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甲斐姫の本当の剛勇は

2010年03月01日 00:08

甲斐姫   
315 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 13:31:37 ID:MqoNSTqV
忍城篭城戦で大活躍したとか言われる成田氏長の娘、甲斐姫。
実の所、真田勢に破られた城門を取り戻すべく、援軍を率いて真田勢に横槍を入れ、自ら首級数個を手に入れた。
という程度(それでも十分スゴいかも知らんが)で、決して一人無双状態ではなかったようです。

この娘の本当の剛勇は忍城ではなく東北の地で発揮されていたのです。

関東仕置き後、蒲生再生工場に預けられ会津に居た成田氏長、一万石の好待遇で福井城という城を任された。
葛西一揆、九戸の乱など、落ち着かぬ情勢の中、工場長と共に転戦を重ねる毎日だった。
留守を預かるのは氏長の妻にして太田三楽斎の娘、太田氏。
前妻の娘である甲斐姫との関係も良好で、城内には何の問題もないかに思えた。

しかし、城主氏長の留守を狙って、ある時謀反が起きる。
兵を挙げたのは何と、目付けとして蒲生から福井城に出向していた浜田兄弟。
自分達が謀反を起こさないかと見張りにつけられた、その見張り番が謀反を起こしたのだ。そんなコトは想定外だ。
不意をつかれた太田氏は無残に殺されてしまう。

慌てた留守居の者達は逃げ惑い、甲斐姫を伴って城から落ち延びる。
浜田兄弟は氏長や蒲生の援軍が来るまでに十分な迎撃の用意をするつもりであったし、背後には伊達政宗の援助があったとも言う。
彼等に勝算はあったのである。
……ただ一つだけ、彼等兄弟に誤算があったとすれば、甲斐姫の存在であった。
甲斐姫は父の援軍など待ってはいなかった。
福井城を脱出した兵達をまとめ上げると、自らがその小勢を率い、敵の手に落ちた福井城にUターンを仕掛けたのである。

これは完全な奇襲だった。
勝手知ったる福井城。成田勢は縦横無尽に暴れ回り、甲斐姫自らの刀で義母の仇、浜田弟を討ち取り、首謀者である兄も
手傷を負って捕らえられたと言う。


浜田兄弟の謀反が成功していたら、一揆鎮圧の軍から蒲生勢が外れる事になり、更にまーくんとの挟み撃ち……
なんてコトにもなったかも。
東北情勢泥沼化の危機を救った甲斐姫の武勇のお話。




318 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 14:10:33 ID:cjkn1Xj9
>>315
成田記だけはガチ

319 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 14:13:08 ID:0T5uYgAL
まぁ中国とかだととても人間がやったと思えないような逸話とか結構あるが、
その類だよなw>甲斐姫

個人的には師匠への持て成しに妻だか子供を料理して食わせたってあれが一番マジキチだと思ったw

321 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 14:18:05 ID:cjkn1Xj9
>>319
すごいといえば項羽本紀の項羽、リアル戦国無双そのもの
司馬遷はっちゃけすぎ

322 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/28(日) 14:25:03 ID:iyENjrlt
漢王朝にチンコ切られたせいなのか知らんけど司馬遷は項羽大好きだからw

成田氏長さんと相越同盟

2010年02月17日 00:06

596 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 14:34:31 ID:Owi7sF1D

武田信玄が今川氏との同盟を反故にして駿河に攻め込んだ時の事。
北条氏康は三国同盟を破った信玄に怒り、今川救援の兵を駿河に派遣した。

武州忍城主、成田氏長の配下である飯塚要人という若者が伊勢忠貞の陣の前を通りかかった。
……と、伊勢の兵達がこちらを見てクスクスと笑っている。
あからさまに侮蔑の表情で笑っている彼等に不快感は感じたモノの、今は主君のお使い途中だ。グッと堪えてその場を立ち去った。

