川原林越後守の死に様

2009年04月10日 00:10

609 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 21:01:46 ID:a9jqosZU
荒木村重の家臣に、川原林越後守と言う者がいた。
彼は村重が有岡城に籠城した際、秀吉が説得のため城に訪れた時に、
「秀吉を抑留すべきです!」
と、進言した男であった。

有岡落城の後、流浪していたが、ある人が
「お主の有岡でのこと、秀吉は大いに感じ入っているそうだ。その上秀吉は今、数奇を好んで
茶道具などを集めている。お主は荒木が所有していた茶道具をいくつか所持しているとのこと、
それを携えて秀吉の元に行けば、恩賞にあずかれるのではないか?」

川原林、最初はそんな話を聞き流していたが、多くの人たちが「そうするべきだ」と
あまりに言うので、ついに秀吉にその旨を伝えた。

これを詳しく聞いた秀吉は怒った。「なんという不義の者か!有岡でワシを害しようとしたこと、
これは忠義から出たものである。が、村重の没落に殉じずのうのうと生き、あまつさえ先君の
茶道具を貢物にして命を繋ごうなどと、これ以上甚だしい無道があろうか!」

と、川原林に切腹を命じた。

やがて、川原林が切腹に望む日が来た。
その日、彼の元には友人達が集まり、色々な物語をして、切腹の予定の時刻を過ぎた。
親しい友人達はこれを心配し、
「普段のおぬしらしくも無い。速やかに腹を切り、潔さを見せるべきではないか?」
と諫言をする。

これに川原林笑って「色々な美物を整え、ご馳走を並べてもてなす振る舞いの席にも、
約束よりは刻限を過ぎていく事など、世の中にはよくある事です。
ましてやその先に何も無い死の時を、どうして急ぐことがありましょうか?
ここで少しでもあなた方と物語をして、名残を惜しむ事こそ、今生の思い出となるのです。」

そこに秀吉から人が使わされてきた。「まだ切腹をしていないと言うので、秀吉公は大変に
ご機嫌を悪くしている。早く切腹して、その知らせを持っていくように!」

川原林、この言葉に「それはまるで理解できない。
秀吉が私に知行や俸禄をくれると言うのなら、当然何事も、秀吉の機嫌に合わせるようにするさ。
が、切腹を命じられているというのに、秀吉の機嫌に会うようにして、私に一体、何の益があるのだ?
どれほど機嫌悪くされようが、殺される以上のことを、秀吉もする事は出来ないだろうよ。」

と、動ずる気配も無く、心静かに友たちと物語をし、やがて、心残りも多いがもはやこれまで也、と言って
腹を斬って死んだ、とのことである。

そんな、ある侍の死に様のお話。




610 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 21:03:49 ID:DlB/uZcG
帰参
恩賞

ラスボスへのNGワード

611 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 21:50:57 ID:pl8JQoDk
その図太さにあこがれる

612 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 22:14:58 ID:nt7rfq7o
他人の無責任な言動には耳を貸すなと言う教訓ですね

613 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 23:16:33 ID:BFnP6Rsp
戦国期の飄々とした武士道には憧れるな
自分がそんな風に生きられないだけに・・

615 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 23:43:10 ID:qXyE66Fx
>>612
ほんとその通りだよ

616 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 23:57:38 ID:RqR0W666
>>613
それを感じる心があるってことは、
そういう生き方が出来るってことだよ

617 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2009/04/10(金) 00:06:42 ID:5I1aV+m2
御本尊、荒木村重が茶人道糞として華々しく再デビューする前の
話かな。
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