718 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/22(木) 21:19:31.86 ID:Go8PNewW
明応の政変によって畠山尾州(政長)が自害し、その嫡子である尚慶(尚順)は大和の奥郡に隠れた。
畠山家の侍である木澤という者、尾州生害の後、いかにもして主の本意を達し、尚順をもう一度、
その本拠である河内へ返さねばと、骨髄に徹して思っていた。
その志が天に通じたのだろうか、彼は和泉の堺は落ち行き、商人として日を送っていたが、
ある時大雪が降った。彼は「名屋」という商人の邸宅の門の前を通っていたが、夜も相当に更け、
体の前にも後ろにも雪がついていたので、名屋の小門の板(看板?)にてたたき落とした所、
内より戸が開き、何者かが彼の袖を引いた。
木澤は怪しいと思ったが、無言のままこれに引かれて奥に入ると、屏風の中に引き入れられた後、
女房二人が火を灯し持ってきて、この木澤を見た途端、驚き呆れた表情になった。
これは、名屋という商人が高麗へ商売に渡っている留守の間、夜な夜な他の男が名屋の
妻の元に通う、いわゆる忍男があり、その忍男が門を叩いたと思って、間違って木澤を
引き入れてしまったのだ。
木澤はこの有様を見てそれを悟り、言った
「私はこの屋の主と知人である。彼が高麗より帰れば、この事を伝える。」
これに主の妻は手を合わせて詫び嘆き、金銀を持ってきていろいろと宥めてきたが、
彼は金銀を取らず、床にあった笛を密かに取って帰っていった。
程なくして名屋が高麗より帰国することが先立って知らされた。そのため邸宅の中を掃除した所、
名屋秘蔵の笛が見つからず、妻も不思議に思いかれこれ尋ねた所、有る女房が
「いつぞやの夜の男が、笛を懐中に入れたのではないでしょうか?」
と申し上げたため、かの男を詳しく尋ねると、やはり木澤のもとに笛があった。
木澤は尋ねてきた相手にこう申した
「私は必ずあの夜のことを名屋に申す。笛はその証拠とする。」
名屋の妻の父である紅屋という者がこれを知らされ、木澤の元に行き、訴えた
「どうか我が娘の命を助けてほしい。笛を返してほしい。」
そう嘆いて申した所
「ならば、我が望む所を達してくれるなら笛を返そう。」
紅屋は誓った
「どのような事でも、決して背きません。」
「では言おう。私は故畠山尾州守の家人である。主の本意を達すること計る心を、今も持っている。
現在、河内の平野には桃井兵庫が有るが、これを討とうと考えている。しかしその時、兵糧が
なくては叶わない。我々が挙兵するとき、必ずそれを頼む。」
そう伝えて、笛を紅屋に返した。
その後、杉原、斉藤、丹下、貴志、宮崎、安見、木澤、そして遊佐河内守をはじめとした
畠山尾州家の牢人たちを紅屋の元に集めた。
そして地の利を詳しく知っている彼らは、平野に夜討ちをして桃井、一色といった者たちを
討ち取り、
畠山尚順は本意を達し河内へ帰還した。
そして河内の高屋は安閑天皇の墳墓であったが、要害が良いためここに城を築いた。
(足利季世記)
719 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/23(金) 23:38:13.64 ID:R6aFemdC
全くいい話に見えないな
720 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/24(土) 02:28:05.90 ID:aZ7j2nv1
明応の政変って戦国時代か?
722 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/24(土) 07:04:51.85 ID:qpZjEP8O
享徳の乱以後は戦国時代でおk
723 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/24(土) 07:42:36.08 ID:s940ZZCm
古い話も新鮮でよいけどな
727 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/24(土) 18:13:24.89 ID:E6lAAeej
主家復活のため手段を選ばない男が人の浮気をネタに恐喝して得た資金で目的を達成ってどっちかって言えばいい話に読めるけどな
728 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/24(土) 19:49:43.26 ID:Uvw5N+xj
まあ武略の類いでいいんじゃないかなあ
木澤って長政のじいさんとかなのかね
729 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2018/03/24(土) 21:10:18.02 ID:VcxbanMs
主の本意を達成させた普通にいい話だよなあ
脅したっていっても別に悪意を持って陥れたって訳でもないし
嫁さんとその父親が身銭を切らされるのは自業自得