そして無事、主命を果たし終えると、友人の長島大次郎にこの顛末を話し、
「やっぱヤツらの態度は我慢出来ねぇ! ちょっと今から行って来る」
と伊勢の陣に向かってしまった。
長島は慌てて成田氏の重臣、田山豊後にこの事を報告し、友人が心配だからと後を追って伊勢の陣に向かった。

一方伊勢の陣の前では、
「オイ、お前らさっきオレを見て笑ってたろ」
「あぁん? なんだお前、戻ってきたの?」
「やっぱ近くで見てもピッカピカの鎧じゃ~ん?」
飯塚要人が伊勢の兵数人と押し問答をしている。

「武田との戦いでみんな泥まみれの鎧を着てるってのに、お前の鎧は下ろしたてみたいにキレーじゃねぇか」
「そーそー、だからこないだの戦いでも、汚れる前に真っ先に逃げ出したんじゃねぇのって言ってたの! おわかり? ピカピカちゃ~ん?」
「んだとぉ、テメェら!」
激昂した飯塚は、遅れて駆けつけた長島と共に刀を抜いて味方の筈の伊勢軍に切り込んで行った。
勿論、多勢に無勢。二人はあっという間に討ち取られてしまったが、田山豊後を筆頭に成田軍が兵を率いて二人の救出に駆けつけて来た為、
北条軍の陣では大騒動となった。
ある者は伊勢に、ある者は成田に味方し、北条軍同士の戦争が始まろうかと言う寸前であった。

報告を聞いた北条家の重臣、板部岡江雪斎は慌てた。
「こ、こんな面倒な時に、なおさらややこしくなる様な騒動、起こさないで!」
自ら両軍の間に割って入り、全面衝突となるのを未然に防いだ。
この後、成田氏長は臍を曲げたのか、それとも遺恨を残したまま伊勢と同陣させられないから上州方面を警戒してね、
という上層部の判断なのか、駿河から撤退し、領地の忍城に帰還してしまった。

江雪斎が頭を抱えた「こんな面倒な時」……そう、武田と手切れになった為、上杉謙信と同盟を組もうという、「越相同盟」の交渉が難航中だったのだ。
そして問題の一つが氏長の忍城の帰属。

案の定、帰国した氏長から書状が届いた。
氏康「……あの、謙信さん? 成田がね、『忍が上杉領になったらオレは殺される』って騒いでるんですよ?」
謙信「え? 何で? 怨まれてる自覚、アイツにあったの?」
氏康「いや、謙信さんとの過去の経緯もそうなんですケド、こないだウチの方でも一悶着ありまして……」
謙信「この際、武田に寝返っちゃおうって?」
氏康「えぇ、そーゆー事です。んで、成田だけじゃなくて松山城の上田とか、周辺の連中まで一緒に騒ぎ始めちゃって……」
謙信「……」
氏康「『今度は武田に寝返っちゃおっかな~』なんて事をワザとコチラの耳に入るように言って来るもんですからね、その……申し訳ないんですが、『殺さないよ』『追い出さないよ』って、神様に誓ってあげてくれません?」
謙信「ヤダ、メンドクサイ!」
氏康「えぇ~っ!? でも、太田三楽斎も、佐竹も、里見も武田に付いちゃったんですよ? 西上野だけじゃなくて北武蔵まで武田領になっちゃうんですよっ?」
謙信「うん、だから、忍も松山もいらない。ヤツラ、オレがヤダって駄々こねてるんでしょ? じゃ、そっちで面倒見りゃいいじゃん」
氏康「こっちだってメンドクサイんですケドねぇ……」


領地割譲を値切った北条と見れば良いのか、悩みの種を押し付けられた北条、と見れば良いのか……
くすぶる遺恨を楯に寝返りをチラつかせながら、無茶な要求をゴリ押しした成田さんの一人勝ちな越相同盟のお話でした。

氏長「若いモンの首二つで領地と命が安堵されるんだから、安いモンだよなっ!」




597 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 18:54:12 ID:3FkuhlaT
成田氏長って花の慶次のエピソードが強烈に印象に残ってるわw

