909 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2017/05/18(木) 02:04:32.57 ID:wFnksFn3
蜂須賀修理大夫正勝は、日頃愛宕山を信仰し、その頃は播磨龍野におられた
ので愛宕山へ参詣なさり、祈念なさっていたところに、どこともなく老人の山伏が
法螺貝を持って来た。山伏は、「宿坊より献上いたします」と言い、法螺貝を差し
置いて帰った。正勝は不思議に思って宿坊に入り一礼を申されたところ、宿院の
僧はこれを聞いて、「左様のことは、こちらは一向に存じ申さず」と言った。
このため僧は、「きっと権現より奉りなさったのでしょう。戦場で貝を吹く事は獅子
の吼えるが如く、この一声には悪魔は降伏して怨敵は退散し、子孫は御繁栄と
なりましょう」と祝した。その夜、正勝の夢の中で山伏と童子が歌を吟じ、
"香をとめよ 蜂須賀もとに 澄水の 濁らぬ世々の 末が末まで" と吟じていた。
これより以後、出身なさって阿波守となられた。
――『明良洪範』
蜂須賀修理大夫正勝は、日頃愛宕山を信仰し、その頃は播磨龍野におられた
ので愛宕山へ参詣なさり、祈念なさっていたところに、どこともなく老人の山伏が
法螺貝を持って来た。山伏は、「宿坊より献上いたします」と言い、法螺貝を差し
置いて帰った。正勝は不思議に思って宿坊に入り一礼を申されたところ、宿院の
僧はこれを聞いて、「左様のことは、こちらは一向に存じ申さず」と言った。
このため僧は、「きっと権現より奉りなさったのでしょう。戦場で貝を吹く事は獅子
の吼えるが如く、この一声には悪魔は降伏して怨敵は退散し、子孫は御繁栄と
なりましょう」と祝した。その夜、正勝の夢の中で山伏と童子が歌を吟じ、
"香をとめよ 蜂須賀もとに 澄水の 濁らぬ世々の 末が末まで" と吟じていた。
これより以後、出身なさって阿波守となられた。
――『明良洪範』
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