893 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/06/27(月) 22:30:31.39 ID:xIwt/IjX
元和元年五月二日、後藤基次は大和口の大将としてまさに出立する時、『今度は生きて再び
帰ることが無いであろうから、秀頼公に最後のお暇を申し上げよう』と、御広間へ向かい、
速水出来丸(速水甲斐守息子・当時24歳)を通して斯くと言上すると、秀頼も早速に出御し、
「早や、出陣か」
と声をかけた。
基次は謹んで畏まり
「私は不肖の身ではありますが、去年召し出して頂き、直ぐに諸大夫に仰せ付けられ、殊に
大将の号を許された事、弓矢の面目死後の思い出、何事がこれに勝るでしょうか。
であるのに私は、尺寸もこの御恩に対して報いておらず、この事、返す返すも口惜しく思っていました。
この基次、今度は一番に東兵に相当たり、千変万化に戦って、これぞと思う敵と引き組み討ち死にし、
せめてもの忠を泉下に報い奉ろうと決心しています。然らば、今生において御尊顔を拝するのも
これが限りであり、一層名残惜しく存じます。」
さしもの猛き基次も、この時はしきりに涙を拭っていた。秀頼もまた涙を流しながら
「汝の忠貞は感ずるに余りある。私も宿運拙く、いまやこの体になってしまい、一日も安堵の思いなく、
遺恨余りある。しかしこれも、前世からの宿業なのであろう。
汝と真田を私は、我が両翼と思っている。例え討ち死にの覚悟であったとしても必ず、
再びこの城に帰って、私と死を共にするのだ。この事、必ず忘れてはならぬぞ。」
基次はこの上意の有り難さに感涙を流していたが、率然と叫んだ
「天晴!名君の仰せであるかな!今生の望みもこれにて満たされました。上意の趣、畏まり
奉ります。」
そう言って御前に在った傍輩たちにも皆、暇乞いをして広間を立った。
そして襖障子に一種の歌を書き付けた
『主命ぞ 親子も捨つる武士の道 辞ひとつの命もろとも』
これを見る者は皆感動し、世の口碑に刻まれたのである。
(慶元記)
894 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/06/27(月) 22:51:58.81 ID:KCWhgknx
>>893
このままドラマにできそうなクォリティだ…
932 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/07/14(木) 16:37:08.04 ID:gsTyxJTG
>>893 は実話かなあ?。秀頼の発言が詳しく載っているところをみると
創作だろうけど。
元和元年五月二日、後藤基次は大和口の大将としてまさに出立する時、『今度は生きて再び
帰ることが無いであろうから、秀頼公に最後のお暇を申し上げよう』と、御広間へ向かい、
速水出来丸(速水甲斐守息子・当時24歳)を通して斯くと言上すると、秀頼も早速に出御し、
「早や、出陣か」
と声をかけた。
基次は謹んで畏まり
「私は不肖の身ではありますが、去年召し出して頂き、直ぐに諸大夫に仰せ付けられ、殊に
大将の号を許された事、弓矢の面目死後の思い出、何事がこれに勝るでしょうか。
であるのに私は、尺寸もこの御恩に対して報いておらず、この事、返す返すも口惜しく思っていました。
この基次、今度は一番に東兵に相当たり、千変万化に戦って、これぞと思う敵と引き組み討ち死にし、
せめてもの忠を泉下に報い奉ろうと決心しています。然らば、今生において御尊顔を拝するのも
これが限りであり、一層名残惜しく存じます。」
さしもの猛き基次も、この時はしきりに涙を拭っていた。秀頼もまた涙を流しながら
「汝の忠貞は感ずるに余りある。私も宿運拙く、いまやこの体になってしまい、一日も安堵の思いなく、
遺恨余りある。しかしこれも、前世からの宿業なのであろう。
汝と真田を私は、我が両翼と思っている。例え討ち死にの覚悟であったとしても必ず、
再びこの城に帰って、私と死を共にするのだ。この事、必ず忘れてはならぬぞ。」
基次はこの上意の有り難さに感涙を流していたが、率然と叫んだ
「天晴!名君の仰せであるかな!今生の望みもこれにて満たされました。上意の趣、畏まり
奉ります。」
そう言って御前に在った傍輩たちにも皆、暇乞いをして広間を立った。
そして襖障子に一種の歌を書き付けた
『主命ぞ 親子も捨つる武士の道 辞ひとつの命もろとも』
これを見る者は皆感動し、世の口碑に刻まれたのである。
(慶元記)
894 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/06/27(月) 22:51:58.81 ID:KCWhgknx
>>893
このままドラマにできそうなクォリティだ…
932 名前:人間七七四年[sage] 投稿日:2016/07/14(木) 16:37:08.04 ID:gsTyxJTG
>>893 は実話かなあ?。秀頼の発言が詳しく載っているところをみると
創作だろうけど。
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コメント
人間七七四年 | URL | -
これ、真田丸でやってくれないかな?