長い滞陣でダレ気味のラスボス
なんかおしゃれなソファーに妙なポーズで鎮座

部下「成田氏長から内応の書状が届いています」
秀吉「あ~ん?それを小田原城に届けよ」
部下「そ、それでは成田が氏政に殺されます」

秀吉「 か ま わ ん 」


まあ、これは漫画だけどさw

598 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 18:56:04 ID:a2w14OwC
娘を側室にしたくせに~



関連
成田氏長、寝返って候
http://iiwarui.blog90.fc2.com/blog-entry-3920.html

成田氏長、石田三成と浅野長政に

2010年02月12日 00:09

443 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 14:37:14 ID:uLWJhwMp

毎度成田関係ばかりで申し訳ない。

関東仕置きから早数年、蒲生再生工場を経て烏山城二万石の大名に復帰した成田氏長。京都に行った時の出来事。

(・∀・)「おっ、あっちから来るのは石田殿だぜっ!」
(・_・)「一緒に居るのは浅野殿じゃねぇか」

ご存知、石田三成&浅野長政。この両将は去る忍城攻略の際、天下に失態を晒している。
辺りを行きかうギャラリー、興味津々でこの遭遇を見つめていた。

(´Д`)「まぁでも、三人とも良い大人だし、無難に『良い家臣をお持ちで~』とか『見事な采配でござった~』とか、
    そんなトコなんじゃねぇの?」


三成「ちょぉぉっと待ちなさいっ! 一回勝ったくらいでいい気になってんじゃないわよっ! アタシが本気出してたら、
   忍城なんてアッと言う間に落ちてたんだからねっ!!」

(;゚Д゚)「!?」

……三成ちゃんてばいきなりキレた。

長政「そ、そうよっ! アンタの一族の……えぇと何て言ったかしら?……とにかく、アンタの重臣だって、
   アタシ達の方が良いって内応を約束してたんだからっ!」

(´Д`)「…………」

………長政ちゃんまでノッちゃった。

三成「あらあら、寝返りの約束なんて、良い家臣をお持ちデスコトっ!
   まぁでも、小田原を裏切って勝手に和睦した成田さんちのコなんだもの、家臣もそーゆー躾を受けてるんじゃないの?」
長政「まったく、アタシ達の家中じゃ考えられないわよねぇ! 後十日もあれば、ナ・デ・ギ・リ、してあげられたのに~」

氏長クンに何を言わせる暇も与えず、言いたい事だけ言ってヲホホホホッとワザとらしい高笑いで立ち去る三成ちゃんと長政ちゃん。

(゚Д゚)「……なにあれ?」
(゚Д゚)「……ま、まぁ、ある意味分かりやすい負け惜しみでいいんじゃね?
     成田殿もあんな遠吠えチックな捨て台詞、相手にするホド馬鹿じゃぁ…………」

氏長「……内応、だと……? 一族の人間が……!?」

(;゚Д゚)(;゚Д゚) 「「バカだったぁーーーーーっ??」」

氏長「おのれ長親っ! さては裏切ったのはあ奴かっ!」

(;゚Д゚)(;゚Д゚)「「しかもそれ一番の功労者ーーーっ! つかその人が裏切ってたらその瞬間城落ちてるーーーーっ!!」」


その後、烏山に帰った氏長クン、速攻で従兄弟の長親クンを家から叩き出したとか。

(´・ω・`)「……オレ……頑張ったよね? ……酷くね?」

長親クン、トボトボと下野を去り、故郷の忍で徳川さんちの忠吉ぼっちゃんにお仕えしましたとさ。


氏長「……え? 裏切ったのって泰徳叔父貴? 長親ぢゃないの? マヂで……?」

いや、気付くの遅すぎないか、氏長クン?
大人気ない三人のせいで、忍城を守り抜いた名将が気の毒なコトになっちゃった、関東仕置きの後日譚。




444 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 15:34:16 ID:ueBpwNW8
こりゃひでぇや

445 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 15:38:20 ID:qELLon4a
これは悪い。もはや笑う事でなにかの供養になるまいかと思ってしまうほど悪い。

