完全に抑えられて、島全体が「殺し間」と化した厳島から生きて帰れ、
というのも無理ゲーだと思うぜ。
厳島まではフェリーで10分だから、泳ぎが得意なら泳いで帰るのも
不可能じゃないかも知れないが
347 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 21:58:56.43 ID:CkTUFiVV
>>346
対岸は毛利の勢力圏だから周防まで泳がなきゃならないしねえ
しかも台風?で荒れてる10月の瀬戸内海を…
対岸で船探せよとか言わない
348 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 22:24:29.48 ID:XIlXBcBZ
でも秀家さんならw
349 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 23:14:40.87 ID:Ve/6I5UE
宮島の鹿って、泳いで本州まで行くんだろ?
鹿も四つ足、馬も四つ足。 鹿にできて馬にできないはずはない。
350 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 23:19:03.69 ID:9Qm7ZXcp
>>349
義経公お疲れ様です。
351 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 23:32:53.90 ID:CkTUFiVV
梶原景時「鹿は偶蹄目で山を移動するのが得意で馬は奇蹄目で平原を移動するのが得意」
352 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 01:12:53.85 ID:7hXNx9WP
>>346
というか、毎年何人も宮島から本土まで泳いで渡ってる。
…トライアスロンやってるからな、宮島w
ttp://www.cci201.or.jp/ta/2011top.html
多分ウヨウヨいる毛利勢に見つからずに泳ぎきって逃げ切れるかは知らない。
353 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 01:29:59.14 ID:S7hOMOuG
>>349
これがホントの馬鹿ってか
357 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 02:20:17.70 ID:2aqRBeZV
>>352
流石に夏だねトライアスロン
358 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 02:27:31.82 ID:17zPE6cd
>>352
「泳いで参ったー!」って言っちゃう人でてきそう
自分は訳も解釈も自信がないけど投下するぜ!
1555年、厳島に渡り、宮尾城を攻めていた陶軍数万は、
10月1日未明の奇襲によって混乱し、あっという間に総崩れとなった。
大将の陶入道は踏みとどまって戦い、討ち死にすべしと心に決めたが、側近たちに引き立てられて退却する。
上陸した大元浦まで退いて陣を立て直そうとするも失敗、
捲土重来を胸に浜づたいに逃れ船を探すも、船影一つ見当たらない。
もはや、これまで。
陶入道の手を引き、腰を押して進んできた側近たちも、
情けなくも雑兵の手で討たれるよりは、と覚悟を決めた。
小姓に持たせていた胡餅を分け合って食べ、
松の葉で綴じた木の葉を杯として、酒の代わりに谷川の水を注いで呑み交わし、
脇差を扇に見立てて謡い舞う。別れの宴だった。
入道は石の上に座し、腹を十字に掻っ切った。
腸を掴み出そうとしたところに太刀が振り下ろされ、首が落ちた。
介錯をしたのは伊香賀民部少輔隆正、陶入道の乳人(養育係)を務めた男だった。
伊香賀は刀を取り落とし、入道の遺骸を掻き抱いて、
「あなた様が赤子のころから一日も、片時も離れずに、慈しんで参りましたものを。
日に日に成長されるのがどんなに嬉しかったことか。昔のこともまるで昨日のように覚えております。
私こそが先立つべきなのに、その首をこの手で落とさねばならないとは」
と、泣き崩れた。享年35、早すぎる死であった。
残った者たちは陶入道の首を小袖に包み、岩陰に厳重に隠し終えると、
さて自分たちも、と思い思いに刺し違えて息を引き取った。
伊香賀も入道のそばで死にたかったが、
自分の遺骸が近くで見つかると主君の首も探し出されてしまうだろうと考え、
数百メートルも離れた浜辺で、立ったまま腹を掻き破り、自分で首を押し切って果てたという。
333 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 15:43:51.44 ID:K73uKaNZ
こういう話、いかにも武士らしくて好きだよ
ただ誰が見ていてどうやって記録したんだろうと思ってしまう
334 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:07:24.96 ID:b9rL1d7r
生き残った人とか近隣の村人とかじゃね
335 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:09:44.90 ID:ayWuz64l
なんと冷静なツッコミ
336 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:21:14.47 ID:oErLQ1t4
近隣の村人がそんな至近距離に居るわけないだろ
337 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 16:38:20.35 ID:9Qm7ZXcp
まあ端的に言うと身分ある武士が一人で居るということはありえず、必ず下人などが付いるものなので、
この手の話は伝わるのは生き残った下人などからだろうね。
338 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 17:13:22.64 ID:uD6DEZs5
久しぶりに逸話らしい逸話を読んだ気がする
ありがとう、>>332
339 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 17:15:47.97 ID:eGAHmx0f
伊香賀さんの無念っぷりが泣ける
345 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 19:50:16.66 ID:max6tfAO
>>332だけども遅レスすまん。
>>333
これは胡餅を持たされてた陶入道の小姓が生き残って敵方(毛利)に話したってことになってる。
ただ、ここからは悪い話で、こいつは伊香賀民部に
「おまえはまだ幼いから敵も殺しはしないだろう。いいか、絶対に入道の死をバラすなよ。
山口に帰ってから信用できる重臣だけにそっと話すんだぞ。わかったな」
と念を押されたにもかかわらず、自分から落ち武者狩りの毛利勢のところに行って、
「大将首の在り処を教えるから命を助けてください」と、さっそくゲロったんだ。
民部が浮かばれないよう……
まあ出典が「陰徳記」(軍記物)なので、信憑性はアレだけどね。
>>338
べ、べつにアンタを喜ばせるために拾ってきたんじゃな(ry
こちらこそありがとう。
346 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 21:21:55.76 ID:qxlDkG4y
船を完全に抑えられて、島全体が「殺し間」と化した厳島から生きて帰れ、
というのも無理ゲーだと思うぜ。
厳島まではフェリーで10分だから、泳ぎが得意なら泳いで帰るのも
不可能じゃないかも知れないが
347 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 21:58:56.43 ID:CkTUFiVV
>>346
対岸は毛利の勢力圏だから周防まで泳がなきゃならないしねえ
しかも台風?で荒れてる10月の瀬戸内海を…
対岸で船探せよとか言わない
348 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 22:24:29.48 ID:XIlXBcBZ
でも秀家さんならw
349 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 23:14:40.87 ID:Ve/6I5UE
宮島の鹿って、泳いで本州まで行くんだろ?
鹿も四つ足、馬も四つ足。 鹿にできて馬にできないはずはない。
350 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 23:19:03.69 ID:9Qm7ZXcp
>>349
義経公お疲れ様です。
351 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/29(土) 23:32:53.90 ID:CkTUFiVV
梶原景時「鹿は偶蹄目で山を移動するのが得意で馬は奇蹄目で平原を移動するのが得意」
352 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 01:12:53.85 ID:7hXNx9WP
>>346
というか、毎年何人も宮島から本土まで泳いで渡ってる。
…トライアスロンやってるからな、宮島w
ttp://www.cci201.or.jp/ta/2011top.html
多分ウヨウヨいる毛利勢に見つからずに泳ぎきって逃げ切れるかは知らない。
353 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 01:29:59.14 ID:S7hOMOuG
>>349
これがホントの馬鹿ってか
357 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 02:20:17.70 ID:2aqRBeZV
>>352
流石に夏だねトライアスロン
358 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2011/10/30(日) 02:27:31.82 ID:17zPE6cd
>>352
「泳いで参ったー!」って言っちゃう人でてきそう
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