( 2016年06月28日 16:49 )
人間七七四年 | URL | -
だが、哀川翔がやるとVシネマのようになるという諸刃の剣。
というか出浦昌相は浮いてるよな~
同じヤクザ役の多い俳優さんの上杉景勝はハマってるのにw
( 2016年06月28日 17:21 )
人間七七四年 | URL | -
秀頼と又兵衛って、言っちゃ何だけどそこまでディープな関係じゃない気がするんだがなあ。
なんとなく思うのは又兵衛は自分に酔っちゃうところがあるのかなあと。
( 2016年06月28日 19:20 )
人間七七四年 | URL | -
主命
普通に「しゅめい」でいいのかな?語呂がわるいというか。
いや、野暮ですまん。気になって。
( 2016年06月28日 20:05 )
人間七七四年 | URL | -
これ真田○でやるとしても
いきなりこんな展開来ても「は?」でしかないし、
コレを感動シーンに仕立てあげるには
その前に又兵衛と秀頼さんとの絆を掘り下げた描写入れれば良い訳だけど
それはそれでなんかビミョー
( 2016年06月28日 20:33 )
人間七七四年 | URL | -
どっちかというと信繁と茶々でこんなやりとりやりそうだ
( 2016年06月28日 20:39 )
人間七七四年 | URL | -
※4
コトバンクによると「しゅうめい」と読むのもアリ
しゅうめいぞ、ならいい感じでそ
( 2016年06月28日 20:58 )
人間七七四年 | URL | -
自分は、又兵衛って大袈裟で古めかしい印象がする武士なんで、
(だがそれはそれでいい)
この逸話への個人的感想は「もうホント又兵衛って感じ」です。
( 2016年06月28日 21:33 )
人間七七四年 | URL | -
真田○の景勝&兼続主従は、「天地人」の寡黙な景勝&でしゃばり兼続みたいでなく、いざとなったら決める景勝と控えめな兼続で、いい感じだと思います。
問題は、哀川翔の又兵衛さん。哀川翔って大河ドラマに出たことありましたっけ?
バラエティーでの喋り方を見たら、心配になってきました。
( 2016年06月29日 00:37 )
人間七七四年 | URL | -
大河なんてルー大柴や加藤浩次でも出れるんだから大丈夫でしょ
温水の小山田とか桂師匠の利休とかチョイスが謎すぎるし……
( 2016年06月29日 00:57 )
人間七七四年 | URL | -
、、、この後に 基次の事件簿ってのが(出ません)
( 2016年06月29日 09:43 )
人間七七四年 | URL | -
基次「爺っちゃんの名にかけて、徳川を討つ」
幸村「爺っちゃんって、誰だよ。」
( 2016年06月29日 13:51 )
人間七七四年 | URL | -
※10さん
桂師匠は、堺出身だからオファーがあったのかな。
温水さんは「小山田信茂」に似てるからじゃないかな。武田24武将の信茂の画像見たら、そっくり(笑)
「小山田信茂」と検索したら、信繁のお姉さんの旦那が出てきたでごさる。
( 2016年06月29日 16:58 )
人間七七四年 | URL | -
自分的には配役で謎と言うか一番意外だったと言うか、ビックリしたのはピーター(池畑慎之介)さんだったなぁ…。ハマってたし上手かったから有り難かったけど。
戦国ならGackt謙信も謎っちゃあ謎だったと思う。独特のミステリアスさは出ていたから好きだが。
( 2016年06月29日 17:48 )
人間七七四年 | URL | -
※14
ピーターさんは自分も「え・嘘でしょ!?」と思いましたよ。
踊りの先生で顔立ちも綺麗その物で、武士って感覚が無かったから
本当に驚きましたね。
一番嫌いな配役だったのは巧妙が辻の豊久役田村亮だった。
配役された理由も含めて。
逆に一番ピッタリだったなと感じたのは、福島正則役の蟹江敬三さん。
( 2016年06月30日 15:05 )
人間七七四年 | URL | -
西田敏行「私も大河での役ははまり役だった」
( 2016年06月30日 16:13 )
人間七七四年 | URL | mQop/nM.
※16
実際どれも十分にこなしてるからなぁ…
( 2016年06月30日 21:50 [Edit] )
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