446 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 15:43:37 ID:913HtK5s
ちょっとどころじゃない悪い話、いただきました

447 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 15:47:15 ID:CDmsDzj1
過ちに気付いた氏長は長親に詫び状を書いて
戻って来てくれるよう頼むんだけど
断られるんだよな

448 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 15:57:10 ID:9y+7iYEH
そりゃあ頑張ったのに相手の負け惜しみに端を発する一方的な勘違いで追い出されたらなあ。

449 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 16:21:34 ID:C1eGNjUF
元から含むとこがあったとしか思えん

450 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 16:28:08 ID:3FQ/zO0a
頭の悪い話

451 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 16:55:40 ID:QjClByCb
よほどの人徳者でも断るレベルw

483 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/12(金) 12:29:15 ID:C2wU6b4I
>>443
「のぼうの城」の余韻が台無しになる逸話だなw
あの小説は爽やかな風が吹きすぎててウンザリしたもんだが、この逸話はリアルだねぇ

「太美が来たぞ~~~っ!!」

2010年02月07日 00:05

313 名前:sage[] 投稿日:2010/02/06(土) 13:28:42 ID:QNXcl/8S
まとめサイトに成田長泰が城から締め出された話があったのでもう一つ。

ある時、上杉謙信に攻められた武蔵忍城。
何とか持ちこたえたモノの、城の目の前に皿尾城という付城を築かれてしまう。

皿尾城との間には川や沼があるとは言え、すぐ目の前に敵城があるのはやはり面白くない。
謙信が越後に引き上げると、すぐに皿尾城攻略を画策し始めた。

長泰「謙信さえ居なくなれば怖いものなんてないモンね!すぐに攻め落としちゃうよ!」

と、朝も早よから攻撃を始める。
しかし皿尾城主の木戸父子も粘る。中々城を落とせないまま、あっという間に時刻は夕方。
冷たくなってきた風に頭が冷えたのか長泰、謙信以外にももう一つ、「怖いもの」があった事を思い出した。

「太美が来たぞ~~~っ!!」

敵味方に伝令の声が響き渡る。そう、戦が長引いてしまったせいで、長泰のもう一人の天敵、
太田美濃守(後の三楽斎)が岩槻城から援軍を連れてやってきたのだ。

慌てて逃げ出す成田軍……だったのだが……

長泰「えっ?何?何で城門が閉まってんのっ!? 開けてよっ!!ねぇってば!あ~け~~てぇ~~~!!」

突然の天敵の襲来にパニくった城兵が、長泰の部隊が引き上げる前に忍城の城門を閉めてしまったのだ。
このままでは自分の城の門前で討ち死にしてしまう。慌てて忍城から逃げ出す長泰。
その晩は仕方なく荒川のほとりで野営をし、翌日、改めて軍勢を建て直し、忍城に入城を果たしたのである。

氏長「……ご無事で何よりです、父上(美濃守の役立たずめっ)」
長泰「そ、そんなにパパの事、キライ?」

家督相続がこじれる数年前の話。門を閉めたのは氏長の陰謀だったのでしょうか?
何はともあれ生涯で2度も居城から締め出されちゃった成田さんinのぼうの城 のお話。
(出典「成田記」「成田系図」)

ちなみにその後、皿尾城は無事、長泰によって落とされるのですが、まとめにあった家督相続がこじれた末に長泰が締め出されちゃった話、
側室を住まわせていたのが「皿尾の館」となっていたから、落とした皿尾城を側室用の別荘としてリフォームして使ってたようです。
……アンタ、皿尾は鬼門だからもう近寄んな。




成田長泰、忍城の怪異

2010年02月07日 00:03

314 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/06(土) 13:36:43 ID:QNXcl/8S
名前とメールの欄を間違えた……
お詫びがてらに成田さんもいっちょ!

