宍道五郎兵衛、21万石を呑み取る

2010年01月18日 00:12

92 名前: [] 投稿日:2010/01/17(日) 19:06:41 ID:qZ99OtRg

地方発行っぽい本に載っていた話で出典も分からないのですが、埋め程度に。

毛利家が山口に転封された時、
広島城築城以来、農民から先取り徴収していた米21万石は、福島家への借金として残っていた。

ある時、毛利家から福島家へ、藩中きっての酒豪である宍道五郎兵衛という者を使いにやった。
五郎兵衛は、主君・輝元に挨拶をして山口を立ち、数日後広島に到着。
正則の面前に平伏し、輝元からの伝言の口上を述べた。

「おお、左様か。遠路大儀であった。酒を取らせよ」
「ありがたき幸せに存じますが、手前は誠に不調法にございますれば・・・」
と、やんわりと断る五郎兵衛。しかし市松。
「何!わしの盃が受けられぬと申すか!」
既にかなりの酒が入っていた上に、五郎兵衛相手に呑む積もりでいた。

「決して左様なわけではございませんが・・・」
「そちも武士であろう!相手が槍を持っていた時、拙者は槍が不調法だから許せと申せるのか?
 ・・いや、無理にとは申さぬぞ。ただ、毛利公の名代は、左様な腰抜けだと所存するまでよ!」

「・・・殿の御盃頂戴仕る」
進退きわまった五郎兵衛。もともと酒好きなので、内心久しぶりの酒が嬉しかったかもしれないが、
辛そうな表情のもと、覚悟を決めた様子で受けた盃をやっとこさ呑み干した。

「今一献遣わせ」
「も早や殿・・・」
「その方、もう参ったか?参ったのなら、毛利は福島に参りましたと、はっきり申せ!
 ならば無理にとは申さぬぞ!」
「しからば、殿も御酒を召して頂きたいと存じますが」
「よしよし、わしも同じように飲もう」
「では、少し大きいので」
「大きいので?・・・よかろう、大きい盃を持て!」
と、今度は二人して大きな盃に注がれた酒を、荒息を吐きながら飲み始めた。


93 名前: [] 投稿日:2010/01/17(日) 19:07:53 ID:qZ99OtRg

かなり時間をかけて飲み終わった両者は、しばらく見合っていたが、
今度は五郎兵衛から「今一献戴きとう・・・」と、さらに大きい盃に酒を注がせた。
それを見た市松。待て待て、さすがに危ないと声をかけるが

「殿は借りにも大名、戦が長引いた時、疲れたから中止にしようと、戦場でその様な事が言えますか!
 いや、御無礼なことを申し上げました。決して御無理を申し上げる所存ではございません。ただ…」
「ただ何じゃ・・・申してみよ」
「誠に恐れ多いことでございますので・・・」
「戯け!わしを何と心得る。思うことがあるのならば申せ。そちの言うこと位では驚かぬわ!」
「ははッ。この大盃の酒、拙者見事に呑み干しましたる際には・・・」
「おお!その盃の酒、見事呑み干したなら、そちの望みの物を取らすぞ!何が望みじゃ?言うてみい」
「恐れながら・・・毛利の借り分21万石の米を戴きたく!」
「何!21万石だと!?」
「如何にも。」

これには市松も腹を立て「こやつ、わしを計ったな!手打ちにしてくれるわ!」
と、立ち上がろうとするが、酔っているため腰がふらふらときてドスンとその場に座ってしまった。
「ええい、武士に二言は無い!望みどおり21万石の米をその方に遣わそう!
 しかし、喜ぶのはまだ早いぞ。見事その盃の酒を呑み干せたならの話じゃ!!」

五郎兵衛は「ははッ、有難う御ざります ― 」と平伏し、頭を上げて大杯に手をかけ、
顔を盃に押し付けてぐいぐいと呑み始めた。
酒好きとは言え、斯様に立て続けに大盃で酒をあおる様に飲むのは始めてである。
しかし苦境の主家・毛利を救うべく、必死になって呑み続け、遂に一滴も残さずきれいに呑み切った。

五郎兵衛は、山口に帰り主君に報告を終えると、パッタリその場で息を引き取った。

21万石を呑み取った毛利武士のお話。


関連
毛利家の交渉担当者は酒を飲んでる市松のところで
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-5996.html


94 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/17(日) 19:22:10 ID:RkCkx/Z1
母里の件で同じ過ちを犯す福島さんw

95 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/17(日) 19:48:20 ID:Cyfiy+Ox
市松さん+酒=大失敗
はもはや公式ですな。

96 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/01/17(日) 20:04:08 ID:cW/SGBO4
なんともおいしいキャラだ

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