12 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22:15:28 ID:vZUR1baG
永禄四年(1561)のこと。
近江の浅井長政は、六角氏に奪還された米原の太尾城の回復を狙っていたが、
この頃防備が手薄なのを見て取ると、家臣の今井定清と磯野員昌に命じて夜討を架ける計画を立てた。
そこで今井は配下の武将と相談し伊賀衆を雇い入れ、彼らの手で火攻めを行わせる契約を結んだ。
伊賀衆を太尾城に密かに侵入させ、城中で火の手を上げさせ、それを合図に本丸二の丸を一度に攻め滅ぼす、
と言う作戦である。決行の日取りは7月1日と決まった。
さて同日夕刻、今井隊、磯野隊はそれぞれ配置についたが、肝心の火の手がいつまでたっても上がらない。
浅井家の者たちはしびれをきらせて伊賀衆に詰め寄るが、彼らは
「それは忍の作法を知らぬ湖北武者の言葉である」
と一蹴する。とにかく信じて待っていろ、必ず火をかけると言う。
そうこうしている内に、夜明けも近くなった。
さて、待機している今井隊であったが、配下の島若狭守が「この様子ではもはや作戦の決行は無理でしょう。
今回は諦め、後日を期して帰陣いたした方が良いのでは?」と進言、今井定清もこれに同意し撤退を始めた。
ところが腰越まで退いた時
「太尾城の方向に火の手が!」
伊賀衆、見事に仕事をこなしたのだ。
慌てたのは帰陣中の今井定清である。
「城の放火に成功したのか!?いかん!このままでは城攻めは磯野隊に先をこされるではないか!
そうなっては一生の不覚である、急げ!」
今井隊はもと来た道をしゃにむに駆けた。そして深坂の中程でついに、磯野隊に追いつき、さらにこれを追い越そうとした。
夜明け近くと言えども、伊吹山中はまだ暗闇のなかである。磯野隊は後ろから突然現れた軍勢に驚き
「何者だ!?名を名乗れ!!」
と叫んだが、磯野隊を追い越すことに夢中な今井隊からは何の答えも帰ってこなかった。そこで磯野隊は
「おのれ怪しい奴ら!」とこれに攻めかかった。同じ浅井軍による、暗闇の中の同士討ちが始まったのだ。
この混乱の中、今井隊の大将今井定清は磯野隊の岸沢与一によって討たれ、他に二十数名の死傷者が出た。
そして当然のことながら、伊賀衆まで雇った太尾城攻めの作戦は完全に失敗した。
この事件の後、磯野員昌は事実を知り大変に驚き、
「天道いかなる神仏による罰でありましょうか、誠に口惜しく感じております。」
…と、涙を流して今井の遺族に謝罪した事が、今井の配下にあった島若狭守秀安の家記「島記録」に
残されている。
浅井家における、同士討ちの話である。
13 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22:45:51 ID:/+tCtXSE
実際、こんなgdgdな事態っていくらでもあったろうね・・
14 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/03/05(金) 23:30:54 ID:dmUSEh4G
一番ビビったのは城方かもな
朝起きたら麓で正体不明の勢力同士が戦してんだから
15 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23:37:42 ID:4KsUi6sQ
浅井が磯野に命じてわざとやった可能性もあるな
もともと今井氏は同僚だったし、六角と浅井を天秤にかけてる歴史があるからな
ってかこの話つい先月ガイシュツ
16 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23:46:52 ID:vZUR1baG
>>15
うわ、今確認した…
ま、まあ、詳細や磯野の謝罪の言葉は新しいと言うことでorz
関連
今井定清の死
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3603.html
永禄四年(1561)のこと。
近江の浅井長政は、六角氏に奪還された米原の太尾城の回復を狙っていたが、
この頃防備が手薄なのを見て取ると、家臣の今井定清と磯野員昌に命じて夜討を架ける計画を立てた。
そこで今井は配下の武将と相談し伊賀衆を雇い入れ、彼らの手で火攻めを行わせる契約を結んだ。
伊賀衆を太尾城に密かに侵入させ、城中で火の手を上げさせ、それを合図に本丸二の丸を一度に攻め滅ぼす、
と言う作戦である。決行の日取りは7月1日と決まった。
さて同日夕刻、今井隊、磯野隊はそれぞれ配置についたが、肝心の火の手がいつまでたっても上がらない。
浅井家の者たちはしびれをきらせて伊賀衆に詰め寄るが、彼らは
「それは忍の作法を知らぬ湖北武者の言葉である」
と一蹴する。とにかく信じて待っていろ、必ず火をかけると言う。
そうこうしている内に、夜明けも近くなった。
さて、待機している今井隊であったが、配下の島若狭守が「この様子ではもはや作戦の決行は無理でしょう。
今回は諦め、後日を期して帰陣いたした方が良いのでは?」と進言、今井定清もこれに同意し撤退を始めた。
ところが腰越まで退いた時
「太尾城の方向に火の手が!」
伊賀衆、見事に仕事をこなしたのだ。
慌てたのは帰陣中の今井定清である。
「城の放火に成功したのか!?いかん!このままでは城攻めは磯野隊に先をこされるではないか!
そうなっては一生の不覚である、急げ!」
今井隊はもと来た道をしゃにむに駆けた。そして深坂の中程でついに、磯野隊に追いつき、さらにこれを追い越そうとした。
夜明け近くと言えども、伊吹山中はまだ暗闇のなかである。磯野隊は後ろから突然現れた軍勢に驚き
「何者だ!?名を名乗れ!!」
と叫んだが、磯野隊を追い越すことに夢中な今井隊からは何の答えも帰ってこなかった。そこで磯野隊は
「おのれ怪しい奴ら!」とこれに攻めかかった。同じ浅井軍による、暗闇の中の同士討ちが始まったのだ。
この混乱の中、今井隊の大将今井定清は磯野隊の岸沢与一によって討たれ、他に二十数名の死傷者が出た。
そして当然のことながら、伊賀衆まで雇った太尾城攻めの作戦は完全に失敗した。
この事件の後、磯野員昌は事実を知り大変に驚き、
「天道いかなる神仏による罰でありましょうか、誠に口惜しく感じております。」
…と、涙を流して今井の遺族に謝罪した事が、今井の配下にあった島若狭守秀安の家記「島記録」に
残されている。
浅井家における、同士討ちの話である。
13 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 22:45:51 ID:/+tCtXSE
実際、こんなgdgdな事態っていくらでもあったろうね・・
14 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/03/05(金) 23:30:54 ID:dmUSEh4G
一番ビビったのは城方かもな
朝起きたら麓で正体不明の勢力同士が戦してんだから
15 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23:37:42 ID:4KsUi6sQ
浅井が磯野に命じてわざとやった可能性もあるな
もともと今井氏は同僚だったし、六角と浅井を天秤にかけてる歴史があるからな
ってかこの話つい先月ガイシュツ
16 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 23:46:52 ID:vZUR1baG
>>15
うわ、今確認した…
ま、まあ、詳細や磯野の謝罪の言葉は新しいと言うことでorz
関連
今井定清の死
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3603.html
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