氏長に家督を譲った後の長泰は出家して蘆伯斎を号し、以前と変わらず忍城に暮らしていた。
そろそろ年を感じてきた蘆伯斎だったが、その頃夜になると部屋の梁が揺れ、身体に重く圧し掛かるモノがある。
あまりの重さに息も絶え絶えになり、声も出ない。おかしな様子を感じた宿直の者が助けに入るまでそれは続き、
やがて失神するかのように眠りにつく、そんな日々が続いた。

仲が悪いとは言え父の身に起きた怪異、城内での出来事でもある為、氏長や重臣らも頭を悩ませていたが、僧の祈祷も効き目がない。
僧がダメならと、家臣の弓の名人に怪異の退治を命じてみる。命じられた三沢七郎左衛門は「自分には荷が重いが父なら……」と老父を推挙。
この老父、御年85歳になる三沢浄斎、若い時は京都に上り弓術の奥義を授かった程の名人であったのだ。

その夜、蘆伯斎の寝室を警固する浄斎他数名。
しかし真夜中になり、警固の者たちが船を漕ぎ始める……と、共に部屋の明かりは消え、家鳴りが響き、
蘆伯斎のうめき声が聞こえ始める。

浄斎「さては現れたな物の怪!」

と弓を一鳴らし。途端に警固の者たちも蘆伯斎も眠気は覚め、意識を取り戻す。
そして警固の一人、矢沢玄蕃允は自分の足元を何かが擦り抜けようとしているのに気付いた。

矢沢「さてはこれが物の怪!」

真っ暗な中、矢沢と何かが取っ組み合いをする音だけが聞こえる。
やがて物音が止んだ頃、明かりをつけて見ると矢沢の身体中には獣の爪痕が何ヶ所もついており、血塗れの状態。

矢沢「組み伏せたと思った途端、雲のように消えてしまいました」

その晩は夜通し城内を捜索したのだが、何も見つからない。
「天狗の仕業か」と皆で話し合っていた所に、朝になってある廓の番兵が上役に申し出てきた。

番兵「今朝方、私の夢に犬ほどの大きさで全身真っ赤、両目は鏡のように光り、口から火炎を吐く狐が出てきました」

夢の中の狐が言うには、
「ワシは貴方の受け持つ廓に住む古狐が化けたモノじゃ。昔、若い頃の蘆伯斎めに妻子を殺されたのじゃが、
当時長泰と名乗っていた彼の威勢は強く、仕返しが出来なかった。今、老人となり衰えてきた故に妻子の仇を
取ろうと狙っていたのじゃ。後三日もあれば蘆伯斎の命を取れたのに、弓に撃たれ、大力の士に組み伏せられ、
通力を失ってしまった。ワシはこの城を去るが、貴方は長年、餌を恵んでくれた恩があるのでこの宝玉をあげ
よう」
男の枕元には確かに石で出来た桃くらいの大きさの玉があったのだと言う。

この話が氏長、蘆伯斎に伝わると、
蘆伯斎「確かに昔、あの廓で面白半分に狐に弓を射掛けた。母狐が子狐を腹の下に隠すので、まず母を殺した。
そしたら子狐が這い出してきたのでそれも殺した。その時の父狐がワシに復讐に来たのか……」

その後、蘆伯斎は狐の親子をねんごろに弔い、廓に祠を建てて稲荷として祭ったという。(出典「成田記」)

お隣の館林は狐を助けて城を建ててもらたってのに、アンタと来たら……
つか蘆伯斎って……アシハクサイって……クレヨンしんちゃんじゃねぇんだからさ……





315 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/06(土) 15:01:49 ID:v4cIsvHS
>>314のせいで「アシハクサイ」としか読めなくなった。
謝罪と賠償ry

316 名前:人間七七四年[] 投稿日:2010/02/06(土) 15:11:17 ID:TwxDEkXa
      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
/⌒ヽ  / ''''''     ''''''   ヽ
|  /   | (●),   、(●)   |
| |   |    ,,ノ(、_, )ヽ、,,     |
| |   |    `-=ニ=- '      |
| |   !     `ニニ´      .!      天狗じゃ、天狗の仕業じゃ!
| /    \ _______ /
| |    ////W\ヽヽヽヽ\
| |   ////WWWヽヽヽヽヽヽヽ
| |  ////WWWWヽヽヽヽヽヽヽ
E⊂////WWWWWヽヽヽヽヽヽヽ
E////         ヽヽヽヽヽヽヽ
| |  //WWWWWWWヽヽヽヽヽヽヽ


317 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/06(土) 16:25:02 ID:s0KGK69J
動物ネタ面白いね。
つか小田の猫ネタってなんだっけ?

