326 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2020/09/09(水) 12:31:49.22 ID:J0jCWxq1
慶長十七年九月
この頃、南都東大寺の衆徒三人が搦め捕られ、この他一人同宿の者、以上四人が搦め捕られた。
何故かといえば、六、七年前、彼らは勅封蔵(正倉院)に忍び入り、敷板を切り抜き、宝物の内
金作の鶏、同じく盂を捜し取って、折々京都へ持って上がり、金として両替し私用に使った。
今年、かの盂をそのままにて両替することを両替商に相談した所、その亭主はこの盂を見ると、
「これは尋常の物ではない、殊に昔の年号が有り、きっとこれは勅物、もしくは御物では無いだろうか」
と不審に思い、この旨をかの僧に申した。
僧は難儀に及び、往々この事が亭主の口より漏れてしまうと思い、別宿にて亭主に振る舞いをし、
そこで鴆毒を摂取させ、亭主はたちまち死に果てた。
この亭主の妻女は、すぐに板倉伊賀守(勝重)の所へ行この旨を言上した。伊賀守は奈良代官に届けたため、
かの僧三人、并びに同宿一人が搦め捕られ京都に上らされた。
伊賀守は彼らに対し事の内容を直接に尋問したところ、ありのままに白状した。
そして彼らの身柄は南都へ下し置かれ、またこの事件については東国(駿府、江戸)に報告された。
捕縛された者たちは、来年二月、薪の能見物に集まる貴賤にその姿を晒した上で成敗される、などと
風聞されている。また猿澤の池傍に牢が構えられ、彼らはそこに入れられ、これを貴賤が見物している
という。
『当代記』
慶長十七年九月
この頃、南都東大寺の衆徒三人が搦め捕られ、この他一人同宿の者、以上四人が搦め捕られた。
何故かといえば、六、七年前、彼らは勅封蔵(正倉院)に忍び入り、敷板を切り抜き、宝物の内
金作の鶏、同じく盂を捜し取って、折々京都へ持って上がり、金として両替し私用に使った。
今年、かの盂をそのままにて両替することを両替商に相談した所、その亭主はこの盂を見ると、
「これは尋常の物ではない、殊に昔の年号が有り、きっとこれは勅物、もしくは御物では無いだろうか」
と不審に思い、この旨をかの僧に申した。
僧は難儀に及び、往々この事が亭主の口より漏れてしまうと思い、別宿にて亭主に振る舞いをし、
そこで鴆毒を摂取させ、亭主はたちまち死に果てた。
この亭主の妻女は、すぐに板倉伊賀守(勝重)の所へ行この旨を言上した。伊賀守は奈良代官に届けたため、
かの僧三人、并びに同宿一人が搦め捕られ京都に上らされた。
伊賀守は彼らに対し事の内容を直接に尋問したところ、ありのままに白状した。
そして彼らの身柄は南都へ下し置かれ、またこの事件については東国(駿府、江戸)に報告された。
捕縛された者たちは、来年二月、薪の能見物に集まる貴賤にその姿を晒した上で成敗される、などと
風聞されている。また猿澤の池傍に牢が構えられ、彼らはそこに入れられ、これを貴賤が見物している
という。
『当代記』
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