318 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2010/02/06(土) 17:23:00 ID:nNvA9jU2
忍の少し北の方に狸に助けられた城もあったよーなw
なんにせよ、無意味な殺生はいかんという事ですね。

手島美作の逃亡

2009年12月26日 00:01

350 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/12/25(金) 06:57:37 ID:TtScnEBK
武州忍の領主成田長泰の家臣に、手島美作と言う者がいた。

この手島、永禄3年(1560)上杉輝虎の小田原攻めの際、人質として謙信に出された長泰の
幼い二男に付けられ厩橋城にいたのだが、成田長泰はご存知のように、この小田原攻めの最中
上杉陣営から離脱し忍に帰った。
俗説では鶴岡八幡宮における輝虎の関東管領への任官の儀式で、輝虎から打擲されたためだという。

さて、明日はこの輝虎が厩橋に帰城すると言う夜、この城の宿直のものが手島を、
密かに物影へと呼んだ。

「手島殿、あなたの御主君長泰様が別心をいだき、忍に帰られたことご存知か?
明日輝虎様が帰城されるとあなたも、人質ともども殺されることになっているそうだ。」

手島、これに大いに驚いた。主君長泰からは、何の連絡も来てはいないのだ。
なんたることかと愕然としていると、宿直の男

「…ところであなたは、国に帰れば五千貫の大身だと聞き及びます。どうでしょう、私に
三十貫の知行をいただければ、あなたをここから脱出させ命を助けますが…?」

「そんなもの容易いことだ!」

すぐに約束状を書き与えた。そこで宿直の男は小舟を用意し、手島を人夫の姿にさせて
城を出ようとした。この時手島は「若君も連れて行きたい。」と言ったが、
「子供をつれていくのは無理ですよ。だいたい父親である長泰でさえ捨てたんですよ?
他人である我々が気に掛ける必要があるでしょうか。是非に及びません。」

と、若君がまだ寝入っている間に、城を出た。

翌朝、この二男は目を覚ましてから、自分が殺されると言うことを知った。
慌てて手島のもとに駆けつけたが、そこは既にもぬけの殻であった。
そうしているうちに二男を探しに来た追っ手が現れ、これから逃げようとし、最後には
川に飛び込んでそのまま死んだ、と言う。

手島美作は無事脱出に成功したが、長泰に対し「今まで一度も不忠の事は無かったのに、
棄て殺しにしようとしたのはあまりに酷い」とこれを恨みとし、後、長泰の嫡男氏長と共に、
長泰の追放に働いた、との事である。





352 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/12/25(金) 12:39:56 ID:jqpCh1IM
成田長泰次男って確か謙信が厩橋に帰ったあとも普通に厩橋に元気でやってて
謙信がおんぶして遊んであげてたとかいう話も残ってるんだが…。
成田の家臣が危険を冒して救出して連れ帰ったバージョンの話も見た覚えがある。

353 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/12/25(金) 14:18:59 ID:VtI7ZOi6
というか、一般的に長泰の次男とされる長忠(当時九歳)にはそもそも上杉の人質に出された
形跡がない。
成田長泰が人質を見棄てたのは事実だが、本当は誰が人質に出されたものやら。

357 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/12/25(金) 17:27:36 ID:eT+d0tKE
>>350
友誼とか同情じゃなくて知行目当てかよ!>宿直

甲斐姫の(格好)いい話

2009年08月31日 00:08

甲斐姫   
869 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[] 投稿日:2009/08/30(日) 15:47:12 ID:nS0e7net
遅ればせながら甲斐姫が戦国無双に登場なさると伺ったので


 
秀吉の小田原城攻めに際し、武蔵・忍城で石田三成を相手に
籠城戦を繰りひろげ、
継母(成田氏長の夫人)の指揮で、水攻めを試みた三成軍を散々に
打ち負かした。

水攻めを断念した三成はとうとう力攻めに出た、
そこに現れたるは小桜縅の鎧に猩々緋の陣羽織、その姿はさながら「緋牡丹」
とも称えられる甲斐姫

名刀「波切」を手に寄手の真っ只中に飛び込み、多くの首級を上げた

そうして、忍城が奮戦している間に肝心の小田原城が開城の運びとなった。

ところが、甲斐姫や氏長夫人たちはこれを信じようとせず
なお頑強に抵抗を続けた。

そして先に秀吉に降っていた氏直が妻子を説得し、どうにか忍城を開城させた。


ついでに氏直はかわいそうな事に、この後、忍城の開城が遅れた責任を償うため
多額の黄金を秀吉に献ずる羽目になった。


既出でしたら、すみません。

甲斐姫の(格好)いい話 ということで





871 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[sage] 投稿日:2009/08/30(日) 15:54:16 ID:A6JP8DqO
>>869
のぼうの城とは全然違う形の逸話なんだな
いろんな逸話が出来るぐらい忍城の篭城戦って凄かったんだろうな


のぼうの城 in 1566・悪い話

2009年04月13日 00:04

606 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/12(日) 16:04:05 ID:TiM/yMnL
成田長泰は嫡子・氏長が成人し、自身年老いても家督を譲ろうとはせず、
そのクセ少女を忍城郊外に作った別荘に囲い、夜な夜な通って遊んでいた。

これを見て、家老ながら日ごろ長泰に粗略に扱われ、恨みを持っていた手島美作守が、
氏長とその母に言った。
「長泰様のご乱行は他家にも知れ渡り、みな呆れ果てております。
なにとぞ、お二人で相談され、氏長様が当主の座に着くよう、策を練るべきです。」

その夜も長泰は別荘の愛人の所へ行き、酒盛りなどして、さんざん遊び呆けた。
深夜になり、忍城へ戻ったが城門は城主の前に、固く閉ざされていた。
手島に説得された氏長の、「父はもはや城へは入れない」という構えである。

しかし勝手知ったる自分の城のこと、長泰は堀端の配水管に潜り込み、潜入を開始した。
驚いた氏長は、家臣の三友十兵衛を配水管の出口に派遣した。
槍を持って待ち構えた十兵衛、長泰の頭が見えたところで、配水管に槍を突っ込んだ。

ところが、塚原卜伝の弟子でもある長泰は、槍先を見切るとガキンとこれを口で受け、
十兵衛が槍を戻すと、そのまま一緒にズルズルと引きずられ、城内に出た。
あまりの事に仰天した十兵衛は、槍を捨てて逃げ出した。

長泰はそのまま本丸へ駆け出した。兵たちも低レベルな裏事情を知ってはいたが、
主君である長泰に手を出せず、ついに長泰は氏長のもとにたどり着いた。
ここで長泰、頭が冷えたか
「これもワシがいい年になっても隠居しなかったせいだろう。このまま話がこじれて、
小田原あたりの介入を受け、滅びるよりは・・・」

と思いなおし、菩提寺である龍淵寺の和尚を仲介して氏長と話し合いの末、
手島を追放して、みずからは出家・隠居した。
ただし、その後三年の間、親子に交流はなかったという。


意外に弱い、のぼうの城 in 1566の話。氏長が城に残ってたら、三成も(城攻めしても)
案外あっさり落とせてたかもね。




607 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/12(日) 16:08:55 ID:WBbW/yw3
成田さんも随分な化け物だな

関東武士ってw

609 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/12(日) 18:54:17 ID:F1U7gbqz
>>606
三友「釣れた!はじめてなのに釣れちゃったあ!」